2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。
あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。
しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。
恐ろしい有様であり、到底無視することはできない!!
備えなければ日本国は「優秀」な人材を失ってしまうであろう!!
津波避難の実態──何が生死を分けたのか
では、東日本大震災で襲来した津波から避難できた人は何が違ったのか。
2012年12月に内閣府が公表した「東日本大震災時の地震・津波避難に関する住民アンケート調査」の結果によると、地震発生直後に津波の到達を意識した人は6割弱だった。
大津波警報を見聞きして「必ず津波が来る」と思った人は3割強で、「大きな津波が来るかもしれない」と考えた人は4割弱。
避難のきっかけは、
揺れ具合の判断によるものが5割弱で、
大津波警報と周囲からの呼び掛けによるものがそれぞれ3割弱だ。
揺れが生じている最中または収まった直後に建物から出た人の7割弱がそのまま津波からの避難をしていることがわかる。
最初に避難しようとした場所は、市町村が指定した公民館などの避難場所と高台に逃げようとした人がそれぞれ4割弱だった。
ただ、避難しようと思ったもののできなかった人のうち、気づいたときには津波が迫っていたという人も約6割に上っている。
避難しなかった理由は
「過去の地震でも大きな津波が来なかった」が約2割、
「大津波警報が発表されたのを知らなかった」は2割弱で、
思い込みや状況把握の課題も浮き彫りになった。
一旦避難したが貴重品を取りに自宅に戻って逃げ切れなかった人もいた。
国土交通省の「津波避難を想定した避難路、避難施設の配置及び避難誘導について」(2013年)によれば、
東日本大震災で津波が到達する前に避難を始めた人は約6割で、その際の避難手段は
「自動車」55%、
「徒歩」43%。
避難距離の平均は徒歩423メートルだった。
総務省消防庁は「500メートル程度」の避難距離を目安に掲げる。
今後の備えの状況──各地での取り組み
政府の中央防災会議は、南海トラフで最大クラスの巨大地震が発生した場合には九州から東海の広範囲で10メートル以上の津波が到達し、高知県黒潮町と土佐清水市で34メートル、静岡県下田市では33メートルに達すると想定している。
関東から四国にかけての23市町村でも20メートル超の大津波が予想される。震源域が近いため、到達時間が極めて短い点も恐怖だ。
当時の想定から10年を経ているので、内閣府では評価・想定の見直しや対策強化の検討を行っている。
東日本大震災の発生後、全国には津波から逃げるための「津波避難タワー」が500棟近く建てられた。
国や自治体が建設費を補助し、避難訓練を実施して備えている地域もみられる。
ただ、高齢化が進む地域では「いざ」というときにタワーの階段をのぼることができるのか不安も広がる。
「命山」と呼ばれる自然を活かした避難マウンドや企業の高層ビルを避難ビルとして指定するところもあるものの、史上最大級の南海トラフ巨大地震が襲来したときに無事たどり着くことができるのかは未知数だ。
つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。