フジバカマ(藤袴) キク科ヒヨドリバナ属
別命:香草(中国名)・蘭草(中国名)・香蘭・王者香
花期 :8月~9月
自生 :関東以西 よく似たヒヨドリバナ・サワヒヨドリは全国に自生する。
奈良時代に香料として唐から輸入したものが、野生化した。
「ヒヨドリバナ」は花の色が白。「サワヒヨドリ」は、茎が分かれていなく、直立していて、頭頂部に1房の花をつける。
乾燥させると桜餅の葉のような芳香を放つ。(茎や葉のクマリン配糖体が加水分解されて、オルト・クマリン酸が生じるため)
≪名前の由来≫花の色が藤色で、花弁の形が 袴(はかま)のよう。
≪薬草としてのフジバカマ≫
・蕾をつけたものを採取し、2.3日干し、乾燥させてたものが生薬「蘭草」。煎じたものを、糖尿病の予防と治療に、1日数回お茶代わりに飲む。蓮銭草(カキドウシ)、枇杷葉、タラボク(タラノキ)を混ぜて煎じたものは、より効果がある。
・利尿
・入浴剤 :補温、肩こり、神経痛、皮膚のかゆみなどには、蘭草(らんそう)適量を、布袋に入れて鍋などで煮出してから、風呂に入れて入浴。かゆい場所があれば、この布袋でこする。
乾燥させたもの2007.11.12. 乾燥させてスパティフィラムと
薬草の参考サイトhttp://www.e-yakusou.com/sou/sou326.htm
≪香料としての利用 ≫
香草の別名もあるくらい、香りが利用された。
・乾燥させた藤袴を香袋に入れ、十二単にしのばせる。
・干したものを、入れて水に入れて洗髪。
・防虫剤芳香剤
・戦場に赴く時、藤袴の香を兜に焚き込める。
・中国では、邪気払いに、花の一枝を女の子の簪(かんざし)にしたり、香袋(かおりぶくろ)として身につける。
≪山菜としてのフジバカマ≫
花が菊のようにして食べられそうに見えるが、食べられるとした記述はない。
平安時代はお茶として飲まれていたという記録がある。薬草なので飲むのは良いと思う。
≪文学にみる藤袴≫
最初に思い浮かべるのは、万葉集の
「芽子の花 尾花葛花矍麦の花 女郎花また藤袴 朝貌の花」 山上憶良
(萩の花 芒 葛花 撫子花 女郎花 藤袴 桔梗)が、万葉の時代から現代まで、秋の七草としてのゆるぎない位置をしめている。
源氏物語30帖「藤袴」では、御簾の下から1本の藤袴が差し出されていることから、庭か近くの野辺にあったものだと思う。
光源氏の使者として玉鬘を訪れた夕霧が、藤袴の花に託して、贈った歌
持っていた蘭(ふじばかま)のきれいな花を御簾(みす)の下から中へ入れて、
「おなじ野の 露にやつるる藤袴 哀れはかけよ かごとばかりも」
かえし
「たづぬるに 遥けき野辺の露ならば うす紫や かごとならまし」
与謝野晶子訳の「源氏物語」
むらさきの ふぢばかまをば見よといふ 二人泣きたき ここち覚えて (晶子)
古今集の三歌はいずれも香りを詠っている。
なに人か きてぬぎかけし藤袴 くる秋ごとに野べをにほはす 藤原敏行
(着ていた服を脱いで掛けたのは誰? 秋が来るたび野辺に良い香りを漂わせて。)
やどりせし 人のかたみか藤袴 わすられがたき 香ににほひつつ 紀貫之
(家に泊って行った人の残した形見か、藤袴。忘れがたいと香を残して。)
ぬししらぬ 香こそにほへれ秋の野に たがぬぎかけし 藤袴ぞも 素性法師
(誰のものかはしらねども、野に香が匂う。藤袴を脱ぎかけていった。)
2007.10.23庭(仙台市)
≪意匠としてのフジバカマと李香蘭≫
満州国の紋章として使われた。
「蘇州夜曲」を歌った李香蘭は、満州の生まれだと思う。美しい娘に「香蘭」の名前はよく似合っている。
・‥…━━━★::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::★━━━…‥・
「秋の七草」の一つとしての印象と、源氏物語の「藤袴」としての印象から、庭にぜひ欲しいと思って一本植えたのが、随分と増えてしまい、時々整理している。
こんなに増える草が、絶滅危惧種に指定されるのは、やはり乱獲だろうか。さほど美しいとも思えないこの草が、かくも人気があるのは、山上憶良の「秋の七草」によるものだと思う。
花言葉は「ためらい」のようだけど、咲き始めは、ためらうように少しずづ、開いてくる。でもだんだん、もさもさーと咲き出し、満開になると、ちょっとためらいも恥じらいもない、中年のおばさんの感じ?の花になる。
今年は花を乾燥させてみる。乾燥後、お茶、匂い袋、入浴剤などに使ってみたい。
自然にドライフラワーになるので、観葉植物に添えると花のようにも見える。
乾燥のために木の枝につるしたもの2007.11.15
2013.11.05追記
先にUp済みのブログを見た方から画像は「サワフジバカマ」との指摘を受けました。
指摘を受けるまで「サワフジバカマ」の存在を知リませんでした。
「サワフジバカマ」は「サワヒヨドリ」と「フジバカマ」が交雑されたものを園芸種の「フジバカマ」として流通させたもののようです。繁殖力が強く、野に逸出してしまい河原や草地で見るのはこの「サワフジバカマが多く、
本来のフジバカマは、野生で見ることは少ないそうです。
我が家の「サワフジバカマ」は随分前のものなので、入手経路が分からなくなってしまっています。
「サワフジバカマ」の特徴は茎が赤く、葉がすべて3裂しています。
http://park15.wakwak.com/~ooyabuen/fjbkm8.html頭花の違いもあるようです。
詳しくはhttp://park15.wakwak.com/~ooyabuen/fjbkm.html">こちらを参照してください
「フジバカマ・サワフジバカマ」のページを作りなおしました。http://blog.goo.ne.jp/momono11/d/20131106
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます