アズマイチゲはキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、
生態的には典型的なスプリングエフェメラルのひとつだ。
秋田ではよく似たキクザキイチゲが極めて多い。
それに対し、アズマイチゲは少ない。
キクザキイチゲの群生のすみっこなどでひっそりと咲くことが多いようで、
特にキクザキイチゲの白花タイプと混生している時は見過ごしてしまうことが多い。
ところが、
2010年4月20日、仙北市の里山(私有地)でアズマイチゲばかりの大きな群生に遭遇した。
たまたま土地の所有者が近くで畑仕事をしていたので、
声をかけ、許可を得た上で群生の中に踏み込んで撮影した。
翌2011年は同じ場所を4月18日に訪ねている。
今回はこの里山に限定して報告してみる。
群生の様子
この土手の上は半分が畑で、
林に近い方は見渡す限りのアズマイチゲの群生になっていた。
アップで見ると・・・
よく見たら、上写真のアズマイチゲの中にキクザキイチゲも混じっていた。
橙の破線で囲った二個がキクザキイチゲだが、おわかりだろうか。
アズマイチゲとキクザキイチゲ(特に白花タイプ)はよく似ている。
その識別方法は、
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)の検索表によると、
・茎葉の小葉は羽状に欠刻し、葉柄は広がる。・・・・・・・・・・キクザキイチゲ
・茎葉の小葉は鋸歯は有るが、深く欠刻することはない。葉柄は広がらない。
・・・・・・・・・・アズマイチゲ
となっていたが、正直言ってわかりにくい。
よく参考にさせて頂いている
「森と水の郷あきた」のホームページ(こちら)によると、
『アズマイチゲはキクザキイチゲと良く似ているが、アズマイチゲは白色のみ。
両種を見分けるポイントは、アズマイチゲの葉・・・葉の先が丸く細かく切れ込まず、やや下に垂れている。
また、花の下にある茎に毛があればキクザキイチゲ、なければアズマイチゲ。』
とあった。
「西遊旅行」のホームページ(こちら)によると、
【葉の違い】
◇アズマイチゲの葉は、垂れ下がり、切れ込みが非常に浅く楕円形に近い印象
◇キクザキイチゲの葉は、横に広がり羽状に深裂し、先が尖っている
【花弁状の萼片の違い】
◇アズマイチゲは白色、白以外(紫、淡紫)はキクザキイチゲ
→ ただ、キクザキイチゲには白花もある
◇アズマイチゲは、花弁状の萼片の基部が紫色。。。これが最大の特徴。
【花茎の軟毛の有無】
◇アズマイチゲは軟毛はなく、キクザキイチゲは短い軟毛がある
→ アズマイチゲにも長い軟毛が残っているものもある
・軟毛が長いものがアズマイチゲ
・軟毛が短いものがキクザキイチゲ
とあった。
これは非常にわかりやすいし、的を得ていると思った。
他に、
Sapporo Nature Timesのホームページ(こちら)の解説もわかりやすかった。
私自身は、もっぱら葉(小葉)の切れ込み具合や垂れ具合、
(花弁状の)萼片の裏側がほのかに紅味を帯びる点などで識別している。
参考までに同じ場所に咲いていたキクザキイチゲの薄紫タイプを。
葉は深く裂け、シャキッと広がっている。
なお(萼)弁数はアズマより少なめだが、これは個体差があり、中にはアズマより数の多いこともある。
再びアズマイチゲ。
ここでは場所によって、他のスプリングエフェメラルも適度に混じって咲いていた。
フクジュソウと混生。
フクジュソウ
カタクリと混生。
カタクリ
キバナノアマナ
キバナノアマナと混生。
以上。
秋田は何もないところですが、
長い冬の後に咲くスプリングエフェメラルの群生は
素晴らしいと思っております。
上のアズマイチゲ群生地の近くには
↓のようなカタクリ群生地もありました。
https://blog.goo.ne.jp/mouura2/e/c8d8ad3e26a910b1d61f8170481cc012