(本頁は「焼石岳で見た花の海(1)天国のお花畑編」の続きです。)
焼石岳にはいつも岩手県側の中沼コースから登っているが、
登山再開後、二度目となる(2017年)7月8日は秋田県側の東成瀬村から登ってみた。
参考マップ(イエローガーデンへの道程)
このコースは歩き始めの横林道終点、三合目の標高が900mを越えている。
山頂までの標高差は600m程度なので楽そうに感じるが、距離が長い。
途中、胆沢川の谷に降りたりとアップダウンが多く、三回くらい渡渉しなければならない。
また20数年前に登っていた頃は、途中の焼石沼付近でベコ(牛)が放牧されていた。
当時、此処を通ると、ベコがモ~♪と鳴いてすり寄って来たり、
その産物が湯気を上げていたりして (´π`;)たじろいだ記憶がある。
その後、放牧は終わったと聞いたので、どうなったのか確認も兼ねて行ってみたような次第。
今回はしばらくブナの森林帯を歩き、八合目の焼石沼(標高約1240m)が間近になったら、
冒頭写真や次のような花風景に遭遇した。
バックの山は左から三界山、もっこ岳
それは黄一色の花園、イエローガーデンだった。
密に咲く黄いろい花の正体はミヤマキンポウゲ。
少し進むと、紅紫のランや白い小花も混じって咲いていた。
紅紫のランはハクサンチドリだったが、白い小花は何だろう。
白花の苺はノウゴウイチゴにしては、花弁の枚数が少ない。
シロバナノヘビイチゴだろうか。
しかしシロバナノヘビイチゴは山形より南に分布と聞いていた。それなのに此処では凄い群生になってる。
(焼石岳の白い苺は北海道道東や道北に生育するエゾノクサイチゴ(エゾクサイチゴ)ではないかとの意見も有る。)
右上のやや淡い黄のバラ科は何だろう。花は終盤モードだった。
この花はまた後で出てくる。
オレンジがかった大きな黄花はシナノキンバイだった。
この場所には他にズダヤクシュやツボスミレのようなスミレ科も群生していた。
黄色い花の多いこの場所を、私は『イエローガーデン』と呼ぶことにした。
同じ場所は翌年、2018年6月23日にも訪ねている。
焼石沼と西焼石岳
この日はミヤマキンポウゲはまだ咲いてなかったが、別の黄色い花が最盛期だった。
代わりに咲いていた花は黄色がやや淡く、バラ科と思われる。
葉の特徴などから、後でエチゴキジムシロだとわかった。
向かいの湿地にはリュウキンカが群生していた。
何故この場所にこのようなイエローガーデンが出来たのか。
先にも述べたように、20数年前までこの場所はベコ(南部短角牛)の放牧場になっていた(夏場のみ)。
植物に関しても、おそらくはベコの好みで毒があるとか味が悪い、
棘が痛いなどベゴの嫌な植物だけが残って繁栄していた可能性がある。
イエローガーデンの主役、ミヤマキンポウゲは有毒植物だ。
牛が食べないので繁茂したのだろう。
となると、この花園、イエローガーデンはベコが作ったガーデンということになる。
リュウキンカは焼石岳ではあちこちで見かける。
次の写真二枚は中沼コースの銀明水付近で見たもの。
2019年6月4日、銀明水付近のリュウキンカ、ミズバショウの群生
銀明水付近では、シナノキンバイも群生していた。
この花、東北では少なく、私自身は焼石と八幡平でしか見たことが無い。
2021年8月5日、銀明水付近のシナノキンバイ群生
写真は省略するが、この山には真夏以降、
トウゲブキ、キオン、ミヤマアキノキリンソウ(いずれもキク科)が多く咲く。
この山はとにかく黄色い花が多い。
以上。
私も焼石岳の花に感嘆した登山者のひとりです。5年前の6月に登りました。全山花だらけ、しかもいろんな花が! 思い出すだけで幸せな気分に
そうですね、週末だったのでたしかに空いてはいなかったです。でも混んでいるというほどではなかったと記憶しています。
余計な話ですが、焼石岳も秋田駒ヶ岳も百名山に選ばれなくて本当に良かった。スタンプ集めの百名山信者(山頂での写真がほしい)がさらに加わったら……と想像するだけでぞっとします。
焼石は栗駒や秋田駒より登山者は少ないですが、私が登った2017~2019年の六月日曜日、
中沼コースはやたらと多かったですね。
ただし平日の中沼コースやイエローガーデンのある東成瀬コースは(週末でも)スカスカです。
百名山は秋田に少ないです。鳥海山は上半分が山形県なので、
厳密には八幡平だけとなりますか。おかげで秋田のそれ以外の山は静かな、
ただしクマが心配な山旅となります。