回顧録 22で伝えた新しい住処は、母にしてみれば最寄り駅からは遠過ぎて以前のように自転車で駅迄という訳にはいきませんでした。そこで私が駅迄の朝夕の送迎をし、自分の勤務先に加えて母の分も車を動かす事になりました。妻は子供の世話等があるのでそちらに傾注出来るように配慮しました。
その母も次第に体力が衰えて現役引退の時を迎え、所謂隠居生活が始まったのです。当初は近所を散歩したり同じ町内の人で年齢の近い人と会話をしていましたが、それも回数が減っていき次第に自宅に篭ることが多くなりました。当時は分からなかったのですが、今にして思えばどうも認知症が少しずつ始まっていたのではないかと。
やがて妻との諍いが増えていくようになり、諍いの原因を母に伝えて改善を促すも早期に忘れてしまう。これは妻にしてみれば呆れた母に映る訳で、ある時は子供達を連れて実家に数日帰ってしまう事もありましたので妻は相当ストレスが溜まっていたと考えられます。
こうなると定番の嫁と姑の確執です。私も間に挟まれて家庭が針の筵のように感じる事も多々ありました。私がプチ蒸発したのはこの頃です。3世代同居したての頃のあの暖かな雰囲気は何処に‥‥
このような状況に変化したのは、母本人と私達が母の認知症を認識していなかった事に原因があったと思います。なぜなら、後日、母が老人施設に入所した当初の所見では、はっきりと認知症と診断され、加えて要介護度は4でしたから。
ここからは回顧録ではなく現況ですが、母は施設のスタッフさんや同室している人と特段問題を起こす事もなく良好な関係にあります。やはり認知症という事を前提に専門家が適切に対応するとそれなりにある意味幸せな老後を送れるのだなと感じます。
ただ、良いのか悪いのか母は私の事をすっかり忘れていて、私が誰であるかが認識できません。1人しか生まなかった我が子が誰であるかが判らないのです。冷たいと思われるかもしれませんが施設にお任せして良かったと思います。食事・排泄・入浴・気晴らしといった生活全般を自分で、自宅ではとても無理で、介護離職を検討しなければなりません。寧ろ母本人が施設での毎日の生活に満足しているのならそれはそれで良いのではないかと。
施設に入所して間もなくの頃の面談で母は「こんなに良くしてもらって嬉しい。涙が出そうだ。」と話し、以前の母子生活の苦労から解き放された感想を言っていました。暫く後のスタッフさんからの話では「ビールが美味しいって言っているんですよ」と。あれ? 母はアルコールは飲まなかったのに変だなと思ったら、どうやら施設の夏の行事で「納涼祭」があってそこで飲んだビールが美味しくて気に入ったみたい。認知症が以前のことを忘れさせたんですね。
その母も次第に体力が衰えて現役引退の時を迎え、所謂隠居生活が始まったのです。当初は近所を散歩したり同じ町内の人で年齢の近い人と会話をしていましたが、それも回数が減っていき次第に自宅に篭ることが多くなりました。当時は分からなかったのですが、今にして思えばどうも認知症が少しずつ始まっていたのではないかと。
やがて妻との諍いが増えていくようになり、諍いの原因を母に伝えて改善を促すも早期に忘れてしまう。これは妻にしてみれば呆れた母に映る訳で、ある時は子供達を連れて実家に数日帰ってしまう事もありましたので妻は相当ストレスが溜まっていたと考えられます。
こうなると定番の嫁と姑の確執です。私も間に挟まれて家庭が針の筵のように感じる事も多々ありました。私がプチ蒸発したのはこの頃です。3世代同居したての頃のあの暖かな雰囲気は何処に‥‥
このような状況に変化したのは、母本人と私達が母の認知症を認識していなかった事に原因があったと思います。なぜなら、後日、母が老人施設に入所した当初の所見では、はっきりと認知症と診断され、加えて要介護度は4でしたから。
ここからは回顧録ではなく現況ですが、母は施設のスタッフさんや同室している人と特段問題を起こす事もなく良好な関係にあります。やはり認知症という事を前提に専門家が適切に対応するとそれなりにある意味幸せな老後を送れるのだなと感じます。
ただ、良いのか悪いのか母は私の事をすっかり忘れていて、私が誰であるかが認識できません。1人しか生まなかった我が子が誰であるかが判らないのです。冷たいと思われるかもしれませんが施設にお任せして良かったと思います。食事・排泄・入浴・気晴らしといった生活全般を自分で、自宅ではとても無理で、介護離職を検討しなければなりません。寧ろ母本人が施設での毎日の生活に満足しているのならそれはそれで良いのではないかと。
施設に入所して間もなくの頃の面談で母は「こんなに良くしてもらって嬉しい。涙が出そうだ。」と話し、以前の母子生活の苦労から解き放された感想を言っていました。暫く後のスタッフさんからの話では「ビールが美味しいって言っているんですよ」と。あれ? 母はアルコールは飲まなかったのに変だなと思ったら、どうやら施設の夏の行事で「納涼祭」があってそこで飲んだビールが美味しくて気に入ったみたい。認知症が以前のことを忘れさせたんですね。