直近の世論調査で首相に一番相応しいと評価を受けたピター・リムチャルーンラット氏、
1980年生まれの42歳でエリート中のエリートと、メディアが紹介。昨日からの続きです。
タマサート大学商学部を卒業後、ハーバード大学で公共政策学の修士号、マサチューセッツ
工科大学(MIT)で経営学の修士号を取得しています。秀才であり、かつ大きな負債を抱えた
父親の事業を受け継ぎ、経営を立て直した実績もあるとか。ハンサムで女性にも支持されそう。
ピター氏率いるタイ前進党は、国王批判を禁じた不敬罪の改正、徴兵制の廃止、軍の縮小、
県知事公選制の導入などを掲げ、王党派、親軍派の上院と真っ向から対立して総選挙で
優位に立ちました。しかし 多くの議員からは、“王室を尊重しない人物を首相には推せない”
といった意見も多く、下院議員と上手く連立が組めたとしても、軍政時代に指名された上院
議員の250人を どう懐柔できるか? でも寝返る上院議員も多いような気もしますけどネ。
折角の滅多に無いチャンス、何としてでも軍政から政権交代を成してほしいですネ。若い
世代に支持されていることが何よりの強みです。もう軍事政権と不敬罪から脱却しないと …
ただ実業家から政治家へと転身したピター党首をめぐっては、メディア会社の株式を所有
していて、現行憲法に違反しているとして、王党派の政治家や活動家が公職追放を求めて
いるようです。 もし憲法裁判所が違反を認定すれば、政治生命が絶たれてしまいます。
そこで思い出すのが、前進党の前身である新未来党のタナトーン氏です。同党が19年の
下院選で大躍進した折には翌年、党首の彼がメディア会社の株式を所有していたとして、
憲法裁は同氏の下院議員の資格を退きました。さらには、新未来党がタナートン氏から
選挙資金を借り入れたことも政党法違反だとして新未来党に解党命令を下し、彼はじめ
党幹部16人の参政権を10年間停止されてしまいました。軍政権下の憲法裁は2006年頃から
続く民主派と王党派の政治闘争の中で、ほぼ一貫して王党派に有利な判決を下して来ています。
大胆な改革を打ち出し注目を集め、タイの実権を握る王党派特権階級に正面から挑戦する
姿勢を示していることが、出る杭は打たれる、ではないですが、ちょっと心配になります。
前進党の躍進は、現軍事政権もタクシン・インラック政権の流れにも“ノー” を突きつけ、
多くの若いタイ人の民意に他なりません。いい加減、政争や利権争いのために、幾度となく
巻き起こる騒乱からもう卒業したいでしょう。一度 前進党に政権を握らせてあげたいですネ。
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