先週19日の当ブログでも触れましたように、議会下院(定数500)総選挙で152議席を
獲得して第1党となったタイ前進党は、141議席で第2党となったタイ貢献党 及び 6党から
なる8党にて、連立政権樹立に向けた覚書に調印しました。現在 313議席数を獲得しており、
今後は首相選出に必要な376議席の獲得を目指し、上院議員(250)との交渉が始まります。
総選挙で25議席を獲得し与党第3党となった民主党は、既にピター氏率いる前進党を支持
する声明を発表していますが、後はプラユット軍政が選任した非民選の王党派・保守派議員で
占められている上院議員から支持を取り付けるしかありません。覚書にそれが垣間見れます。
覚書の前文では、国王を元首とする民主政体の維持と王室の尊重を謳い、前進党が選挙戦で
掲げた、国王批判に重罰を科す不敬罪の改正や廃止は盛り込まれませんでした。上院議員が
不敬罪の改正には強く反発していますから民主派と対立する王党派へ配慮を示しました。
そうでした、141議席で第2党のタイ貢献党からも、改正に反発する声が出ていましたしネ。
覚書には23の政策が組み込まれましたが、主な政策には ・・・
* 選挙で選ばれた憲法起草議会による民主的な新憲法の制定 * 平時における徴兵制の廃止
* 民主主義に即した官僚機構・警察・軍・裁判所の改革 * 酒造などの産業自由化
* 同性婚の合法化 … … 等々、挙げられていますが、多くの人が注目するのは、現政権が
事実上自由化した大麻を麻薬に再指定し、大麻の利用を制限するという政策でしょう。
「薬物問題解決に向け 大麻の有益な使用を規制し、新しい法律と共に、保健省通知の
発行を通じて大麻を規制物質として再分類する」として、国民の声を反映させています。
2022年6月にタイ国は大麻を合法化しました。「医療目的」限定とし、一般の吸引は禁止
されていたはずですが、それが意味を無くし、未成年者さえも吸引している有様です。
医療従事者や教育関係者の多く、そして子供を持つ親も大麻合法化に反対の立場です。大麻
製品を販売する店舗は増え、急性中毒者が増えているのも事実です。大麻を合法化した事で、
合法化を誘導したアヌティン保健相は、“覚醒剤など非合法薬物の密売が減り、結果的には
闇組織に打撃を与えることが出来る” なんて言っていましたが、飛んでもない、そんな
風潮すらありません。逆に、20歳未満には大麻を販売できないはずの未成年者が、道路に
座り込んで大麻を吸っている光景を、メディアも、“何とかしよう” と訴えているが現状です。
話が逸れましたが、ピター氏は、多少妥協してでも政権を奪回し公約を実行してほしいですネ。
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