島耕作と言えば誰しも一度は耳にしたことのあるキャラクターではないでしょうか。僕も何回か読んだことがあったとは思うのですが、最初から通して読んだ経験はなく、何となく「周りの人に好かれ恵まれて、どんどん出世して行く主人公」といったイメージを持っているだけでした。
正月休みに「『課長 島耕作』第1巻を読むと昭和の文化がエグいほどダイレクトに伝わって逆に面白い」という記事を目にしました。考えてみれば島耕作シリーズの第1巻を手にしたことはないので、果たして本当はどんな話なのだろうと興味を持ち、実際に読んでみました。
確かに記事に紹介されているように、第1巻に描かれている内容は僕の予想とはかなり異なるものでびっくりしました。固定電話で連絡したり、ビデオを見るためのビデオデッキが欲しいといった当時の生活と今の日常生活とのギャップもさることながら、島耕作が予想外に小者なんですよね。僕の中で島耕作は器の大きな、何でもスマートに解決してしまうヒーロー的な主人公像が出来上がっていたのですが、第1巻の島耕作は大分様子が異なりました。何かよく分からないけれど女の人に好かれて、ちゃっかり肉体関係も持って、でも結構自己中心的で。一昔前の男性からしたら「もしそんなことがあったら良いな」という感じのファンタジーの世界とも例えられるでしょうか。朝学校に向かって急いで走っていたら、曲がり角でパンを咥えた転校生の美少女と衝突するくらいのバラ色の妄想です。司馬遼太郎や本宮ひろ志作品みたいな世界ではありませんでした。
あまりに有名過ぎる作品だと、案外勝手なイメージが自分の中で出来上がっているものなのだと、驚きとともに気付くきっかけとなりました。