ものくろ往来さんの記事で「善哉」に甘味の一種を表す以外の意味があると知りました。気になったので手許の国語辞典で調べてみました。
まず、最初は三省堂国語辞典 第8版。
ぜん ざい⦅名⦆
一ぜんざい[善×哉]
〔文〕仏などが、人間の いいおこないをほめるときに言うといわれる ことば。〔「よいかな」 「よきかな」と読める漢語を音で読んだもの〕
二ぜんざい[(善×哉)]
①つぶしあんを上にかけた もち。おわんに入れて食べる。
②〔西日本方言〕つぶしあんのはいった しるこ。いなかじるこ。 ③〔沖縄方言〕あまく煮た金時豆などをそえた、かきごおり。
現代に使われている語釈を優先する印象が強い三省堂国語辞典ですが、いきなり仏様の話が出てきます。僕は2番目の意味しか知らなかったので、てっきり2番目の語義が先頭に来るとばかり思っていましたが、1番目の意味の方が一般的という判断でしょうか。
次は新明解国語辞典 第8版。
ぜん ざい① ③ 【善〈哉】
〔いいと言ってほめる意〕
㊀つぶしあんをまぶしたもち。汁粉のように おわんに入れて食べる。
㊁〔関西などの方言〕つぶしあん入りの汁粉。いなかじるこ。
新明解国語辞典にあっては、三省堂国語辞典の先頭に書かれている語釈がばっさりなくなっています。
最後は明鏡国語辞典 第3版。
ぜん–ざい【善▼哉】
[一][名]
❶関西で、つぶし餡でつくった汁粉。
❷関東で、餅にどろりとした餡をかけたもの。
[参考]「善哉餅」の略。
[二][感]実によいの意で相手の言動をほめたたえる語。よきかな。
明鏡国語辞典は三省堂国語辞典とはまったく逆の順番になっていました。僕の言語感覚にはこちらの方がぴったりきます。
同じ単語でも辞書によって扱い方が異なるのが面白いですね。