物欲王

思い付くまま、気の向くまま、物欲を満そう

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素数たちの孤独

2010-03-24 00:48:16 | 
てっきりリーマン予想の解説本だとばかり思って『素数たちの孤独』を読み始めたところ、何度も期待を裏切られてしまいました。

最初の誤算は冒頭にも書いたように本書は数学の解説書ではなく小説だったという点です。最初はかなりがっかりしたのですが、少し読み始めてみると病んだ子供が何人も出てくるではありませんか。僕がIan McEwanの『The Cement Garden』やル・クレジオが好きなのは恐らく話の中に子供が出てくるからです。しかも(程度や内容はさておき)どの作品に登場する子供も何かしら痛みを抱えています。自分自身の子供時代が不幸だったと感傷に浸りたいのか、無垢な子供こそ幸せであって欲しいという願いの裏返しなのかは分かりませんが、どうも痛みを抱える子供が出てくる話は読み進めずにはいられません。

また、個人的に大きく裏切られた感があるのは最後の結末です。展開としては分からなくはないものの、小説のまとめ方として果たしてこれで良かったのか、僕にはちょっと分かりませんでした。本作はイタリアで絶賛されたようですので、僕の文学的素養が足りないだけなのかも知れないですね。

ともあれ数学の知識がない方でも十分楽しめる1冊であることには間違いありません。


素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット)
パオロ・ジョルダーノ
早川書房

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コメント
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