先日買い物で家電量販店のカメラ売り場に足を運んだときのことです。
「軽くて小さいカメラが欲しいのですが」と一人の男性客が店員さんに声を掛けながらOLYMPUS PENを手に取ろうとしました。すると店員さんは俄に答えて「OLYMPUSさんとPanasonicさんは一眼カメラの中でも一番小さいセンサーを積んでいるんですよ」とCanon製品の方へ男性客を案内していきました。
いくらなんでもいきなり否定しなくても...せめてOLYMPUS PENの説明を二言三言してあげてもよさそうなのに...その男性のご希望通り、マイクロフォーサーズシステムは、カメラ本体もさることながら、レンズ群もかなり小さく軽いのですから。
G9PROIIのように大振りなカメラもあるにはありますが、これにレンズを付けたとて、マイクロフォーサーズのレンズは小型軽量ですので、カメラ本体とレンズをあわせたカメラ全体としては小さく軽くなります。その男性の選択は決して間違っていないと思います。店員さんはCanonの社員さんだったのかも知れませんね。(であればそれはやむなし)
センサーサイズの話を耳にするとき、良くある論点がボケの出方です。センサーサイズが大きいとボケも大きく、マイクロフォーサーズはボケが小さいというのは事実だと思います。ただ、マイクロフォーサーズもまったくボケない訳ではなく、レンズや撮り方次第で綺麗な背景ぼけの写真を撮ることができます。お恥ずかしながら実際にマイクロフォーサーズ機を試してみて、初めて理解できました。
いろいろ学んだ結果、同じ条件で写真を撮るとフルサイズセンサーに対して2段分絞った写真がマイクロフォーサーズでは撮れるようです。逆にフルサイズと同じボケ条件で写真を撮るのであれば、マイクロフォーサーズは2段分シャッタースピードを速くすることが出来ます。
偏見かも知れませんが、多くの一般カメラユーザにとって必要なのは、逆に広くピントが合った写真ではないでしょうか? こどもやペットが走り回っている様子や、運動会、発表会を撮影するお父さん・お母さんたち、気の置けない仲間たちと一緒に動画や写真に収まりたい人たち、誰もがぴったりピントが合った状態の映像が欲しいことでしょう。そんなときに頼りになるのはフルサイズセンサーの被写界深度の浅いボケ描写ではなく、速いシャッタースピードが使えたりピント位置の多少前後であってもくっきりとした絵が撮れる小型センサーのカメラだと思います。
また意外と見逃されがちですが、標準のアスペクト比が4:3となる点も、最近のカメラとしてはかなり珍しいマイクロフォーサーズの特徴ではないでしょうか。LUMIXのカタログでも4:3の作例がたくさん掲載されていて、他のカメラにはない印象を受けます。(スマホで写真をたくさん撮る人にとってはむしろ4:3の方が違和感なく馴染めるのかも知れませんね)
見知らぬ店員さんの発言が、マイクロフォーサーズの良し悪しを考えるきっかけとなりました。