つぼみ 河西 啓太
春はまぼろし
ならば追いたい
追えども近くならず
遠くもならず
知らないうちに
過ぎてしまう
遥か
まぼろし
歌わぬ寒波に誘われて
銀色世界の一体どこで
ありふれた感傷は
深い傷にはならず
追いかけては転び
起きては泣いて
乾けば前後を見
夢も見
純白のうつつが
わたし自身の
余白にかわるとき
柔らかなつぼみのまえで
立ちすくむ誰かが
向こうのほうに
春はまぼろし
ならば追いたい
追えども近くならず
遠くもならず
知らないうちに
過ぎてしまう
遥か
まぼろし
歌わぬ寒波に誘われて
銀色世界の一体どこで
ありふれた感傷は
深い傷にはならず
追いかけては転び
起きては泣いて
乾けば前後を見
夢も見
純白のうつつが
わたし自身の
余白にかわるとき
柔らかなつぼみのまえで
立ちすくむ誰かが
向こうのほうに