日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 兼宗 Kanemune Wakizashi

2010-12-02 | 脇差
脇差 兼宗


脇差 銘 兼宗

 

 天正頃の美濃国兼宗(かねむね)のがっしりとした脇差。堅い鎧に対応する目的で製作されたものであろう、時代背景が浮かび上がる造り込み。柾目強く現れた板目鍛えの地鉄は肌立って疵気があるも、総体によく詰んで地沸付き、大肌が浮かび上がって迫力がある。小沸出来の直刃湾れの焼刃は、刃中が小模様に乱れ、柾がかった肌目と働き合ってほつれ、喰い違いとなり、刃中には沸筋、金線、砂流しが刃先近傍にまで流れる。帽子もそのまま流れ込み、先は沸付いて掃き掛けとなる。

短刀 兼貞 Kanesada Tanto

2010-12-02 | 短刀
短刀 兼貞


短刀 銘 兼貞



 美濃国蜂屋郷に居住したことから蜂屋関(はちやせき)と呼ばれる兼貞(かねさだ)は、山城国達磨派の流れを汲む工。この時代の短刀らしい寸延びて覇気ある姿格好。地鉄は板目が詰んで小板目肌状に緻密な肌合いとなるも、細かな地景によって杢目肌が細かな地沸で覆われた前面に綺麗に浮かび上がる。直刃に浅く湾れた焼刃は、刃縁に小沸が付いて締まり、明るく冴え、繊細な働きを伴って帽子は浅く乱れこんで先に沸が付いて乱れ返る。このような作があることから、後の江戸時代の刀工は美濃鍛冶の技術を手本としたのであろう。一般に美濃刀は戦国時代の実用刀を製作していたとして低く評価されがちだが、実は多くの名品を遺している。