日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 正幸 Masayoshi Katana

2010-12-20 | 
刀 正幸


刀 銘 伯耆守平朝臣正幸 文化十年

 

 身幅しっかりと、重ね厚く、寸法は尋常ながら覇気に満ちた作。造り込みも姿からも正幸の技量の高さが窺いとれる。地鉄は板目肌が良く詰んで大きく現われた中に小板目肌が詰んで交じり合い、地沸が厚く叢付いて地景が大肌に沿っているなど、強みの感じられる肌。湯走りが肌目と感応し合ってくっきりと浮かび上がる様子は、江戸時代の薩摩相州伝の完成度の高さを示している。刃文は互の目で、所々尖りごころの刃を交えており、美濃伝の影響をうかがわせる。刃縁小沸付いて沸深く強く、刃先近くまで沸が広がり、これを沸筋が切って流れる。帽子はわずかに乱れて先小丸に返る。