日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 肥前正永 Masanaga Katana

2014-02-06 | 
刀 肥前正永


刀 肥前住武蔵大掾藤原正永

 以前に初代正廣の作例を紹介したことがある。その子二代目正廣の改銘前、まだ正永と銘を切っていた頃の作。正廣が相州伝に通じていたことも以前に紹介した。初代が鍋島公の前で相州伝を披露したことにより、高い評価を受け、以降代々が相州伝を御家伝としたのである。この刀は、武蔵大掾を受領していた期間が限定されているため、製作年はほぼ特定できる。即ち万治三年から翌寛文元年の間。さらに数年後には初代が没しており、これにより正廣銘を襲い河内守に転じている。
 この刀は、わずかに磨り上げられているがほぼ二尺三寸を保っている。反りを控えめに伸びやかな姿格好とし、刃先が鋭く仕立てられて刃の通り抜けが良さそうな造り込み。地鉄は良く詰んだ小板目肌。細かな地沸で覆われて細かな地景が潜み、動きが感じられる極上質の肥前肌である。刃文は湾れに互の目を配した南北朝時代を想わせる構成で、互の目が二つずつ並んだところに正廣らしさが窺え、所々時に深く突き入るように乱が強まり、一部に飛焼が入り、帽子はわずかに掃き掛けを伴う小丸返り。匂が充満した刃中には、互の目の抑揚に沿い、小沸が綺麗に揃った砂流しが箒で掃いたように長く掛かり、総体に明るく鮮やかさが際立つ。□