日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 兼光 Kanemitsu Wakizashi

2017-01-07 | 脇差
脇差 兼光


脇差 兼光

 南北朝時代の長舩本流兼光も相州伝の影響を受けている。一尺二寸弱の、これまで何度も説明しているように、頗る扱い易い寸法の平造小脇差。長い太刀の添え差しとされていたもの。研ぎべりがあるも原姿が窺え、しかも時を重ねて凄みが増している。地鉄は備前の古伝で、杢目交じりの板目鍛え。細かな地沸が付いて濃淡変化のある映りが顕著。刃文は浅い湾れにやはり浅い互の目交じり。刃文構成に相州伝の影響が窺えよう。刃中の働きは焼刃が浅いために分かり難いが、沸が強くほつれ金線砂流しが顕著に表れており、ここにも相州伝の影響が窺える。

 
短刀 兼光

 九寸弱の短刀。先反りが付いて重ね薄めに南北朝時代の典型的作風。先に紹介した脇差より、この短刀の方がより相州振りが強い。地鉄は杢目交じりの板目肌で、地沸が絡んで地景も顕著に肌立ち、やはり映りが抑揚変化に富み、凄みがある。刃文も湾れに互の目が交じり、一部に湯走りのような働きが現れるなど、相州振りが強く感じられる。


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