■□■カムイミンタラ■□■

旅の話、仕事の話、色々と書いてます。。。

別れ

2009-01-10 19:36:48 | Weblog
その親父さんと知り合ったのは2004年の3月。

仕事を辞めて日本一周へと旅立った私は、川崎から船で
宮崎へと入った。何日目の宿泊地かは、もう忘れてしまったが
国の松原キャンプ場にテントを張った。

そこでワゴン車に乗った親父さんに声を掛けられた。
ちょっと説教臭い親父さんで、29歳の女がフラフラと
旅をしているなんて、親不孝もいいところだみたいな
ことを言われ、苦笑、まぁ、本気で怒るというよりは
自分の娘だと考えると心配でたまらん的なノリだったが。

当時の私は旅から帰ったら、一緒に暮らすことが決まっていたので
嫁ぎ先は決まっているから大丈夫だよ、みたいな話をしていた。

その親父さんは写真が好きで写真を撮りながら全国津々浦々
していたようで、翌朝、記念にと私の写真を3枚撮った。
後日、丁寧にレイアウトしてくれて、私の自宅に送ってくれた。

その時の親父さんの手紙には
「前略、お元気にお過ごしのことと思います。
 その後、鹿児島佐多岬、指宿、熊本天草、阿蘇、宮崎高千穂へと
 一回りして、九つの山に登りました。今は旅行の整理などをし、
 次の旅を思っています。相変わらずの貧乏なたびですが・・・・
  貴女は、無事屋久島へ行けたのでしょうか。女一人のバイクの
 たびは年寄りには心配なことです。とは思いながら、若いことは
 何よりなことです。まだまだ人生は始まったばかり、これからの
 人生幸多かれとお祈りします。」
と書かれていた。

その後のお付き合いは年賀状のやり取りや、メールのやり取りだった。

そんな親父さんから、食道癌だとカミングアウトを受けたのは
2007年の3月のことだった。手術は出来ないので、化学治療を
行った結果、癌細胞も見つからず、普通に過ごしていると。
4月にはまた旅に出る予定であると告げられた。

食道癌の予後が悪いということを私は知っている。
5年生存率もかなり低い。

看護学校に合格した事を伝えると、お祝いにと
神奈川も落花生の名産であると、美味しい落花生を送ってくれた。

その後、旅の便りを送ってくれたが、去年の年賀状では
「旅の足が止まってしまいました」と書いてあった。

今年は年賀状が来なかった。

もしかして・・・・とは思ったが、入院中かもしれないし
とても気にはなったが、どうしていいのかもわからずそのままに。

今日、外出先から帰ると、一通のはがきが来ていた。
親父さんの名字だが、下の名前が女性である。
父が去年の6月に他界したという内容であった。

今年の私の年賀状は、がんばっていますよ、という意味を
込めて、かなり恥ずかしかったが、白衣の写真を使った。
見てもらうことが間に合わなかったのが残念でたまらない。

春になったら合格の報告をしに行こう。