午後8時。限界。
「まじで無理っす。もう看れないです。」
とNsに訴える。
「そっか~、じゃぁ、家族に迎えにきてもらおうか。」
前の日に入院したアル中の患者さん。67歳、男性。
一応、脳梗塞疑いで入院となったけど、違うね、これ。
完全にアルコールが脳に飛んじゃっているね。
申し送りでは先日の夜勤で徘徊して他の人の部屋に入り引き出しから
物を取ってしまったという送りが。羽ばたき振戦もあったという。
ありゃま、肝臓もいってますか。でも、ちょっと羽ばたき振戦を見てみたい。
まだ、見た事がないんだよね。
まぁ、今までのアル中さんはアル中とは名ばかりでみんな素直でいい人ばかり
だったので、今回も私はたいした気にも留めていなかったわけ。
午後5時半、その患者のいる大部屋で配茶をする。他の患者と会話をしながら
お茶を入れているといきなりアル中さんが入り込んできた。
「どうしましたか?」
「え?冷蔵庫、冷蔵庫を探しているんだよ。そこだろ?」
「ここの病院は冷蔵庫がないんですよ、何を探しているの?」
「パイナップル」
「パイナップルはここにはないですよ、奥さんか家族の人に買って来てもらわないと」
「え?そうなの?困ったな~。じゃぁ、下か?」
「ここの病院は売店がないんですよ。ここがどこだかわかりますか?」
「ここ?ここは役所だろ?」
・・・・・。う~ん。困ったね~。
その後も徘徊がひどい。運動機能に障害はないので、スタスタ歩ける。
そして女性の部屋だろうが、他の人のベットだろうがおかまいなしに入って行く。
その都度、何度となく説明するが、理解しているとは思えない。
うちの患者は9割が歩く事ができない患者で8割ほどは自分でナースコールを押すことすら
できない人達ばかりなので、何かされても自分で助けをよぶことはできない。
アル中には眠剤も安定剤も効かない。
20時までは私も病棟の作業場で仕事をしているので、カーテンの開く音で動きがあることが
わかるので病室に行って様子を確認出来るのだがその後はステーションに移動するので動きを
即座に察知するのは無理。そしてこうも頻回で話が通じないし、体格もいいので、暴れられたら
ちょっと怖い。うちの病院の体制では限界を感じ、私は無理だと思ったので早々と白旗を揚げる。
当直の先生が精神科の先生ということもあり、家族を呼んでICしてもらうことに。
こちらとしては、外泊してもらって、翌日、点滴を打ちにまた来院してもらうという形に。
外来では打てない薬剤の為にあくまでも入院中で外泊扱い。
Nsから家族に電話をするも息子が「縛っておけばいいから」と拒否。
担当Nsはじゃがいもおばさんだったけど、こういうときだけ、役に立つ、強気な態度。苦笑。
21時。奥さんと息子夫婦が来院。息子夫婦なんて私とたいした歳は違わないと思う。
家族もやはり家では酒を飲んでしまうので、病院に入れておきたいという。
それなりにすったもんだしたみたいだけど、22時。家族がアル中さんを連れて帰る。
先生も慣れているみたいで「ああいう家族には、申し訳ないけどうちでは無理です。って
平謝りするしかないから。全然、楽な方な家族だよ~。最初から怒鳴り込んでくる家族も多いから」
先生の年齢も下手すると私より若いんじゃないかな~って感じなほど若い。
先生に専門の病院に入れば治るのか聞いてみたけど、あそこまで脳が萎縮しちゃっていたら
無理だね。って。一生、あのまんまでしょ。って。
アルコールって怖いね~。アルコール=肝臓ってイメージが強いけど、実は脳にもくるからね。
肝臓、患って死ぬ場合だって肝性脳症になればぼっけぼけだしね。
忘却は本人にはハッピーなことだけど、家族はそりゃ大変さ。
そしてそれが若くて体力もあればなおさらのこと。
あの家族の永い今後を考えるといたたまれない気持ちになるよ。
この仕事に就いて色々な家族を見てきて本当に自分は普通~の家に生まれて来たんだなって思うよ。
私の回りにも酒飲みはいっぱいいるけど、気をつけなよって思う。
最近、多いのは酒飲んで酔っぱらって転んで脊損で半身麻痺も増えて来ているからね。
今朝の奥さんの話だとアル中さんは自宅で一晩中、探し物をしていたってさ。
その人の生活環境や性格などアナムネを読んで知っているから何だか悲しくなったよ。
「まじで無理っす。もう看れないです。」
とNsに訴える。
「そっか~、じゃぁ、家族に迎えにきてもらおうか。」
前の日に入院したアル中の患者さん。67歳、男性。
一応、脳梗塞疑いで入院となったけど、違うね、これ。
完全にアルコールが脳に飛んじゃっているね。
申し送りでは先日の夜勤で徘徊して他の人の部屋に入り引き出しから
物を取ってしまったという送りが。羽ばたき振戦もあったという。
ありゃま、肝臓もいってますか。でも、ちょっと羽ばたき振戦を見てみたい。
まだ、見た事がないんだよね。
まぁ、今までのアル中さんはアル中とは名ばかりでみんな素直でいい人ばかり
だったので、今回も私はたいした気にも留めていなかったわけ。
午後5時半、その患者のいる大部屋で配茶をする。他の患者と会話をしながら
お茶を入れているといきなりアル中さんが入り込んできた。
「どうしましたか?」
「え?冷蔵庫、冷蔵庫を探しているんだよ。そこだろ?」
「ここの病院は冷蔵庫がないんですよ、何を探しているの?」
「パイナップル」
「パイナップルはここにはないですよ、奥さんか家族の人に買って来てもらわないと」
「え?そうなの?困ったな~。じゃぁ、下か?」
「ここの病院は売店がないんですよ。ここがどこだかわかりますか?」
「ここ?ここは役所だろ?」
・・・・・。う~ん。困ったね~。
その後も徘徊がひどい。運動機能に障害はないので、スタスタ歩ける。
そして女性の部屋だろうが、他の人のベットだろうがおかまいなしに入って行く。
その都度、何度となく説明するが、理解しているとは思えない。
うちの患者は9割が歩く事ができない患者で8割ほどは自分でナースコールを押すことすら
できない人達ばかりなので、何かされても自分で助けをよぶことはできない。
アル中には眠剤も安定剤も効かない。
20時までは私も病棟の作業場で仕事をしているので、カーテンの開く音で動きがあることが
わかるので病室に行って様子を確認出来るのだがその後はステーションに移動するので動きを
即座に察知するのは無理。そしてこうも頻回で話が通じないし、体格もいいので、暴れられたら
ちょっと怖い。うちの病院の体制では限界を感じ、私は無理だと思ったので早々と白旗を揚げる。
当直の先生が精神科の先生ということもあり、家族を呼んでICしてもらうことに。
こちらとしては、外泊してもらって、翌日、点滴を打ちにまた来院してもらうという形に。
外来では打てない薬剤の為にあくまでも入院中で外泊扱い。
Nsから家族に電話をするも息子が「縛っておけばいいから」と拒否。
担当Nsはじゃがいもおばさんだったけど、こういうときだけ、役に立つ、強気な態度。苦笑。
21時。奥さんと息子夫婦が来院。息子夫婦なんて私とたいした歳は違わないと思う。
家族もやはり家では酒を飲んでしまうので、病院に入れておきたいという。
それなりにすったもんだしたみたいだけど、22時。家族がアル中さんを連れて帰る。
先生も慣れているみたいで「ああいう家族には、申し訳ないけどうちでは無理です。って
平謝りするしかないから。全然、楽な方な家族だよ~。最初から怒鳴り込んでくる家族も多いから」
先生の年齢も下手すると私より若いんじゃないかな~って感じなほど若い。
先生に専門の病院に入れば治るのか聞いてみたけど、あそこまで脳が萎縮しちゃっていたら
無理だね。って。一生、あのまんまでしょ。って。
アルコールって怖いね~。アルコール=肝臓ってイメージが強いけど、実は脳にもくるからね。
肝臓、患って死ぬ場合だって肝性脳症になればぼっけぼけだしね。
忘却は本人にはハッピーなことだけど、家族はそりゃ大変さ。
そしてそれが若くて体力もあればなおさらのこと。
あの家族の永い今後を考えるといたたまれない気持ちになるよ。
この仕事に就いて色々な家族を見てきて本当に自分は普通~の家に生まれて来たんだなって思うよ。
私の回りにも酒飲みはいっぱいいるけど、気をつけなよって思う。
最近、多いのは酒飲んで酔っぱらって転んで脊損で半身麻痺も増えて来ているからね。
今朝の奥さんの話だとアル中さんは自宅で一晩中、探し物をしていたってさ。
その人の生活環境や性格などアナムネを読んで知っているから何だか悲しくなったよ。