前々回、太融寺の記事の中で、書き残していたことがありました。
同じ太融寺の境内に、芭蕉の句碑があったのです。
「おいおい、忘れるなよ」という声が聞えてきそうです(笑)
淀殿のお墓は、お寺の正門から入ってすぐ左に曲がり、
さらに左に曲がったところ…お寺の隅の方になるわけですが、
そういう場所に、お墓がひっそりと佇んでいるという印象でした。
案内の札がなければ、探しまわらなければならないでしょうね。
しかし、芭蕉の句碑は、まっすぐに本堂のほうへ行くと、
自然にそこに行きあたる…という目立つ場所にありました。
しら菊の 目に立てて見る 塵もなし
白菊の花は心から純白で、
よく目をこらして見ても
一片の塵もない清らかさをもっている。
…と、解説書には書かれています。
この句は、芭蕉が元禄7年(1694年)9月29日に、
大阪の女流門弟の斯波園女(しば そのめ)の招待をうけて、
北浜にあったと言われる園女亭という所でよんだ句だそうです。
招待主の斯波園女という女性を、目の前にあった白菊に託し、
その清楚な人柄を讃えた句である…と、伝えられています。
この女性も、芭蕉に称賛され、
それが後世に残り、幸せですよね
この句が読まれた約2週間後(10月12日)、芭蕉は、
「終焉の地」で書いたように、南御堂で亡くなっています。
芭蕉にとっては、これが最後の句会となったわけです。
淀殿の墓を見るために行った太融寺で、
思いがけず芭蕉の句碑に出会えたことは幸運でした。
芭蕉の句碑は全国各地に数多く建てられていますし、
大阪府内にも数え切れないほどありますが、
やはり、こういう出会いは嬉しいものです。