僕はうっかり人間だからマスクをつけ忘れて外に出ることが時々ある。妻と二人で出かける時は「マスク忘れてるよ」と言ってくれるので大丈夫だけど、先日、一人で歩きに出た時は、5分ほど経ってからマスクを忘れたことに気づき、また家まで取りに戻った。外出時にはたいていリュックを背負っているし、その中にマスクを数枚入れているので、普通なら家まで取りに帰らなくてもよかったのだけれど、この時はリュックを背負わずに出たのでUターンするハメになったわけです。
この間は、散髪に行ってそこでマスクを外していたものだから、店から出てもマスクをつけるのを忘れ、隣にあるイオンショッピングセンターにそのまま入ってしまい、店内で気がついてあわててマスクをつけた、ということもありました。周りにいた人たちでマスクをつけていない人は誰もいなかったので、あの時は本当に冷や汗が出ました。
それにしても、外に出ると、あの人も、この人も、どの人もマスクをしている光景が1年以上続くと、もうそれがごく当たり前の光景になって来ていますね。
道を歩いていたら向こうから自転車の乗った人がすれ違いざまに挨拶をされることがよくあります。マスクで顔半分が見えないので「えっ? 誰だっけ?」とわからないまま挨拶を返したりしています(笑)。買い物に行く時は妻と2人で歩いていることが多いので、相手の人から見ると僕たちのことがわかりやすいようで、後ろから自転車で追い越していく人からも挨拶されることがあります。一瞬その人の顔を見るのですが、マスクが邪魔して、僕も妻も、それが誰だかわからない。
こんなマスク生活が1年以上続くと、これまで想像もしなかったようなことも起きるようですね。ニュースで見たのですが、ある大学生などは、去年の4月に入学し、もう1年以上経つというのに大勢の学友たちの顔が覚えられない。なぜならみんなマスクをしているから。マスクを外した顔を見ようと思えば一緒に食事に行くぐらいしかないです、と語っていました。こんなことになるんですよね。
そんなマスクに関して、三谷幸喜さんが面白い話を書いていました。
マスク生活も1年以上経過し、この間に知り合った人は顔の上半分しかわからないので、いわゆる「一目惚(ぼ)れ」というのは成り立たないのではないか。出会って一瞬にして相手を好きになるのが「一目惚れ」だけど、顔の上半分だけ見て好きになってしまうことってあるのだろうか。もし上半分は好みの顏だとしても下半分がそうでなかったとしたら…そんな危険な賭けをしてまで誰かを好きになることがあるのだろうか。
というような話で、笑っちゃいました。面白い発想ですよね。
でもね。僕の印象では、女性がマスクをつけると顔が神秘的になり、キリっとして凛々しかったり、知的だったりしてカッコいい…という印象を受けるんです。
三谷幸喜さんもそのあたりに触れていて、
「逆に、上半分しか見えないからこそ想像が膨らみ、むしろ『一目惚れ』率が上昇する可能性もなくはないが」
とも書かれていました。
ま、そういうことです(どういうことや?)。
さて女性の方たちも、マスクをするとメイクが簡単でラクチンと言っておられる方も多いようです。うちの妻も同様の理由で「マスク大好き」と喜んでおります。なんだかもう「マスクなしでは生きていけないわ」という感じです(笑)。
というわけで、今やすっかりマスクは人の「顏の一部」になってきましたが、しかしまぁいつまでこんなことが続くのでしょうね。
ひょっとすると、コロナが過ぎ去っても、ほとんどの人がマスクをし続けるのではないか、な~んてことも想像します。クセになる、ってやつですかね。