NHK大河ドラマ「青天を衝け」も大詰めを迎えてきた。そして前回(5日)の放送では、日清戦争に勝利した頃の日本の政界や財界の様子が描かれていた。
そのドラマの最後のほうで、主人公の渋沢栄一が伊藤博文と話す場面があった。
伊藤博文はこれからの日本の躍進を熱い口調で語るのだけど、渋沢はそれに応じず自分の体力の衰えを漏らす、というシーンだった。それが妙に印象に残ったのです。
渋沢は伊藤博文の熱弁を耳にしながら、ソファにもたれて、
「いろんなところにガタが出てくる」
「もう、すっかり年寄りだ」
と気弱なことを口にする。
「なんの。まだ気張ってもらわんといかん」
と伊藤は渋沢を懸命に励ます。
そんなシーンでした。
「いろんなところにガタが出てくる」と言った「ガタ」という言葉。
久しぶりに聞く言葉です。
そういえば、僕も最近「ガタ」を感じることが多くなりました。
耳鳴りと不整脈は以前からの「ガタ」ですが、このごろは腰痛を感じたり、左手の5本の指がこわばってギュッと曲げると痛みを感じたり、胸のあたりが時々キュンと痛くなったり、左腕を上げると肩が痛んだり、椅子から立ち上がろうとしたら膝が痛かったり…。まぁ、いずれも大した症状ではないんですが、それこそ渋沢栄一がドラマの中で「いろんなところにガタが出てくる」と言ったのと同じですわ。
ま、「ガタ」で終わればいいけど「ガタガタ」にはならないように。
ということで、「青天を衝け」の前回放送分では、渋沢栄一のこのセリフが強く印象に残ってしまったわけです。
ところで、
「もうすっかり年寄りだ」と言った渋沢栄一はこの時何歳だったのか?
…と広辞苑で調べてみたのですが、1840年生まれでした。天保の時代ですね。そして前回放送分の渋沢と伊藤博文との会話が交わされたのが日清戦争直後なので、1895年。ということは、つまりこの時、渋沢栄一は55歳だったということになります。
55歳といえば、今ではバリバリの現役ですが、明治時代だったらもう高齢者の部類に属していたのでしょうね。だから「もうすっかり年寄りだ」と言っても不思議ではなかったわけです。
しかし、驚いたことにこの渋沢さま。なんと91歳まで生きておられた!
広辞苑に「1840年~1931年(昭和6年)」と載っています。
「いろんなところにガタが出てくる」と言ってからあと、36年も生き延びられたのだから、すご~い。
結局「ガタ」ぐらいは大したこっちゃない、
ということですかね。
そのシーンです(わが家のテレビ画面から)