釋守成の転居物語(旧タイトル・GONTAの東京散歩)

またまた転居を目論んでいます。
5年間で5回の転居。
6回目の転居の経緯を書いていきます。

血脈桜

2009年04月11日 21時21分24秒 | 四季の花
桜の名前にもいろいろあります。

日本には野生品種が10種類(数え方でいろいろあります。)と250種から300種といわれる自然交配や人工交配で出来た栽培品種があるといわれています。

昔から気になっていた名前の桜があります。

松前早咲
という桜です。



(新宿御苑/4月6日)

これ自体は「松前の早く咲く桜」っていう意味ですが、別名が変わっています。

それが血脈桜というものです。

調べてみるとこの名前に面白い由来がありました。
この桜は北海道松前町の光善寺に原木があって、その木自体が血脈桜と呼ばれていて、この桜の種類は、松前では「南殿(なでん)」と呼ばれいます。

さてその由来というのは、
江戸時代、松前に住む鍛冶屋がある年の春に娘を連れて、上方に出かけたそうです。吉野で出会った尼さんから一本の桜の苗を授かり、帰郷してその苗を菩提寺に納めたそうです。
 それから時がたち、桜が大木になった時のこと、寺の本堂修理のため、やむなくなくこの桜を切ろうとした前の晩に、住職の枕元に一人の女性が現れ、「死は明日に迫る身、血脈を与えられよ」と頼んだそうです。
血脈(けちみゃく)というのは、在家の受戒者に授ける法門相承の系譜の書付で、それを死後に棺におさめるものだそうです。(「けつみゃく」ではなく「けちみゃく」だったんですね。)
夜も更けていたので、住職は「明日にしてほしい。」と断っても、女は聞き入れないので本堂で念仏を唱えて血脈を与えたそうです。
 翌朝、住職が桜を切ろうとを見上げると、桜の葉の間に白いものが動くのでよく見ると、それは前夜女に与えた血脈だったそうです。
「あの女は桜の精だった・・・。」と伐採をやめ、盛大に供養を行ったそうです。それ以降、桜は大事に守られ、「血脈桜」と呼ばれるようになったそうです。
めでたしめでたし。

ものの本には240年前に本州から導入されたということで、江戸時代には松前にあったことは確実です。
松前で呼ばれている「南殿(なでん)」は「タカサゴ」という桜が「なんでん」「なでん」「なてん」などと呼ばれることで混同しやすいので、「マツマエハヤザキ」という名前で広く呼ばれるようになったようです。
「南殿」は御所に南殿にあったからともいわれています。
桜の名前は似たものが多く、混同を避けるために一般名称を変えることがあるんですね。
前に書いた「ヒカンザクラ」が「カンヒザクラ」になったように。

でも「血脈桜」っていうのも捨てがたい名前ですよね。
花はご覧のように八重咲きで桃色も美しく可憐な花です。
コメント (3)
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