現在、北海道に帰省しております。
今日は予報が大外れの晴天。前から行きたいと思っていたウポポイ(民族共生象徴空間/国立アイヌ民族博物館)に行ってきました。
僕がアイヌに興味を持ったきっかけは、万年筆でした。デルタ万年筆の「少数民族シリーズ」のデザインが好きで、世界各地のトライバルな音楽や伝統的な意匠を調べていくうちに、そういえば自分の故郷にはアイヌの文化があると気付いたのです。
といっても、スマホにアイヌ紋様の壁紙を設定したり、YouTubeでアイヌ音楽を聴いて、自分の音楽に要素を取り入れられんかなと思案した程度ですが。
ちなみに、我が家は石川県から移住してきた一族なので、アイヌとの血脈的な関係はありません。でも、ウポポイのある白老の隣町で生まれ育ったせいか、アイヌ文化に触れると、魂が異空間に吸い込まれるというか、悠久の記憶に浸る、みたいな感覚になります。プラシーボ的なものなんでしょうけど。
そんなわけで、ウポポイに入場したところから、何やら真面目な気分に。蝦夷の森を描いた壁に挟まれた入場通路の両サイドから、森の音が聞こえてくるので余計に。
まず、予約制の二階の展示を見ました。アイヌの世界観についてのアニメが興味深い。アイヌとは人間のことで、人間の世界がアイヌモシリ。万物には魂が宿っており、中でも強いのがカムイ。熊のカムイが里に降りてきてアイヌと交流(皮を使われたりする)し、奥山に帰っていく。カムイは他のカムイに人との交流について話し、地位が上がる。自然の恵みへの感謝を都合よく物語にしてる感がなくもないですが、RPGやファンタジーに出てくるアニミズム的世界観の本物版だなと思いました。
シアターで映像を2本見ました。「世界が注目したアイヌの技」は、アイヌの収蔵物の有無によってその博物館の価値が決まるという話で、ほんとかよと思いましたが、スミソニアンや大英博物館も自慢してたので、そうなんでしょう。「アイヌの歴史と文化」は、意味なくフランス革命が出てきたり、急に樺太・千島からの強制移住の話に飛んだ意図がわからなかったり、構成に難ありでした。そして、両方とも字幕が音声と少し違う。
楽器演奏鑑賞では、ムックリとトンコリの説明と演奏を聴きました。ムックリは、あのビョンビョンってやつ。シンセで音色作るのは簡単そうですが、のほほんとした曲になりそう。トンコリは透明感がなく、アタックがちょっと歪む琴かなと思いました。全部解放弦と聞いて、五弦だから使うのは五音だけか。簡単だな、と思いました。
最後に交流ホールで伝統芸能上演「シノッ」を鑑賞。トドマツの踊りでは、当時のアイヌの女の子は、こんなさらさらロングヘアじゃないだろうと思ってたらヘッドバンギングを始めて、なるほどこのためか、と納得。朗読のような歌のようなカムイユカラは、髭の濃いマッチョなイケボで、我々が期待するアイヌの漢の声でした。
第一公用語がアイヌ語ということで、全ての表示が、まずカタカナ表記のアイヌ語から。スタッフのアナウンスもアイヌ語から始まる。ロゴマークや各種の表示がアイヌの意匠を現代風にアレンジしたものでかっこいい。デザインに物凄く金がかかっています。さすがナショナルセンター。共生空間の名の通り、我々和人にアイヌの世界を体験してもらおうという意図がそこかしこに感じられました。
シアターの映像だけは、アイヌ文化の素晴らしさを解れよといった、やや強気な態度も感じましたが、アイヌの世界に思いっきり浸れて、トータルでは大満足でした。
フェンダーのエレクトリックトンコリ? これを使っているというOKIさんの音楽に今大変興味を持っております。展示室は動画撮影不可とあったので静止画を撮りましたが、載せて大丈夫かな?