ゴールデンウィーク後半、まったくブログのことを考えずに過ごしていたら、間が空いてしまった。今日は企業の悪しき慣習について書く(大袈裟)。
僕は腕時計をやたら長くもたせる人で、次のを買うまでだいたい10年は使う。去年まで使っていたシチズンの初代ナビホークなんかは20年使った。
ナビホークを長く使えた最大の要因は、ソーラー電池駆動だと思う。バッテリーの残りを気にしなくていいのは、本当に気が楽だ。その前に使っていたセイコーのスピードマスターは電池交換式で、交換から1年半ほど経つと、そろそろかなあ、と心の片隅で常に気に掛けなければならなかった。
しかし、バッテリー無限のナビホークも、ついに寿命がきたのか、昨年動きがおかしくなった。いよいよ買い替えか。
ナビホークはデカくて重かったので、今度は軽いのがいい。アナログだと長針や秒針が場所によっては目盛から0.1ミリずれてるとかが気になるので、デジタルでもいいや。ソーラー駆動は絶対条件。
ナビホークが不調になったころ、次までの繋ぎとして、カシオのF-91Wを使っていた。いわゆるチープカシオってやつで、価格に見合わぬ耐久性と性能ゆえか某イスラム過激派で採用され、海外ではビンラディンモデルなどというありがた迷惑な呼ばれ方をしている腕時計である。
僕もこのF-91Wの工作精度の高さに感心していたので、次はカシオにしようと思った。ナビホークは、僕としてはまあまあ高価な時計で、8万5千円だったが、今回は2万円前後で考えていた。
まず候補に上がったのはG-SHOCKのGBD-200だった。MIP液晶で、スマートウォッチ的にいろんなスタイルの表示ができそうだったから。だが、いろんな表示は歩数計や運動の記録用であって、アナログ時計っぽいモードなんかはなかった。何より電池駆動だった。
なんで?!
MIP液晶はバッテリー消費少ないのが売りじゃん?
ソーラー電池を組み込むのが難しかったのか?
歩数カウント用の機構が電池喰うのか?
大きな表示による視認性やスマートウォッチ的な目新しさに惹かれつつも、実用性、何よりソーラー駆動を重視して、僕はM5610U-1JFを購入した。G-SHOCKの中でもオリジナルの5600シリーズで全部入り、ソーラー駆動、電波時計のモデルである。
M5610には満足している。元祖G-SHOCKの最新型。世界一タフな腕時計のフラッグシップ。5600シリーズでは、もっと高いメタル外装のもあるけど、樹脂製のこれがジ・オリジンなのである。
だが、チラ見したときの視認性だけはよろしくない。そんなに大きくもないデジタル表示なので、通勤中に駅の中を人を縫うように小走りしながら時間を確認する時なんかは、GBD-200なら見やすかったんだろうな、と思ったりする。GBD-200がソーラー駆動だったらなあ。
と嘆いていたら、DW-H5600という新しいMIP液晶モデルが発表された。5600シリーズと同じガワで表示がMIP液晶。加速度センサーや光学センサーで歩数や心拍数を計測可能。そしてソーラー駆動! メインはUSB経由での充電だが、時計表示だけならソーラー電池で動くらしい。
うーむ。
ソーラー駆動のMIP液晶モデル。魅力的だ。でも加速度センサーや光学センサーは不要だ。それで2万高くなってるんだろうし。時計だけでいいんだ。時刻表示だけのために(多少表示スタイルを変えられてアナログ針ぽいのもあってほしいが)、MIP液晶採用だって十分ありだと思うのだが。
分からなくはない。共感はしないが理解はできる。社内で企画が通らないのだろう。前のとどこが違うの? 他社との差別化は? スマートウォッチに見えるMIP液晶なのに時刻だけ? これの付加価値は? と言われてしまうのだろう。
会社の偉い人たちは、なんで付加価値を求めるのだろう。付加価値を求めないと役員ぽくないとでも思っているのだろうか。わかりやすい付加価値がなくても商品価値の高い製品はいくらでも作れるし、欲しい人はたくさんいるということが分かってない。
SoCは最上位のままで、無駄機能を省いて安くしろって言ってんだ。Xperia、お前のことだぞ。
かといって、バルミューダのスマホみたいなのもダメだ。無駄はなくても基本がなってないから。基本だけを追求した製品も出せって言ってんの。ソニー、お前のことだぞ。
新製品が出るたびに、目新しさがないとか勝手なことを書くネットメディアも悪い。あれも、そうしないと書くことがないからそう書いてるだけだったりする。僕もあの業界にいたから分かる。
カシオは、機能を足したり抜いたりしてたくさんバリエーションを出す会社だと思うので、スポーツアクティビティ(笑)機能を抜いてソーラー駆動のみのGBD-200やH5600を出してくれるんじゃないかと、淡い期待を抱いている。