かつて田中角栄さんは「数は力なり」という考えで、まつりごと、政治に取り組んだとされています。
これはメディアが勝手に貼ったレッテルでもありましたから、ぼくはそのまま信じ込んだりはしません。
しかし角さんが、おかしなお金を使っていたのは紛れもない事実です。
政治記者の時代に、角さんからこうやっておカネをもらったという政治家の話を何人もから直に聞きました。
それだけではないのです。
総理官邸記者クラブにいて総理番記者だったとき、先輩記者が「俺が田中総理の総理番だったとき、総理が番小屋 ( この場合、田中総理の私邸で共同、時事の両通信社の総理番記者が総理が就寝されるまで詰めている狭い建物 ) に下駄履きでやって来て、カネをくれたもんだよ。お前もそれぐらい総理に食い込め」と仰ったのです。
ぼくは憤激して、「それはただの汚いカネ、記者が絶対に受け取ってはいけないおカネではないですか。それを自慢話にするなんて、信じがたいことです」と抗弁しました。
そもそも、ぼくが総理番記者を務めた中曽根、竹下総理は、少なくとも総理番記者にそんなことはしませんでした。
( ただし、このとき総理官邸にいた別の先輩記者は、竹下総理サイドから、もっと巧妙に、もっと多額のお金を受け取っていたことが後日、インテリジェンスの証言から分かりました。この人は、かなり有名な政治評論家になってテレビに出ています )
前述の田中政権時代の総理番だった記者が仰ったこと、それが事実かどうか、実は調べました。
当の先輩記者はご存じありません。
すると何と、警察がこれを知っていました。
▼田中角栄さんは、こうしてありとあらゆるところにおカネを配って、自由民主党内でも数を確保し、派閥を作っていたことは真実です。
したがって、数は力なりという言葉は、メディアの作ったものであっても、カネで集めた数で日本のまつりごとを差配するという間違ったことをなさっていたのも、事実です。
ぼくが山田宏参議院議員をはじめ、今や59人に達した議員グループ、任意の議員集団をつくっているのは、1円たりともお金を使わずに、国益と国民益のために命をかける志だけで国会議員は集まる、力のある数も形成するということを、理想論に終わらせず実現することもまた、目的のひとつです。
▼たとえば石破茂さんは、安全保障をめぐって、不肖ぼくと長年、よき議論相手です。
ただ、派閥をつくらないと宣言されていたのに、今は歴然たる派閥である石破派の長ですね。
かかるお金もまた、きっと、たいへんでしょう。
しかし1円もお金を要しない護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) は、すでにその石破派の3倍を超えました。
自由民主党を内部から変えるとは、これもまた、そのひとつなのです。
だからひとつ前のエントリーのタイトルを、「良き数は、良き力なり」と記しました。
そしてぼく自身が政治献金を1円も受け取らない、政治資金集めパーティも決して開かないのは、こうした姿勢を護る会の代表として、まずこの身をもって示すためでもあります。