男たちの誇りは諦めなかったこと。
そして勇敢であったこと。
秋深し北の湖
エディー・ジョーンズはアントラーズにやって来た頃のジーコとほとんど同じことを言っている。
「HC就任当時の、日本代表チームの印象を教えてください。」「非常に選手たちが弱いと感じました。フィジカル面もメンタル面も弱く、向上心もそれほどない。日本の中でそこそこの選手になることで満足していると感じました。そして、「世界の中で日本のラグビーは弱くても仕方ない」と受け入れているような雰囲気さえ感じました。」これは日本全体に言えることだと思います。「まず変えなければいけなかったことは、マインドセットです。考え方を変えることでした。 選手自身が、日本の中だけで満足するのではなく「世界で戦えるような選手になりたい」という強い気持ちを持つ。そのためには、チームの環境も変えなければいけませんでしたし、完全なプロ意識を持つチームをつくりあげ、それぞれ世界で戦える選手として成功を収めるためには、われわれがどこに向かっているかという明確なビジョンを掲げる必要がありました。」「日本代表が成功を収めるために必要だったことは、フィットネスを高めること、素早いチームになること、スキルが高いチームになること、そして戦術的に賢く戦えるチームになることでした。」「ビジネスもラグビーも同じです。常に変化し、常に向上しなければいけません。伝統や価値観は継続しながらも、機能、やり方、考え方は変えなければいけません。これまで日本のラグビーはそれをしてこなかった。私はそこを変えたいという想いがありました。」「ビジョンに向かう明確な目標を掲げ、そこに進むためにメンタル面も充実させなければいけませんでしたし、それを達成するために、日本人の体格に見合ったスタイルを編み出す必要がありました。 そして、それを成し遂げるために世界中からベストスタッフを集めました。」「そして、私が常に心がけていることは、自分が就任したときから何をどこまで引き上げるか、ということです。現状と理想の差を分析し、ギャップを見る。」「やるといったことはやる。選手と向き合い、そこから逃げないことです。そして何か衝突や摩擦があればすぐに対応する。決して問題を後回しにしません。」「英語でこんな言い回しがあります。「明日素晴らしいことをやるよりも今日いいことをやろう」と。」「しかし試合後、チームの中には、その負けを次に生かそうとする選手たちの姿がありました。私はその様子に非常に感心しました。」「結果を残すことは自信にもなりますし、非常に大事なことなのです。」「選手のマインドセットを変えるときには、マネジメント側が常にやらなければいけないことがあると思います。」「それは、(1)メッセージは一貫性を持つこと、(2)それを何度も繰り返し伝えることです。」「何か意見があればわれわれと話し合うことができます。けれども、核となる価値観については交渉できません。それが大事なことだと思っています。」「日本のラグビーでは、この選手はこうだと決めつけるのがかなり早いと思います。もうこの選手にこれはできない。この高校を卒業しているから、この大学を卒業しているから、と。それは良いことではありません。」「やはり人が持っているポテンシャルに対しては、オープンにならなければいけません。あとはポジティブになることです。マネジメントする者は、全員を育てることができる、伸ばすことができる、とポジティブなマインドセットを持つことが重要です。」「ゴールは共有しておいて、手段は任せる。」「マネジメントの仕事というのは、自分の上にいる人たち、自分の下にいる人たち両方をマネジメントしなければいけません。」「どんなマネージャーでもコーチでも自分がやることなすことに対して非難する人は必ずいます。」「全員がハッピーになることはありません。自分がやっていることを信じ続けることが大事なのです。」「組織のリーダーになるには、自らが学ぶ姿勢を持ち、メンバーのよいお手本とならなければいけません。すべてにオープンであり、いろんなところに目を配り、学ぶ姿勢を持つことを自らが実践することです。」