和田氏座右の銘「絶望の虚妄なること、希望の虚妄なるが如し」これは和田勉じゃなくって、魯迅の言葉だったんだな。魯迅から再発見。同じ虚妄なら希望を選ぶ魯迅の決意が現れている。 . . . 本文を読む
左衛門 私もそのような気もするのです。けれどそのような心持ちはじきに乱されてしまいます。一つの出来事に当たればすぐに変わります。そして私の心の中には依然として、憎みや怒りが勝ちを占めます。そして地獄を証するような感情ばかり満ちます。親鸞 私もそのとおりです。それが人間の心の実相です。人間の心は刺激によって変じます。私たちの心は風の前の木の葉のごとくに散りやすいものです。左衛門 それにこの世の成り立 . . . 本文を読む
『芝居や講談にはややもすると拷問の場が出るが、諸大名の領地は知らず、江戸の奉行所では前にいったような事情で甚だしく拷問を嫌うことになっている。あの町奉行は在職何年のあいだに何回の拷問を行ったといわれると、その回数が多ければ多いほど、彼の面目を傷けることにもなるので、よくよくの場合でなければ拷問を行わないことにしているのであるが、相手が強情でどうしても自白しない場合には、否でも応でも拷問を行う外はな . . . 本文を読む
あしたこそと思いながら達成を見ない日々の辛さは孤独を深める。
あすは、明日は、
トゥルゲニエフ Ivan Tourguenieff
上田敏訳
いかに、わが世の、あだなるや、空なるや、うつろなるや。げに、人間のあとかたの覺束おぼつかなくて、數少なき。徒らなるは月日なり。
しかも萬人は生を惜む。いたく、性命を尊みて、これより、我より、當來より、なに物か、えまほしく、求めてやまず……噫あゝ . . . 本文を読む
『やがて 、円玉と私とは夜更けの新大橋を渡っていた 。ひたひたと寄せている川水に 、上弦の月が赤黄色く 、水と砕けて散っている 。人通りもない橋の上の 、酔いの覚めた二人の頰に 、夜更けの風が冷たいほどだ 。』
川口松太郎のこういうところを描く絵がいいね。今よりもずっと東京の夜が暗かったことが想像できる。
『「講談速記も将来はないでしょう 」と 、いえば 、 「当り前だ 。親父もやがては種切 . . . 本文を読む
吉井勇も忘れられた歌人、作家。ゴンドラの唄「命短し恋せよ乙女~♬」の作詞者というえば、聞いた覚えがするかもしれない。
立場が貴族だが、もっとも庶民に近づいた貴族だったかもしれない。
「或日の小せん」は本当に小さな短編だが、いかにむかしの芸人が教養人だったかということがわかる。初代柳家小せんといえば、晩年は六代目圓生にも稽古をつけた三好の名人。その芸を知る機会は失われてしまったが、そ . . . 本文を読む
珍しく新書を紹介する。
不思議に反ポツダム体制*の志士の青春は左翼と変わらない。ただ師弟の関係があるところが、大いに違う。そんなものかと思い改める。同じ時代を生きると、立場は違っても結局同じ汚れ方をしていくものだ。
生きてさえいれば、何度もでくわせることは価値が低く、一度しか経験できない死に高い価値を見つけることが、あたかも生き様を彩る全てであるかのような選択は愚かである。
死は生きて体験して . . . 本文を読む
技術開発から二十年経過しようとしている。日本で発見されたウイルスを遺伝子工学で再構成した遺伝子導入ツール。山中教授のノーベル賞受賞技術i PS細胞誘導遺伝子セットを搭載して臨床での活躍の機会を待っている。
20年前は一般病の遺伝子治療など夢物語に等しかった時代。遺伝子ベクターと言っても誰も理解されなかった時代。ベンチャーという言葉さえ理解されなかった時代。僕らは高い壁に這い上がろうとしていた . . . 本文を読む
ちょっと昔の話でも、地名がおぼつかないと作品の味わいが薄れるものだ。東京は必死になって江戸の名残りを壊し、震災は町の形を変え、戦後は小役人の田舎土産に地名を次々書き換えたものだから、新石町と言ってもはや手がかりすら今は無い。
川口は第一回直木賞作家。いまや直木三十五も知らない人ばかりで、三十五を今更どんな野郎だったのか知っても何の足しにもならないが、川口松太郎のこの作品は日本人ウケするオー・ヘン . . . 本文を読む
2・26事件の起こった昭和11年5月、阿部定事件が起きた。その定ことお定さんに坂口安吾が11年後、昭和22年にレビューしていることをご存知だろうか?騒がれすぎた事件というのが坂口安吾の評価である。お定さんは異常者ではなく普通の人として評価し描かれている。時代がファッショに進みだすとこんな事件がおこる。手品を完成させるために国民には目をそらしていて欲しいのだ。
坂口安吾は特攻隊についても書いたが、 . . . 本文を読む
消費者の消費行動抵抗線は、価格や割引率、情報量やブランド力など個々には複雑な動因で決定していることが多いが、集団的動向を見ると2009年以降、ほぼ<年間消費額2万円の法則>に従っている。
豚肉なら1回300~400円台で年間60回は購入し、牛肉なら1,000円台前後で20回購入する。昨年のキリンの発表では日本は43.5リットル(350mlの缶ビール換算で124本)通常のビールなら17,000円くら . . . 本文を読む