世界有数の正義原理主義者といえば、イスラム教シーア派は外せない。
前から私は中東、ことにサウジアラビアとイランの核戦争を懸念しているが、サウジアラビアにとって南イエメンはオセロゲームのコーナーに相当する。このゲームの終着点はマッカである。米国がサウジアラビアを見捨てないように慎重に原油価格政策を選択してきたサウジアラビアがシェールオイルおよびシェールガスの地政逆転で破れかぶれの力の政策に向かって、湾岸の危機を高めてさらに米国の関心を引こうとするだろう。南イエメンにイランの支援が間接的に入っていることは明白で、選挙資金を餌にしてメディアを使った反イラン攻勢とロビー活動が活発になるだろう。ロシア=イランという構図を使えばアホな米国民はトランプがイランの南イエメン支援を黙認したという絵空事も信じてくれる。パキスタンを見捨てた米国第一外交の副作用が出てきていることはこのフーシー派分離独立で明白となってきた。「イスラエルの元情報機関トップ、アモス・ヤドリン氏は、2013年にスウェーデンで開かれた会議で、「(イランが核爆弾を手に入れれば)サウジアラビアは1カ月も待たないだろう。(サウジ側は)核爆弾の代金は払い済みだ。パキスタンに行って、持ってくるべきものを持ってくる」と語っている。」
『(c)AFPBB News
【1月29日 AFP】内戦下のイエメン南部アデン(Aden)で28日、南部分離派が激しい戦闘を経て政府庁舎を占領した。これを受けてイエメン政府は、クーデター行為だと非難した。
戦闘では少なくとも15人が死亡。病院関係者らの話では、うち3人が民間人だという。また国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」はツイッター(Twitter)で、アデン内のMSF施設の1か所に負傷者50人が搬送されたと発表した。
イエメン北部の大部分を支配するイスラム教シーア派(Shiite)の反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」が2014年に首都サヌア(Sanaa)を占拠して以来、アデンがイエメンの事実上の首都となっている。
同市で戦闘が発生したのは、政府の退陣を求めて集会を開こうとしていた分離派のデモ隊が、市内に入ることを阻止されたのがきっかけだったという。
分離派側は、デモ隊に向かって発砲を命じたとして、アハマド・オバイド・ビンダグル(Ahmed Obaid bin Dagher)首相を非難した。
治安筋がAFPに対し語ったところでは、アラブ首長国連邦(UAE)から訓練や支援を受けている分離派の部隊が、この戦闘後に政府庁舎を占領したという。
政府は、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)大統領を支援しているサウジアラビア主導の連合軍に介入を要請。今回の戦闘で、イエメンの混迷はさらに深まっている。(c)AFPBB News』
『【1月18日 AFP】サウジアラビアは17日、イエメンからの財政支援の要請に応じ、同国中央銀行に20億ドル(約2200億円)を送金すると発表した。イスラム教シーア派(Shiite)反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」とイエメン政府の内戦が長引く中、同国通貨イエメン・リアルの急落を食い止めるための救済措置。
イエメン政府は首都サヌア(Sanaa)や北部の広い範囲を支配下に置く「フーシ派(Huthi)」との内戦で困難にあり、サウジアラビアは約3年にわたり同政府に軍事支援を行ってきた。
サウジアラビア内務省は「イランが支援する武装勢力、フーシ派(Huthi)の行動によってイエメン国民が直面している経済情勢の悪化に対処するため、サルマン・ビン・アブドルアジズ(Salman bin Abdulaziz)国王は、イエメンの中央銀行に20億ドルを送金するよう指示した」と発表した。
同国通貨は1ドル当たり500イエメン・リアルで取引されており、内戦前の約215リヤルから大幅に下落。日常的な食料品の多くを輸入に頼るイエメンにとって、この変動は深刻な打撃となる。
イエメンのアハマド・オバイド・ビンダグル(Ahmed Obaid bin Dagher)首相は、フェイスブック(Facebook)への投稿で、「イエメンを飢餓から救うため」、中央銀行に現金を振り込むよう政府の支援者らに求める書簡を公開した。
イエメン国営サバ(Saba)通信によると、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)大統領は16日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子との電話で「イエメンが直面する経済的困難」を訴えた。
世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアは、2014年の原油価格の急落が歳入を直撃して以来、4会計年度にわたり大幅な財政赤字を計上している。(c)AFP』
中東調査会の立ち位置、よくわからない。プランがあるのは勝利が確定した側だろう。
『 イエメン:南イエメン移行評議会がアデン市を制圧
NEW2018イエメン湾岸・アラビア半島地域 公開日:2018/01/31
2018年1月27日ごろから、アデン市でハーディー前大統領派と南イエメンの分離独立派と目される「南イエメン移行評議会」との戦闘が激化し、後者がアデン市や中央銀行など同市にある政府関連施設を制圧した。イエメン紛争に介入するアラブ諸国の連合軍は、アデン市を追われたハーディー前大統領派の閣僚を保護して軍事基地に移動させたほか、両派に停戦を呼びかけるとともに「南イエメン移行評議会」部隊による大統領宮殿突入を阻止した。
31日付の『ハヤート』(サウジ資本の汎アラブ紙)は、戦闘によりハーディー前大統領派の部隊が崩壊し、「南イエメン移行評議会」の部隊がアデン市を完全に制圧したと報じている。
評価
「南イエメン移行評議会」は、もともとハーディー前大統領派に参加していた勢力が、2017年5月に同派内の役職や権限の配分への不満から袂を分かったものである(中東かわら版 2017年No.29)。ただし、このような事態は南北イエメンの統一(1990年)、南北内戦(1994年)以来の政治・経済的権益配分への南イエメン側の不満に起因しており、その意味でアンサール・アッラー(=フーシー派の正式名称)による奪権運動と共通の土壌に基づいている。
アラブ諸国の連合軍は、アデンでの戦闘がアンサール・アッラーとの戦闘に悪影響を及ぼすと考え、ハーディー前大統領派と「南イエメン移行評議会」の双方に停戦と対話を呼びかけているが、連合軍やその参加国がどのように両派を調停するかは不明である。イエメンでは、下落を続けていたイエメン・リヤールの対ドル相場が、1月にサウジがイエメン中央銀行に20億ドルの預け入れを表明したことによりいったんは持ち直していたが、今般の戦闘を受け預入表明前の1ドル500リヤール程度まで下落した。
イエメン紛争については、サウジとイランとの代理戦争としての側面が強調されがちだが、政変後の政治的移行や権益配分が不調に終わったという内政上の事情をないがしろにしてはならない。現時点では、紛争に介入する諸外国やイエメン国内の諸当事者が、イエメンにおける政治・経済的な権益をどのように配分するのかについて現実的な構想を示しておらず、事態打開の見通しは開けていない。また、紛争の激化に伴い、伝染病の蔓延や食料不足などの人道危機も深刻化している。
(髙岡上席研究員』
前から私は中東、ことにサウジアラビアとイランの核戦争を懸念しているが、サウジアラビアにとって南イエメンはオセロゲームのコーナーに相当する。このゲームの終着点はマッカである。米国がサウジアラビアを見捨てないように慎重に原油価格政策を選択してきたサウジアラビアがシェールオイルおよびシェールガスの地政逆転で破れかぶれの力の政策に向かって、湾岸の危機を高めてさらに米国の関心を引こうとするだろう。南イエメンにイランの支援が間接的に入っていることは明白で、選挙資金を餌にしてメディアを使った反イラン攻勢とロビー活動が活発になるだろう。ロシア=イランという構図を使えばアホな米国民はトランプがイランの南イエメン支援を黙認したという絵空事も信じてくれる。パキスタンを見捨てた米国第一外交の副作用が出てきていることはこのフーシー派分離独立で明白となってきた。「イスラエルの元情報機関トップ、アモス・ヤドリン氏は、2013年にスウェーデンで開かれた会議で、「(イランが核爆弾を手に入れれば)サウジアラビアは1カ月も待たないだろう。(サウジ側は)核爆弾の代金は払い済みだ。パキスタンに行って、持ってくるべきものを持ってくる」と語っている。」
『(c)AFPBB News
【1月29日 AFP】内戦下のイエメン南部アデン(Aden)で28日、南部分離派が激しい戦闘を経て政府庁舎を占領した。これを受けてイエメン政府は、クーデター行為だと非難した。
戦闘では少なくとも15人が死亡。病院関係者らの話では、うち3人が民間人だという。また国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」はツイッター(Twitter)で、アデン内のMSF施設の1か所に負傷者50人が搬送されたと発表した。
イエメン北部の大部分を支配するイスラム教シーア派(Shiite)の反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」が2014年に首都サヌア(Sanaa)を占拠して以来、アデンがイエメンの事実上の首都となっている。
同市で戦闘が発生したのは、政府の退陣を求めて集会を開こうとしていた分離派のデモ隊が、市内に入ることを阻止されたのがきっかけだったという。
分離派側は、デモ隊に向かって発砲を命じたとして、アハマド・オバイド・ビンダグル(Ahmed Obaid bin Dagher)首相を非難した。
治安筋がAFPに対し語ったところでは、アラブ首長国連邦(UAE)から訓練や支援を受けている分離派の部隊が、この戦闘後に政府庁舎を占領したという。
政府は、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)大統領を支援しているサウジアラビア主導の連合軍に介入を要請。今回の戦闘で、イエメンの混迷はさらに深まっている。(c)AFPBB News』
『【1月18日 AFP】サウジアラビアは17日、イエメンからの財政支援の要請に応じ、同国中央銀行に20億ドル(約2200億円)を送金すると発表した。イスラム教シーア派(Shiite)反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」とイエメン政府の内戦が長引く中、同国通貨イエメン・リアルの急落を食い止めるための救済措置。
イエメン政府は首都サヌア(Sanaa)や北部の広い範囲を支配下に置く「フーシ派(Huthi)」との内戦で困難にあり、サウジアラビアは約3年にわたり同政府に軍事支援を行ってきた。
サウジアラビア内務省は「イランが支援する武装勢力、フーシ派(Huthi)の行動によってイエメン国民が直面している経済情勢の悪化に対処するため、サルマン・ビン・アブドルアジズ(Salman bin Abdulaziz)国王は、イエメンの中央銀行に20億ドルを送金するよう指示した」と発表した。
同国通貨は1ドル当たり500イエメン・リアルで取引されており、内戦前の約215リヤルから大幅に下落。日常的な食料品の多くを輸入に頼るイエメンにとって、この変動は深刻な打撃となる。
イエメンのアハマド・オバイド・ビンダグル(Ahmed Obaid bin Dagher)首相は、フェイスブック(Facebook)への投稿で、「イエメンを飢餓から救うため」、中央銀行に現金を振り込むよう政府の支援者らに求める書簡を公開した。
イエメン国営サバ(Saba)通信によると、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)大統領は16日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子との電話で「イエメンが直面する経済的困難」を訴えた。
世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアは、2014年の原油価格の急落が歳入を直撃して以来、4会計年度にわたり大幅な財政赤字を計上している。(c)AFP』
中東調査会の立ち位置、よくわからない。プランがあるのは勝利が確定した側だろう。
『 イエメン:南イエメン移行評議会がアデン市を制圧
NEW2018イエメン湾岸・アラビア半島地域 公開日:2018/01/31
2018年1月27日ごろから、アデン市でハーディー前大統領派と南イエメンの分離独立派と目される「南イエメン移行評議会」との戦闘が激化し、後者がアデン市や中央銀行など同市にある政府関連施設を制圧した。イエメン紛争に介入するアラブ諸国の連合軍は、アデン市を追われたハーディー前大統領派の閣僚を保護して軍事基地に移動させたほか、両派に停戦を呼びかけるとともに「南イエメン移行評議会」部隊による大統領宮殿突入を阻止した。
31日付の『ハヤート』(サウジ資本の汎アラブ紙)は、戦闘によりハーディー前大統領派の部隊が崩壊し、「南イエメン移行評議会」の部隊がアデン市を完全に制圧したと報じている。
評価
「南イエメン移行評議会」は、もともとハーディー前大統領派に参加していた勢力が、2017年5月に同派内の役職や権限の配分への不満から袂を分かったものである(中東かわら版 2017年No.29)。ただし、このような事態は南北イエメンの統一(1990年)、南北内戦(1994年)以来の政治・経済的権益配分への南イエメン側の不満に起因しており、その意味でアンサール・アッラー(=フーシー派の正式名称)による奪権運動と共通の土壌に基づいている。
アラブ諸国の連合軍は、アデンでの戦闘がアンサール・アッラーとの戦闘に悪影響を及ぼすと考え、ハーディー前大統領派と「南イエメン移行評議会」の双方に停戦と対話を呼びかけているが、連合軍やその参加国がどのように両派を調停するかは不明である。イエメンでは、下落を続けていたイエメン・リヤールの対ドル相場が、1月にサウジがイエメン中央銀行に20億ドルの預け入れを表明したことによりいったんは持ち直していたが、今般の戦闘を受け預入表明前の1ドル500リヤール程度まで下落した。
イエメン紛争については、サウジとイランとの代理戦争としての側面が強調されがちだが、政変後の政治的移行や権益配分が不調に終わったという内政上の事情をないがしろにしてはならない。現時点では、紛争に介入する諸外国やイエメン国内の諸当事者が、イエメンにおける政治・経済的な権益をどのように配分するのかについて現実的な構想を示しておらず、事態打開の見通しは開けていない。また、紛争の激化に伴い、伝染病の蔓延や食料不足などの人道危機も深刻化している。
(髙岡上席研究員』