goo blog サービス終了のお知らせ 

公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

ナチスを連想させるフレーズを再び使用したとして、著名な極右指導者ビョルン・ヘッケに罰金を科した

2024-07-06 09:05:00 | カウンター・グレートリセット

これらの例を見れば、「ファシズム」という語がほぼ完全に無意味だとわかるだろう。 ジョージ・オーウェル


ドイツの裁判所は、公共の場でナチスに関連する言葉を唱えたビョルン・ヘッケに16,900ユーロの罰金を科した。
 
 
アンドリュー・ラピン著 JTA
 ドイツの裁判所は、ナチスを連想させるフレーズを再び使用したとして、著名な極右指導者に罰金を科した。
 ドイツのための選択肢党(AfD)のビョルン・ヘッケ党首は、12月にパブの群衆の前で「ドイツのためにすべてを」(Alles für Deutschland
)という スローガンの最初の2語を唱え、群衆を煽って最後まで唱えさせたとして、16,900ユーロ(約18,000ドル)の支払いを命じられた

 

かつて東ドイツであったチューリンゲン州の党首であったヘッケ氏が、このフレーズを使用したことで罰金を科されたのは、この数ヶ月で2度目であった。5月、裁判官は2021年にこのフレーズを使用したことに対して約13,000ドルの罰金を科した。ナチスのストームトルーパーは、短剣に「Everything for Germany」というフレーズを刻んでいた。
 AfDは先日の欧州議会選挙で議席を獲得し、地元のユダヤ人指導者たちを憂慮させた。
 元歴史教師で、ナチス政権周辺の歴史修正主義を推進した実績のあるヘッケは、1回目の公判で、このフレーズの起源をよく知らなかったと主張したが、裁判所はこれを疑問視した。度目の裁判では、ヘッケは反省の色を見せず、群衆に自分のフレーズを言い終わらせることに喜びさえ見せたという。
 法廷で彼は、ホロコースト後のイデオロギーの復活を防ぐためにドイツで制定された反ナチス法に疑問を呈し、"ナチスがドイツ語を話していたからといって、ドイツ語を禁止したいのか?"と述べた。
 2013年に初当選したヘッケは、その思想と政党が台頭するにつれて、ドイツで一躍脚光を浴びる存在となった。この挑発者は、2017年にベルリンのホロコースト記念碑を「恥のモニュメント」と呼び、AfDからの追放に直面したことがある 彼はまた、ドイツの社会学者から、ペンネームでネオナチのウェブサイトに記事を執筆したという非難に直面し、その後、ペンネームが自分のものではないと宣言することを拒否した。

 

しかし、ヘッケの忠実な支持者たちはすぐにAfDの指導的立場に上り詰め、全国的な選挙で勝利を収めているポピュリスト政党が今後もヘッケを支持し続けることを確実にした。ドイツの裁判所は、ヘッケをファシスト呼ばわりすることは名誉毀損ではなく、"事実に基づく価値判断 "であるとの判決を下した。
 ナチスと現代政治とのつながりを扱っているヨーロッパ諸国はドイツだけではない。フランスのある極右連立党員は今週、対立候補がナチスの帽子をかぶった写真を流したため、国民議会選挙の第2ラウンドを前に出馬を辞退した。彼女の政党は第1回投票で健闘していた。反移民右派は、最近の欧州議会選挙やオランダの選挙を含め、大陸全域で勢力を拡大している。




そのコメントはいかにも典型的なものだろうか?


ドイツの諜報機関から過激派とみなされているヘッケは、長い間論争に手を染めてきた。


彼はかつて、ベルリンのホロコースト記念碑を「恥の記念碑」と呼んだことで悪名を馳せ、ドイツの追悼文化の「180度転換」を訴えてきた。


今月の欧州議会選挙で躍進し、世論調査でも上位に食い込んでいるAfDも、同様の発言でスキャンダルを巻き起こしている。


先月、AfDは欧州議会のポピュリスト右派政党連合から除名された。 これは、最近のEU世論調査で最有力候補だったマクシミリアン・クラー氏が、悪名高いナチスの準軍事組織であるシュッツシュターフェル(SS)のメンバー全員が犯罪者ではないと発言したことに端を発する。


AfDは今後行われる3つの州議会選挙に照準を合わせている: チューリンゲン州とザクセン州は9月1日、ブランデンブルク州は9月22日である。


ファシズムとは何か
ジョージ・オーウェル George Orwell
The Creative CAT 訳


+目次

 あらゆる今日的な未解決問題の中で、最も重要なのはおそらくこれだ:「ファシズムとは何か。」
 先日、米国のとある社会調査機関がこの質問を総勢百名の市民に向けたところ、「純粋な民主主義」から「純粋な悪魔主義」に至る様々な回答を得た。この国で(*1)、平均的な考えをもつ人物にファシズムを定義させたら、ドイツとイタリアの政権がそれだと答えるのが常だ。だがこれは極めて不満足な定義である。なんとなれば主たるファシスト国家の間にも、その構造やイデオロギーにおいて顕著な相違があるからだ。
 一例としてドイツと日本を同じ枠組に押し込むのは容易でないし、ファシストと呼びうる小国の幾つかにとっては、それは一層困難な作業である。例えば通常、ファシズムは生得的に好戦的だということになっており、ヒステリックな戦争熱をまとって脅迫し、専ら戦争準備と他国の征服を通してのみその国の経済的な諸問題を解決することが可能である、ということになっている。だが明らかに、この思い込みはポルトガルや種々の南米独裁政権においては真実ではない。例を加えると、反ユダヤ主義はファシズムを他のものから区別する印だと考えられているが、ファシスト運動の中には反ユダヤ主義的でないものがある。何年ものあいだ米国誌上で繰り返されてきた学術論争によっても、ファシズムが資本主義の一形態か否かを決着させることができずにいる。それでも尚、ドイツや日本やムッソリーニのイタリアについて「ファシズム」の語を採用する時、それが何を意味するか、私たちは大まかに知っているのだ。この語が意味の痕跡に至るまで失ってしまうのは、まさに国際政治の場においてである。報道を具にチェックしてみたまえ。市民の集合で、この十年間にファシストとして弾劾されなかったものはほとんどなく――政党その他の組織体に至っては皆無であることに気づくだろう。ここで私が言っているのは会話の中での「ファシスト」の用法ではない。印刷物に現れたものの話だ。以下の市民の集合体に対して、大真面目に「ファシストに同情的な」とか「ファシスト的傾向を帯びた」とか、あるいはシンプルに「ファシストの」という言葉を使うのをみたことがある:

・保守主義者:ハト派タカ派の区別なく、すべての保守主義者は内心ファシストを支持しているとされる。大英帝国によるインド及び植民地の統治はナチズムと区別し難いとされる。愛国的な某、ないし伝統の某、と呼ばれ得るような組織は片端から隠れファシストあるいは「ファシスト志向」というレッテルを貼られる。ボーイスカウト、ロンドン警視庁、MI5(*2)、英国在郷軍人会がその例だ。合言葉:「パブリックスクールはファシズムの温床だ。」

・社会主義者:旧態依然とした資本主義を守護せんとする人々(例:サー・アーネスト・ベン)は社会主義とファシズムとは同一だという主張を曲げようとしない。カトリックのジャーナリストのいくたりかは、ナチ占領下の国々では社会主義者こそ連中の主たる協力者だったのだ、と言い続けている。同一の非難が最も左寄りだった頃の共産党の手で異なった角度から浴びせられた。一九三〇年から三五年にかけて、「デイリー・ワーカー」紙は習慣的に労働党のことを労働ファシストと呼んでいた。無政府主義者のような別種の急進左派もまたこの呼びかけを繰り返した。インドの国家主義者の中には、英国の諸労働組合をファシスト団体だと考えるものもいる。

・共産主義者:かなりの頭数からなる学者の一派(例:ラウシュニング、ピーター・ドラッカー、F・A・フォークト)はナチとソビエト体制との間に差異を認めようとせず、あらゆるファシストと共産主義者はほぼ同一の狙いを持ち、それどころかある範囲で同一の人物からなる、としている。「ザ・タイムズ」紙(戦前の)の論説では、ソ連のことを「ファシスト国家」と呼んでいた。この言葉もまた無政府主義者とトロツキストによって異なる角度から繰り返されている。

・トロツキスト:共産主義者はトロツキストの本体部分、即ちトロツキーが直々にオルグした部分を、ナチの子飼いの隠れファシスト集団だとして、激しく非難している。これは人民戦線時代の左翼の間では広く信じられていた。最も右寄りだった時期には、共産主義者は自分達よりも左寄りの党派全てを同様のやり方で非難した。例:コモンウェルス党(*3)や独立労働党。

・カトリック:その組織から一歩外に出てしまえば、カトリック教会はほとんど世界中でファシスト志向と見なされる。客観においても主観においても。

・反戦主義者:平和主義者をはじめとして戦争に反対する人々は、しばしば、枢軸国を利することになるとして叩かれるばかりではなく、ファシスト支持の感情に毒されているとしても非難される。

・戦争支持者:反戦主義者は通常、大英帝国主義はナチズム以上に悪質だという主張をもって自らの立脚点としており、軍事的な勝利をおさめようとする者はすべからくファシストたるべしとしがちである。人民会議(*4)の支持者など、ナチの侵略に抵抗しようという意向は即ちファシストへの共感を物語ると言わんばかりだった。国防市民軍は出現するや否やファシスト組織だと非難された。加うるに左翼は押し並べて軍国主義とファシズムを同一視する傾向にある。政治意識の高い兵卒は上官のことをほとんど常に「ファシスト志向」であるとか「ファシスト生まれ」であるとかいう。軍隊教育、磨き作業、上官への敬礼は全てファシズムに繋がると考えられている。戦前は、国防義勇軍への入隊がファシスト的傾向を示すとされた。徴兵と職業軍人の双方が等しくファシスト現象であると叩かれた。

・国家主義者:国家主義は生まれながらにファシストであると、世界中で認められている。だがこれは、専ら話者の気に沿わない国家的運動に対してのみ用いられることになっている。アラブの国家主義、ポーランドの国家主義、フィンランドの国家主義、インド国民議会派、回教同盟(*5)、シオニズム、IRA、これらは全てファシストと呼ばれるが、斯く呼ばわるのはそれぞれ別の人々だ。

     * * *

 これらの例を見れば、「ファシズム」という語がほぼ完全に無意味だとわかるだろう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「戦争の罪」日本の保守派 日... | トップ | ジャーナリスト、アレックス... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。