共感的光明を肯定的
言語に発する人に出会えることは近年稀である。特に社会人には出会える機会がない。
カリスマ性とはちょっと違う。
何か違うと感じる光る言語はその人の背中を通してこちらの脳裏に投影される。
もう死んだ友人の話ではあるが、その方の言語の投影がまだ私の脳裏のどこかに残っている。草葉の陰に行った人、志のもとに散った人の言語、私はその言語を投影できただろうか?今はただキャッチボールする相手がいないボールを握る。
彼らとは再び二度と語り合えないが、どうしても頭から消えない若さゆえの議論がある。
1、人間の人間的解放は善なのか。
2、人間は自らを正しい方向で解放できるものか。
3、そもそも人間存在は善なのか。
共感的光明から得た肯定的言語が議論へと次々と疑問を発し続け、そこから偽りの無い誠心が二者の重心を中心として回り出し、やがて至誠の友情となる。残念ながらこの続きの議論は党派の影で中断したままだった。三十年後私が問いの答えを得た時に、彼はこの世にはいなかった。二十年も前に死んでいた。それを知らずに私は脳裏に投影された彼の言語を考え続けていた。
ハットさせる光る言語は若い時の自分の特殊能力だったのか?近頃自分でも出会えない。若くもないのでそれを誰かに発することは勿論ない。なぜそういう時代があったのか?神の意思を問いたい。もう少しだけ時間が欲しかった。今はただキャッチボールする相手がいないボールを握る。
若さゆえの柔軟な言語操作が出来なくなったのかも。柔軟な言語は権威に頼ることなく全く別の方角から重大な問いを撃ち落とす。それができない老人はテロリストになるしかない。
『量子コンピュータ開発の壁
量子コンピュータを作るのが難しいのには、大きく二つの理由がある。
一つは、量子コンピュータが周りの環境に対して極めてデリケートなことだ。外部から光子や電子が入るだけで計算が不可能になる。
もう一つは量子コンピュータにおけるデータの最小単位量子ビット(Quantum bitまたはQbit)の集積化が極めて難しいことだ。処理速度を上げるには量子ビットの集積化が必須となるが、スーパーコンピュータをはるかに上回る性能を実現するには、50量子ビットというサイズが必要となる。
また、量子の状態を安定させるためには、冷却が重要な意味を持つ。超伝導体を絶対零度(マイナス273℃)に近い温度まで冷やす必要があるが、その技術はフィンランドのBlueForsという装置ベンダーが実質的にほぼ独占している状態だ。
IBM Think2018での量子コンピュータの発表風景。絶対零度のイメージを出すためドライアイスでステージを演出している(出典:筆者)
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しかし、近年こうした技術的ハードルは徐々にクリアされつつある。量子ビットの集積化も米インテルが2018年1月に49量子ビットの量子チップの開発を発表。その後、3月に72量子ビットの量子チップを発表するなど実用化に近づいている。)』
横浜国立大学大学院工学研究院の小坂英男教授と石田直輝(修士課程 2 年)らの研究グループは、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV 中心)に存在する単一電子スピンを位相変調されたレーザ光を用いて、高効率かつ高精度な操作を実証することに、世界で初めて成功しました。電子スピンとレーザ光間のエネルギーを等しくすることで,高忠実度化にネックだった光パルスの矩形波制限を取り払うことに成功しました。本成果によって、任意波形整形された光パルスを用いてさらに高精度な光スピン操作が可能となります。これによる万能量子コンピュータや量子通信の高速化により量子テクノロジーの実用化を一気に加速します。
本研究成果は、2018 年 5 月 11 日(米国時間)発行の科学雑誌「Optics Letters」に掲載されました。なお、本研究は科学研究費補助金 基盤研究 S(課題番号 16H06326),基盤研究 A(課題番号 24244044) ,新学術領域「ハイブリッド量子科学」(課題番号 16H01052)、文部科学省ポスト「京」萌芽的課題1「基礎科学のフロンティア-極限への挑戦」、科学技術振興機構(JST)CREST(課題番号 JPMJCR1773)、情報通信研究機構(NICT)高度通信・放送研究開発委託研究の支援のもとに行われました。
雑誌名
Optics Letters Optics Letters, vol. 43, pp.2380-2383 (2018)
論文題目
Universal holonomic single quantum gates over a geometric spin with phase-modulated polarized light
(位相変調された偏光による幾何学的スピンの万能ホロノミック単一量子ゲート)
著者
Naoki Ishida, Takaaki Nakamura, Touta Tanaka, Shota Mishima, HirokiKano, Ryota Kuroiwa, Yuhei Sekiguchi and Hideo Kosaka*
(石田直輝、中村孝明、田中統太、三島将太、加納浩輝、黒岩良太、関口雄平、小坂英男*)
<研究背景>
原子や電子、光子などのミクロな物質では量子力学という物理学が支配しています。これらのミクロな粒子、すなわち量子の持つ性質を積極的に利用した情報処理が量子情報処理です。量子情報処理には、たとえば、現在のコンピュータとは全く異なる計算原理に基づく量子コンピュータや、完全に安全な盗聴検出を可能にする量子暗号通信があります。この量子情報処理を実現させる量子系として、ダイヤモンドに内在する電子スピン[注1]が近年注目されています。ダイヤモンド中の電子スピンは情報の保持と集積化の観点で優れていることが知られており、ダイヤモンドに集積配列された電子スピンを量子制御するためには、スピン一つ一つを個別に、自在に、正確に制御する技術が求められます。レーザ光の局所電場を利用することで電子スピンの個別アクセスが可能ですが、これまでに提案、実証されている制御手法では、制御パラメータが多く、またパルス波形が単純な矩形波に制限されてしまうという問題がありました。
<今回の成果>
横浜国立大学大学院工学研究院の小坂英男教授と石田直輝(修士課程 2 年)らの研究グループは、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV 中心)に捕獲された単一電子スピンをレーザ光を用いて、高効率かつ高精度な操作の実証に成功しました(図 1)。これまでは、電子スピンとレーザ光の間にエネルギー差をつけて、電子スピンの任意操作を行っていました。しかし、この方法では電子スピンの制御に用いる光パルスが矩形波に制限されてしまうという問題がありました。本研究ではエネルギー差の代わりに光の位相自由度を利用する事でこの問題を解決し、実験で実証しました(図 2)。今後、任意波形整形された光パルスを用いれば、集積化されたマルチスピン系の複雑なダイナミクスまでも考慮した、高精度なスピン制御の実現が期待されます。本成果によって、万能量子コンピュータや量子通信の高速化をもたらし、今後の量子情報実験を加速させることが期待されます。
<動作原理と実験内容>
本来、レーザ光により生じる電場は、磁気的な性質を持つ電子スピンとは直接相互作用しませんが、電気的な性質を持つ電子軌道[注1]とは相互作用するため、スピン・軌道相互作用を利用して電子スピンを間接的に制御する必要があります。また、我々が用いた量子ビット[注2]は基底間にエネルギー差を持たない縮退量子ビットであるため、補助的なエネルギー準位を利用したホロノミック[注3]な量子制御を行いました。これにより、操作エラーやノイズに耐性のある量子制御が可能となりました。
<今後の展開>
本成果によって、集積化された複数のスピン系がもたらす複雑なダイナミクスまでも考慮した、高精度な光スピン制御が実現する可能性を示しました。これらの技術を利用し、量子もつれ生成や測定、量子テレポーテーションといった発展的な量子情報技術の実証へ応用を進めていきます。
<総括>
量子ビットの基底間や、または量子ビットとレーザ光の間のエネルギー差というパラメータをなくすことで、量子ビットが勝手に状態を変えてしまう原因である動的位相[注4]を完全に排除することに成功しました。さらに、これまでマイクロ波やラジオ波で培われてきた波形整形技術を光にも適用する事で、レーザ光の局所性と任意波形パルスによるノイズ耐性を内包した、堅牢な量子制御の実現が期待されます。
<用語解説>
注1)電子スピンと電子軌道:電子の自転運動に例えられる量子状態を電子スピンと呼び、電子の公転運動に例えられる量子状態を電子軌道と呼ぶ。電子スピンは磁気的な性質をもつのに対し、電子軌道は電気的な性質をもつ。
注2)量子ビット:量子情報における最小単位のこと。量子力学的な二準位系の状態ベクトルで表される。
注3)ホロノミック:曲率をもつ平面内をベクトルが平行移動で巡回したときに、ベクトルの向きが元に戻らない性質。量子力学的なホロノミーを幾何学位相と呼ぶことができる。
注4)動的位相:量子状態がもつエネルギーによって回る位相のこと。