名古屋大学
布施特定教授らの研究グループは安価な反応剤を用いて高活性な中間体を生成し、これをN-メチルアミノ酸との連結に用いることで反応性の低さを補完、短時間でも高収率でN-メチル化ペプチドを合成することに成功した。
多数のN-メチルアミノ酸を含むテトラペプチド(用語5)の合成において、開発した合成手法とN-メチル化ペプチド合成に有効とされる複数の既存の合成手法を比較した。既存の手法は反応時間24時間で収率が0~47%だったが、今回の開発手法は反応時間2時間で収率は98%に達した。
開発した合成手法は通常のフラスコを用いて実施できるだけでなく、マイクロフロー合成法と組み合わせて実施することで、さらに収率が高まる。さらに、固相合成法への適用も可能であることを確認している。
【用語説明】
1)N-メチル化ペプチド:
ペプチドはアミノ酸とアミノ酸がペプチド結合(-CONH-)を介して、2個以上つながった構造のもの。N-メチル化ペプチドはペプチド鎖中の窒素原子上にメチル基をもつペプチドのことであり、代謝安定性や標的への親和性・選択性、さらに膜透過性がメチル基をもたない通常のペプチドより高まるとされるため医薬品候補として注目されている。
(2)N-メチルアミノ酸:
ペプチド結合を形成する窒素原子上にメチル基をもつアミノ酸。一般的にメチル基の存在により反応性が低下している。
(3)マイクロフロー合成法:
微小な流路を反応場とするマイクロフローリアクターを駆使する合成法。旧来のフラスコ等を用いるバッチ合成法と比較して、反応時間(1秒未満も可)、反応温度の厳密な制御が可能である。
(4)固相合成法:
樹脂上に化合物を共有結合で担持して反応させる合成法。固相に反応剤の溶液を作用させて、反応後に溶液を洗い流すだけで簡便に精製できる点が特長。ペプチド合成において、ペプチドの溶解性の低さを補完するために多用されている。
(5)テトラペプチド:
4つのアミノ酸が連結したペプチド。
(6)ペプチド結合形成反応:
アミノ酸もしくはペプチドとアミノ酸もしくはペプチドがペプチド結合を形成しつつ連結する反応。
【付記】
本研究は主にJST未来社会創造事業探索加速型「共通基盤」領域研究開発課題「機能性ペプチドの超高効率フロー合成手法開発(研究開発代表者:布施新一郎 )」 の成果である。