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インテリアコーディネーターのブログ。
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3月19日 ジュエリーショップ「俄 NIWAKA」

2008-03-19 | イベントレポート
3月14日(金)、京都商工会議所と京都リサーチパークが主催する「デザイン&ビジネスフォーラム2008」へ行ってきました。
講演は、インテリアプロデューサー、デザインプロデューサー、ジュエリーデザイナーという肩書きを持つ方々により行われました。
今日は、その中でも私にとって特に印象的で、スケジュール帳のメモ欄が真っ黒になった 京都発祥のジュエリーショップ 株式会社 俄 代表取締役 青木 敏和さんのお話しを取り上げたいと思います。

会場で受付を済ませると、素敵なカタログが2セット渡されました。席について早速開けてみると、それは俄さんのものでした。
女性なら皆、「ジュエリー」に興味がある。と思われている方も多いかも知れませんが、決してそんなことないと思うのです。だって、私がそうですから。
ですから、正直に言うと(キレイなカタログだなぁ。)(素敵なつくり方だなぁ。)とは思ったものの、中に掲載されているジュエリー自体には、それほどの関心はありませんでした。お話しも、どちらかというと、私の仕事とは関わりの少ないものですから、(何かを感じることは出来ないのではないかなぁ。)なんて、どこかで思っていたのです。

でも、そんな予想は、お話しが始まって5分と経たない内に変化しました。
無駄な脚色のないストレートなお話しに、青木社長の人柄と会社の姿が見えました。そして、住宅とジュエリーという、一見共通点など見出せない両者の間に、たくさんの共通点を見つけることができ、そして、多くのことを気付かされました。

ところで、みなさんは「俄」というジュエリーブランドをご存知でしょうか。
私は、「どちらかというと興味がない」とは言ったものの、かなり前から知っていたのです。およそ10年にもなるでしょうか。
なぜでしょう?
それは、他のジュエリーショップとは一風変わった、ハンコのような独特なロゴが印象的だったからかも知れません。

「俄」に対する印象は、「シルバーアクセサリーのお店」というイメージでした。もっというと、「学生でも手軽に購入できるもの」といった感じでしょうか。それがまさか、ウエディングリングとして高い評価を受けているということは、この日まで知りませんでした。

ジュエリー業界紙「JAPAN PRECIOUS」の2007年“プロの評価総合ランキング”では「ミキモト」を抜いて国内ブランド1位。“デザイン性オリジナリティランキング”に至っては「ティファニー」を抜いて5位という評価を受けているのです。
ランキングの詳細は、以下の通り。
“プロの評価総合ランキング”
1位:カルティエ
2位:ティファニー
3位:ブルガリ
4位:ハリー・ウィンストン
5位:ヴァンクリーフ&アーベル
6位:俄
7位:ミキモト
8位:ピアジェ
9位:ポンテヴェキオ
10位:ショーメ

さて、どこからどうお話しをしようか、手帳に記されたWORDを眺めてみました。そして、当日配られた、会社案内に目を通してみます。
すると、あることに気付きました。全てはこの案内の中に詰まっているのです。せっかくなので、一部を紹介させて頂きます。

【社是】
物は心なり  礼は和なり  人と我とで俄となる

【経営理念】
形をもって心を鍛え、物を通じて社会に奉仕する
作る喜びを共有し、人々の喜びを使命とする
凡人に残された道は努力と創意工夫であり
「思えば叶う」を信条とする


ページをめくると「既存の概念に捉われない独自の世界観」と題され、次のようにありました。

ブランドコンセプト「京都モダン」に表現される日本的な間(ま)、アシンメトリーなデザインが俄のジュエリーの象徴である。

 青木敏和が京都に工房を開いた1979年、ジュエリーデザインはシンメトリーが主流であった。これは、ジュエリーデザインが西洋先進であり、西洋デザインはアート、ファッションなども含め、シンメトリーであることが当然のセオリーだったからである。
一方、日本独特の美意識は規則的に造形が整えられた西洋のそれとは異なる面がある。あえて空間を残し、その余白によって世界観を伝える間(ま)。規則的な配列、バランスをあえてくずすことに美を見出すアシンメトリーなデザイン。「この日本独特の美的感覚をジュエリーで表現したい、和のデザインが持つ真の美しさを伝えたい」。この想いが、「京都モダン」を軸にした青木のジュエリーデザインのはじまりであった。
(中略)
 古典文様、漢字など伝統的な和のモチーフの持つデザイン性の美を引き出したジュエリーの数々は、国内外での高い評価を得るが、俄の商品の特徴はデザインだけではない。それはジュエリーのもつストーリー性を重視しているという点である。すべての商品には和名とそれに合わせた和歌を思わせるコンセプトストーリーが添えられ、ジュエリーを、単なる「モノ」を超えた世界観を伝える存在として位置づけている。(以下略)


それでは、講演の中で書きとめた言葉たちを紹介したいと思います。

「物をつくる能力」≠「売る能力」
物をつくる能力と売る能力は、全く別物である。
広告は、「PUSH」ではなく「PULL」。
押すのではなく、引き付けることが大切。

「物には寿命がある」だから、永遠に続くものはない。その寿命をいつに設定するかで自ずとアプローチの仕方が変わってくる。と青木社長は言います。俄は当面3代=100年を目標にしており、地に着いたものづくり、職人としての誇りある仕事をしていきたい。最終目標は「社会貢献」。これは、「ボランティア」といった類のものではなく、「人材育成」のこと。

「何をやりたいか?」をまずは明確に。その時、売り上げを第一目標としてしまっては、その達成は難しい。「自分を信じる」「自分の感性を信じる」そうすれば、叶わないものなどない・・・。

これから何かを始めようとしている大人たち、今まさに社会に出ようとしている学生のみなさんには、ぜひ、聞かせてあげたいお話しでした。そして、これらは、どの世界でも通ずるもので、私も次の目標設定をそろそろ明確にしていきたいと思う今日この頃なのでした。

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