ザ・マエストロムジーク ツヴァイ(プレイステーション2)
2006年6月15日掲載
参考:
ザ・マエストロムジーク
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世の中にオーケストラの指揮者のゲームがいくつかあるのですが、本作はプレステで出た指揮者ゲームの一つである「ザ・マエストロムジーク」の続編であり、音質が飛躍的に向上しています。また、合唱曲の指揮もできます。以前の指揮棒コントローラも使用可能です。
音ゲーは、伴奏に合わせて旋律を弾くとか、音楽に合わせてアクションを起こす、というものがほとんどです。一方、本作は指揮棒の振り方に合わせて音楽が進行します。小さく振れば小さな音で、大きく振れば大音量で演奏します。ゆっくり振ればゆっくり、速く振れば速く演奏します。これまでの音ゲーとは逆の発想、と思いきや、結局は音量やテンポを指示通りに振るというルールであり、これまでの音ゲーとほとんど変わりがなかったりします。
しかしながら、テンポや音量が瞬間ごとに常に変化しうるというのは、指揮者のいるオーケストラ曲の大きな特徴です。他のジャンルの音楽では、それほど顕著ではありません。その意味で本作は指揮者の役割についての的を射ていると思います。
ところでプレステの前作のケース裏には“誰もが一度は想いをはせた「オーケストラ指揮者」の夢・・・。その果たせなかった夢を実現します。”と書いてありますが、指揮者になりたいと思った人ってどれほどいるでしょう? 私は学生時代にオーケストラで楽器を演奏していました。そんな私でも指揮者になりたいとは思ったことがありませんでした。自分で音を出すことが出来る演奏者の方が魅力的でした。
本作では、クリアした曲についてはフリープレイモードが出現し、指示を無視して自由に指揮が出来ます。全曲をランクSでクリアし、ゲームとしてはやることがなくなったため、フリープレイモードをやってみました。選曲は、アメリカの作曲家であるガーシュウィンの作品で、シンフォニック・ジャズという語法を確立した名作「ラプソディー・イン・ブルー」です。CMなどにもよく使われています。全曲通すと長いので、後半の有名な旋律から収録されています。
夕暮れの港のようなロマンティックな旋律が弦楽器によって奏でられるところから始まります。ホルンによる揺らめくような音形が水面に映る街の灯りのようです。指揮の方も、微妙にテンポや音量を変化させてみて、打ち寄せる波のような効果を試みてみます。フレーズの区切れごとにテンポをほんの少しだけ遅くして、あざといまでにメリハリを付けてみます。時には緩やかに盛り上がり、時には消え入るように。だんだんノッてきました!
控えめながらも突然のピアノの合図を皮切りに、音楽がせわしなくなります。テンポは煽って前のめりに、と思ったら断層を挟んだようにゆっくりしてみたり、ひとしきり遊んでみます。すると高らかにトロンボーンの底抜けの音色が鳴り響きます。テンポを安定させ、しばらくは軽快に進みますと、上昇音形で盛り上がる合図です! テンポを徐々に落としていき、音量も上げていきます! そして、すっ頓狂な旋律を踏みならすように誘導し、ピアノの音が残ったところでまたテンポをぐっと落とします!
そして大団円! アメリカ的でジャズ風の旋律がビッグバンドのように演奏されます! テンポはゆっくり堂々と、精一杯の音量で指揮! オーケストラの残響の中からピアノによる分厚い和音の旋律が浮かび上がる! テンポは徐々にさらにゆっくりと、壮麗に、雄大に、アメリカの大都会と大自然を見渡すように! さらにテンポを溜めて、引っ張って、全身の力を込めて最後の一振り!!
あああ~~~~~、指揮者になりてぇ~~~~~~!!!