グルーヴ地獄V(プレイステーション)
2006年8月10日掲載
関連記事
----------------------------------------------------------------
わりと最近、PSPで「バイトヘル2000」として再構成されたゲームの元となったのが、この「グルーヴ地獄V(ファイブ)」です。お金を稼ぐためのバイトとして奇妙なミニゲーム(自称クソゲー)が収録されています。中でも「ボールペンコウジョウ」は評判も高く、プレイしているとほとんどトランス状態になります。
ミニゲームはどれも、とてもゲームとは言えないようなものばかりです。ところがついついプレイしてしまいます。なぜなのかはよく判りませんが、ゲームなのかゲームじゃないのかの境界を行き来することで、逆にゲームの面白さの端面が見えるいった感じでしょうか。
私が気になるミニゲームの一つは「薪(まき)割り」です。おばあさんが出す薪をオノで割るというバイトです。それぞれの薪を時間内に割り損ねるとバイト終了です。時々おばあさんがフェイントで出す動物を斬ってしまってもバイト終了です。また、フェイントのフェイントとして木彫りの動物を出したりしますが、これも薪とみなして割らなければなりません。
必勝法は、色を見ることだと考えました。形にとらわれず、木の茶色だけを見れば簡単です。実際にプレイしてみましょう。
茶色 → ○ボタン → 「カコッ!」
茶色 → ○ボタン → 「カコッ!」
白 → ウサギ! → 「おお~!(歓声)」
茶色 → ○ボタン → 「カコッ!」
茶色 → ○ボタン → ・・・
○ボタンを押してオノが振り下ろされた瞬間、「しまった! コアラも茶色だった!」
「ジュビ!」という嫌な音。
脳天から真っ二つになるコアラ。
その断面から血の飛沫。
線香をあげて手を合わせるおばあさん。
流れる念仏。
バイト終了。本当に気分が悪いです。
もう一つ気になるミニゲームは「キノコ or DIE」です。おじいさんをうまく誘導して、車道を横断させるゲームです。おじいさんと言っても、四角のかたまりです。おじいさんらしい表現は無く、くすんだ青のモノトーンで、70年代のゲームのような画面です。
車線の間で粘るテクニックを身につければ、結構稼ぐことが出来るようになるでしょう。それでも車はどんどん速くなり、いずれはおじいさんが車と接触してしまいます。「キュポーン!」という乾いた音と共におじいさんは倒れ、青のモノトーンながらも頭から流血しています。3人のおじいさんが接触事故を起こしたらバイト終了。本当に気分が悪いです。
表現こそリアルではないものの、なんかさっきから血ばっかり出てきています。
そういえばオープニングムービーも、夕暮れの薄汚れた路地でサラリーマンが暴走トラックにはねられるというものでした。メモリーカードにアクセスするためのセーブデパートのお姉さんも、口から血を流しています。ディスクアクセス時の画面も、漫画的とはいえ、建物と衝突炎上して墜落する飛行機とか、背中を包丁で刺された遺体から血が流れるとかいう画面でした。なぜこんなに凄惨なのでしょうか。
それも当然です。このゲームは「グルーヴ地獄」だからです。地獄なのです。
グルーヴ地獄はゲーム地獄。
普通のゲームに満足できなくなった人間が落ち行く地獄。
ゲームに関してタガが外れた人間が流れ着く彼岸。
このゲームのことを「ちょっと変なミニゲーム集」だと思っているうちは引き返すことができた。だが、解体されて骨片となったクソゲーを面白がり、いつ果てることも無くプレイしているうちに、いつの間にか地獄の中にいる事に気づいた。そしてもう戻れないことにも。
・・・だがそれがどうしたというのだ? もとより戻るつもりなど無かった。私はゲームの最果てを極めたいのだ。それが地獄だというのなら望むところだ。我が身が塵になってもゲームを続けようじゃないか。
これを読んで買おうと思った人はかなりアブナイです♪