オットリーノ・レスピーギ:
・交響詩「ローマの松」
・交響詩「ローマの噴水」
・交響詩「ローマの祭」
指揮:ユージン・オーマンディ
フィラデルフィア管弦楽団
CBS/SONY: 30DC 788
イタリアの作曲家レスピーギの代表作であるローマ三部作のディスクです。作曲の順番は、噴水、松、祭ですが、噴水はちょっと地味なのでディスクではこの順番になっているのでしょう。私はレスピーギの曲はこの三部作しかじっくり聴いたことがありませんが、いずれも師匠のリムスキー=コルサコフ譲りの色彩的な管弦楽法で、壮麗で楽しい演奏効果が味わえます。各曲は四部に分かれており、起承転結が明確になっています。
「ローマの松」では、松そのものよりも、街に植えられた松が見てきた時代風景がテーマになっています。三部作では最もポピュラーで非常にわかりやすく描写的な音楽です。早稲田大学のオーケストラはこの曲をレパートリーにしていて、私も何度か聴きに行ったことがあります。曲の途中でトランペット吹きが舞台からスタスタと歩いて出て行ったかと思ったら舞台裏からソロを吹いたり、鳥のさえずりをレコードや笛で鳴らしたり、クライマックスでは二階観客席にラッパ隊がずらりと並んで高らかに演奏したりと、いろいろ面白いパフォーマンスができる曲です。
「ローマの噴水」の初演は失敗したらしく、確かにちょっと地味だし、印象派的な書法もあって掴みどころがなかったりします。このようにエピソード性は希薄ではありますが、それでも噴水の水しぶきとキラキラした印象派的な音楽は相性はいいのではないでしょうか。実際私もこの曲の「真昼のトレヴィの噴水」の部分を聴いていたら、突然何か神々しいもの達が水面を渡って行くかのような映像がありありと浮かんできました。ひょっとしたら三部作の中で最も小細工の無い音楽性を持っているのかもしれません。
猛獣がキリスト教徒を食い殺すという残酷でショッキングな音楽から始まる「ローマの祭」ですが、これらの中では最後に作曲されただけあって迷いの無い派手な音楽です。ただ、怒号や喧噪の表現、教会旋法、マンドリンのソロなど小細工が多くて何だか見世物のようです。私は好きなんですけどね。ちなみに、慶応大学のオーケストラがこの曲を演奏を聴いたことがあります。早稲田大学に対抗したのでしょうか? このディスクでは最後の部分で明らかに曲の途中で編集しているのがわかります。きっとトランペットのソロが音を外してしまったのでしょう。しかも音質まで変わっています。編集するのは構いませんが、もうちょっとうまくやってほしいです。
YouTubeで見つけた動画。「ローマの祭」の最終部「主顕祭」で、もともと馬鹿騒ぎの音楽ですが、この演奏では終盤で狂ったようなスピードになるので笑えます。まともに演奏できているのでしょうか?
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