平成28年2月16日、大玉村総合福祉センターさくらで
大玉村に来ていただくようになってもう3年目になる、
カウンセラーで親学アドバイザー(それ以外にも肩書が沢山あるのですが、割愛させていただきます)の
小木曽道子先生をお招きしてワークショップと言いますか、勉強会を実施しました。
ワークショップに先立ちまして、
大玉村社会福祉協議会の浅和定次会長から挨拶を頂戴してからの開始となりました。
夜7時からの開始だったのですが、日中は大玉村内の幼稚園で園児の保護者に対して
子どもを育てる際に親として子どもへの働きかけや接し方についてお話をしてきたとのことで、
すごく有用でためになる、今後に役立つような多くの方に聴いてほしい内容ですので、
今回のワークショップ兼勉強会の中身にも関係しますので、
その部分から小木曽先生からお話いただいた内容をまとめさせていただきます。
所々に私の余計な文章が入りますが、そこは満腹になった後の流しそうめんみたいにサラッと流していただければ幸いです。
人間の心理には4つの原点があるそうで、一つ目は望まれた子どもであることをちゃんと伝えられたか、
二つ目は所属欲求を満たすことができたか、三つ目がきちんとスキンシップができたか、
そして最後がちゃんとした食べ物を食べさせることができたか、を親が子どもに対して伝えたり、
それを守って接することができれば、子どもは自分は親から愛されていて、大事にされていて、
存在していても良い=自分を大事にできる人間に育ちます。
自分を大事にできる=自己肯定感を高めるためには、心の貯金箱の中身が充実していないといけません。
通常の貯金箱であれば、お金に余裕がある時にちょっと入れておこう、という感じで貯金をするはずですが、
心の貯金箱は、
・褒められた時
・話をしっかり聴いてもらった時
・プラスの声掛けをしてもらった時
・スキンシップがあった時
に貯まっていくそうです。
皆さんの心の貯金箱はどのぐらい貯まっていますかね?
心の貯金箱に入りきらいないぐらいに貯金が貯まっている方もいれば、
心の貯金箱を振るとチャリンという音すら全く聞こえない、という方もいるかもしれません。
この心の貯金箱が貯まっている子どもに育つと自分は大切だと思える人間になるわけですから、
親は子どもをきちんと褒めて、ちゃんと話を聞いて、声掛けもしっかりとして、適度にスキンシップをしなくては
いけないわけですね。そのためには子どもを見て、知ってということができていないと、褒める所も見つけられないし、
声掛けやスキンシップもできないですよね。
「親が子どもとちゃんと向き合う」、これがどれほど難しいのか私はまだ独身者ですので分かりませんが、
毎日のようにテレビで報道されている児童虐待のニュースを見ていると、
きっと親に子どもと向き合う気がないことも虐待の一因のように感じてしまいます。
そして大事なことは横の軸ではなく、縦の軸で比較することだそうです。
横の軸はあなた、縦の軸は私、織りなすグラフは特に誰をも温めませんね。
中島みゆきさんの名曲「糸」の失敗作みたいになってしまいましたが、この横の軸と縦の軸と言うのは、
例えばあなたのお子さんがテストで70点だったとします。その場合どのように声掛けをしますか。
①「Aちゃんは90点だったんだから、あなたももっと頑張りなさい」というのと
②「この前のテストでは50点だったのに、今回は70点なんてスゴイじゃない」というどちらかのセリフを言われた場合に、
子どもはどっちの台詞を言われた方が喜んで、次はもっと頑張ろうと思うでしょうか。
おそらく②の台詞を言われた方が子どもの意欲の増加に繋がりますよね。
せっかく子どもが努力して、テストで70点をとったのにも関わらずに、Aちゃんに比べられてもっと頑張れと言われたら、
子どもは何も評価されていません。人間には得意不得意があるものです。Aちゃんは勉強は出来ても、この子どもさんの方が
スポーツは得意かもしれません。もしかしたら絵が得意かもしれません。
ですから他人と比べて何かを評価してもあまり意味のないことです。これが横の評価です。
ちなみに今「ひょうか」と打って変換したら「氷菓」と変換されました。一体どんだけアイス好きなんだよ、とパソコンにツッコミを入れたくなりましたが、
それはさておき、前回までテストで60点しかとれなかったのに、努力して70点をとったとしたら、それは価値ある70点ですよね。
もし1キロしか走れなかった人が、タバコも止めて、毎日ちょっとずつ走り込みをして2キロ走れるようになったとしたら、それはフルマラソンを完走するくらいの価値ある2キロかもしれません。
このように過去の自分と比較するというのが縦軸での評価ですね。
このブログを読んでくださっている皆さんも、家族や友人、もちろん自分自身も含めて、誰かと比べて甲乙をつけるのではなく、これまでのその人と比べての縦の評価をしてみてください。
そして前回の「ダメージからのリカバリー」について勉強会の振り返りの一つに
悩んでいる人は必要以上に自分で悩みの種を大きくしてしまう。でもきちんと心の整理ができていれば悩みは減るはずで、
「相手は気にしていない。自分が気にしているだけ」という場合がほとんど、というものがありました。
なかには「いや、そんなことはないはずだ」とか「でもやっぱり気にしているに違いない」とか考える方もいるかもしれません。
その考えこそが固定観念です。この固定観念があると生きるのが大変になる場合があるので、
もっとケセラセラ、なんとかなるさ、It's gonna be alrightぐらいの心持ちで生きるといいのかもしれません。
そして人間には誰でも他者から認められたい、という承認欲求があります。
それも少人数ではなく、多くの人から認められたいという思いがあるからこそ、TwitterやFacebookが世界中で流行しているのでしょうね。
でもここでは世界中の人とのSNSを通したつながりは置いておいて、目の前の実際に見えて、触れて、体温を感じることができるリアルな関係に関しての承認に限定して書かせていただきます。
では承認をえるためにはどのようなところに気を付ければいいのでしょうか。
何も難しいことはありません。
きちんと感謝の気持ちを示す「ありがとう」が言えて、
人間関係の構築の基本である「あいさつ」ができて、
相手の「長所を探す」ことができれば承認をえることができるはずです。
ただし日本には察する、空気を読むというある面では便利な文化があります。
しかし相手が察するのを期待するのではなく、きちんと言葉で言わないと伝わらないことが沢山あります。
ですから感謝の気持ちやあいさつ、相手の長所を言葉で伝えるのを実施したうえで、
更には適度の集団の価値観に合わせた努力も必要になります。その上で、他人が見ていなくても、自分自身で納得できるような正しい行動をすることも大事だそうです。人の目はなくても、お天道様が見ているから、恥ずかしくない行動を常に心がけるべき、ということでしょうか。
でも認められたいと思うあまりに、他人に迎合したりなんでも肯定するようになってしまってはいけません。
他人や集団に対して、それぞれの価値観や考え方を認めたうえで、それを十全に受け入れるのではなく、適度に自己主張をすることができる、
こういう私もOK、あなたもOKの関係性をアサーションというらしいのですが、アサーションの精神を持つことが承認欲求との上手な付き合いかたなのかもしれません。
もちろん相手を思うためには、自分が満たされてないと出来ません。ですから、心の貯金箱をいっぱいにして、初めて他者を思いやることができるようになるのかもしれませんね。
戦後マッカーサーが日本に来た際に流行していたリンゴの唄がそこかしこで歌われているのを聞いて、始めは何かの暗号だと思ったのだが、いざ歌詞を英訳してみると、焼け野原で自分が食べるものもなくて大変な時に他者を思いやるための歌が流行っている、なんて国と戦争をしていたんだ、と驚いたという話があるそうですが、温故知新ではないですが、今一度70年前を見直して、他者を思いやる気持ちを持つことの重要性を見直す必要がありますね。
そして、小木曽先生からそのような話をしていただいた後には、3グループに分かれてのワークショップ、というか自由トークの時間です。
先生の話を踏襲して子どもとの関わりや家族との関係についてのお話をしているグループや
様々なことをテーマに話が盛り上がっているグループがありました。
話を聞くことももちろん重要ですが、ただ話を聞くだけではなく、参加者同士でお互いに自分も話をするし、相手の話を聞くこともできる、それによって色々な視点での見方ができる、そしてお互いに共感し合って、認め合うというのはまさしく承認欲求が満たされますね。
ワークショップ終了後にアンケートに協力していただいたのですが、そこに
「子育て中に先生の話を聞いていたら、接し方が変わっていたかも」
「良い話を聴いたので、あとは実践をしていきたい」
というものがありました。
私も毎回目からウロコ、せっかく良い話を聴いたのだから実践しようという気持ちはその時にはあるのですが、
それがいつの間にかアメリカンコーヒーに更にお湯をたっぷり入れたみたいに薄まってしまうので、
今度こそは実践に移していきたいと思います。
前回の小木曽先生の勉強会の内容に興味がある方は
http://blog.goo.ne.jp/ootama-shakyou/e/0bd92c5e98e7a1c04bb6bb6be97429a2
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