「I'm very proud of you」
日本語だと「私はあなたのことをとっても誇りに思っている」という意味になります。
皆さんは普段このようなことを誰かに言う事はありますか。
おそらく大半の方は恥ずかしくて、思っていても口にはしたことがないのではないでしょうか。
でも自分が言う立場じゃなくて、言われる立場だとしたらどうですか。
きっと嬉しく感じるんじゃありませんか。
そして自分が嬉しく感じる事なら、きっと他者も同じように感じるはずです。だから恥ずかしがらないでどんどん使っていきましょう。
というようなことを本日(9月21日)、大玉村農村環境改善センターで、大玉村教育委員会と大玉村社会福祉協議会の共催で、昨年度から講演会等でお世話になっている小木曽道子先生に「素敵なあなたに伝える心髄」という演題でお話していただきました。
以下に講演内容をまとめさせて頂きます。
まず肝心なことは伝わったかどうかを決めるのは自分ではなく、相手側です。
ですから頭の中にあることを整理もしないで、雑然と話しても相手には伝わらないことが多々あります。だから相手にきちんと伝わる内容にするためには、
①目的が何かを最初に明確に
一体何の為の話なのかをきっちり、はっきりと言われると相手には聴く姿勢ができます。明確に言わないで、日本人だから空気を読んで分かってくれるだろう、では独りよがりな内容になってしまいます。
②伝えたいことの数を最初に伝える
きちんと伝えたいことが2個ある、とか3個あるとか言わないと、相手の心構えが出来ません。
③なぜそう言えるのか
ただの思いつきで言っているのではなく、きちんとそう言えるという論理や理由、具体例等で捕捉をすると相手はイメージがしやすくなりますし、納得もしやすくなるはずです。
④最後に要点を繰り返して締めくくる
一回言ったからそれで相手にきちんと伝わっているだろう、というのは大きな勘違いです。ドイツの心理学者によると新しく覚えたことは20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%忘れてしまうそうです。ですから、大事なこと、相手に伝わってほしい事の主訴は繰り返すことが大事です。逆に言えば、自分が伝えられる側になったら、忘れないように寝る前にもう一度伝えられたことを思い出すことも必要になります。
そしてもちろん相手の許容レベルに合わせて、相手が理解しやすい表現で伝えることも大事です。
例えば小学生に対して「外出する時には施錠してから」ではなかなか伝わらないかもしれません。「外に行くときには鍵をかけてから」だと、ぐっと伝わりやすくなるはずですね。
余談になりますが、①の「明確に」ということに関して、先日行った研修でも自分が考える「~だろう」と相手の考える「~だろう」には違いがあるのが、当たり前だから、家族間でも仕事でも明確に伝えなくてはいけないという話がありました。
例えば「12時に行きます」と言ってきた相手がいたとします。
でも12時になってもまだ来ません。このような場合に皆さんはどのぐらいなら待てますか。
ある人は「10分ぐらいは待ってくれるだろう」と思っている人もいれば、「5分前到着が当たり前なのに何をやっているんだろう」という人もいるかもしれません。
ですからお互いの「~だろう」の摺合せが大事ですよ、ということですね。
と、また余談が長くなってしまいました……。
本題に戻りますが、
「また靴下を脱ぎ捨てたままで。
何度注意したらわかるの。
今度同じことをしたら洗ってあげないから。
籠に入れなさいって言っているでしょ」
こんなセリフをお子さんに言ったことのある方は多いと思います。また言われたことがあるという方も多いと思います。
でもそれで言われた方の行動は改まりましたか。
そうか、僕(私)が靴下をその辺にポイッとしちゃうから、お母さんは大変なんだな。今度からはきちんと籠に入れてお母さんを楽させなくちゃな。
なんていうケースは殊勝なのではないでしょうか。これは
「(あなたは)また靴下を脱ぎ捨てたままで。
(あなたは)何度注意したらわかるの。
(あなたが)今度同じことをしたら洗ってあげないから。
(あなたが)籠に入れなさいって言っているでしょ」
と全部前に(あなたは)もしくは(あなたが)が隠れていますね。これをあなたメッセージと言います。
でもこれを、
「いつも靴下を脱ぎ捨てて、
(わたしが)洗濯した後に見つけると
(わたしが)また洗わなくちゃならないの。
洗濯籠に入れてくれると(わたしは)うれしいな」
に置き換えて、(わたしが)や(わたしは)というように、わたし(i)メッセージにしたらどうでしょう。相手の行動に対して、自分にどのような影響が出るのかを自分の気持ちもプラスして伝えることによって、ぐっと攻撃性が減ったような感じを受けませんか。
攻撃的に言われれば、誰しも素直に聞き入れたくなくなるものです。
それをあなたの行動によってわたしに具体的にこんな影響が出ているのよ。だからそれは止めて(もしくは継続して)欲しい、と言われたら、なるほど、それなら止めよう(もしくは継続しよう)となりやすいはずです。
そして上手に会話をするためには、その下地と言うか、潤滑油と言うか、日常的に相手を褒める事が大事です。
ということで、冒頭の文章に繋がるわけですね。
褒められて気分が悪くなる人はいないはずです。
人間はどうしても減点方式で他者を見てしまいがちですが、加点方式で相手の事実や具体的な良いポイントを褒めましょう。
褒めるためには褒める相手に対して無関心では褒めようがありません。ですからきちんと日頃から行動や言動をきちんと観察して、良いことをしたり言ったりした場合にはその時に褒めましょう。
相手に伝わりやすい言葉で伝える。
相手に伝える前に自分の頭で整理する。
その際には上記①から④が入っているか。
話をして終わりではなく、伝わらなければ意味がない。その判断は相手にある。
あなたメッセージじゃなく、わたしメッセージで。
そしてこれらは日常的な訓練によって上達することが出来る。
ですから会話が苦手、なかなか相手に自分の言っていることを聞いてもらえないという場合には上記のポイントを踏まえて、独りよがりなトークではなく、きちんと相手に伝わりやすいような内容で伝えましょう。もちろん伝えようと思ったら、常日頃相手の話をきちんと聴くことも大事です。
ということで、大事な事なので要点の確認として重複して書かせて頂きました。