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ジュリエット通り ~雨の逢瀬~

2014-10-25 11:51:38 | 母によるレポ






みなさま、ごきげんよう。


先週も今週も、ジュリエット通りに行った日は雨が降っていました。



舞台の中でも印象的な雨のシーンがありました。



続きで。
太一はいつも不機嫌そうな口調。

そういう性格なのか、それとも色んな葛藤を抱えているからなのか。



そう思って見ていると、いつもと雰囲気の違う太一に出会えるシーンがありました。

スズさんとのお別れの雨のシーンです。



眉間にシワを寄せていた太一が、いつも声を荒げていた太一が、穏やかな表情で柔らかい口調でスズさんと向き合っていました。


ああ、太一は本当はこういう子なんだな。いつもの太一は武装してたんだな、父親や世間に対して。そんな風に感じました。



舞台上で雨が降ってからは目が離せないのです。


私は双眼鏡で章大さんを追いました。


オールバックで登場した彼の髪は雨に濡れて次第に乱れて来ます。


動きに合わせて動く毛先からは雨の雫がポタリと落ちるのです。 




雨が上がったからのバルコニーのシーンも印象深いですね。


バルコニーによじ登る太一。


「あぁ・・。落ちないで、どうかお怪我をなさいませんように。」


と、心の中で思いながらドキドキしていました。


ドキドキは、もしかしてバルコニーで太一とスイレンのラブなシーンが!!と期待していたのです。


直接的な表現はしない岩松演出なので、期待のシーンは無かったです。


でも、ここでのセリフで太一とスイレンが思いあっていたのかな、とそんな風に思える場面でもあります。



「太一、スイレンの手を掴み、

強く引き寄せる。

引き寄せた瞬間に二人は口づける。

これまでの思いの全てを唇にぶつけるように

激しく何度も」




こういうの欲しかったーーーーー!!

見たかったーーーーーーーーーー!!




このバルコニーでのスイレンは幻なのかな。


このシーンの前に太一はバルコニーにスイレンの幻を見るって戯曲に書いてあるから。幻設定は続いていると思います。


これまで舞台上で物理的にも距離を置いていた二人。


縁側と茶の間でも、二人はなかなか距離を詰めなかったけど。ここで初めてぶつかり合うんです。「好きだ」というセリフなんて無いけれど、幻としてでも太一の近くに来たスイレン。幻でもいいから会いたかった太一。


切ない。


ここでは本当に泣いていました、章大さん。

瞳をうるうるさせていました。零れ落ちるしずくは雨なのか涙なのか。



ラストの「蟻」の所。


本当は「蟻」なんだけど、お札を蟻の代わりとしているのか。それとも本当はお札なんだけど太一が「蟻」に見ているのか。でもバルコニーのスイレンが幻だとすると、これは「蟻」


蟻を見つめて無邪気な子供の様な表情をしたそのすぐ後で、虚ろな顔をして遠く見ている太一。


ここで舞台は終わる。


でも、ここは冒頭の田崎とスズのシーンにも繋がって行く。終わらない物語のようでもありました。


太一の登場シーンのセリフにも「蟻」が出てくるし。

蟻が何かの象徴なのかもしれません。