尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

妖精

2006年04月16日 09時53分57秒 | 詩の習作


そいつって
お金で買える
妖精かも知れない

小さな声で
僕は
と、言った
ボクハ
と、そいつも
木霊(こだま)するんだ

君を
と、言った
キミヲ
と、そいつも
答えるんだ

それからボクは
思い切って
嘘を言う
愛しているよっ
てね
そいつも
意外にあっけらかんと
響くんだ
アイシテイルヨ

僕は
勢いに乗って
イツマデモ
と、言った
すると
そいつは
恥ずかしくって
ちょっと陶器みたいに
体を硬くして
黙って

消えるんだ

いつも

そいつって
君のことじゃないよ
モノのことだよ
たとえば
目の前にある
かわいいコップだとか
とぼけた目覚まし時計とか

消えたんだ

また買うさ


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