先日最近気になっていたGoogleの工藤拓氏を検索していたら面白そうな書籍を見つけました。
その名も「数学セミナー2020年3月号 特集◎言語の数理」。
言語と数学…なかなかケッタイなテーマではあるものの普段はこういった硬派で本格的なテーマを読みこなせるかなかなかハードルが高いもので、
数学雑誌とはいえども異色の特集ですから科学読み物的にカジュアルに読めそうかな?の期待を込めて買ってしまいました。
言語に潜む数理構造や数学を用いて言語を研究する事例を紹介し、数学と言語の交わる領域の魅力をお伝えします…との触れ込み内容で、以下に特集テーマと執筆者を列記しますと
言語の数理研究への誘い◎田中久美子
自然言語処理と構造学習/日本語単語分割を一例に◎工藤 拓
文構造に内在する普遍/文の木構造に現れる偏り◎能地 宏
言語の意味空間◎田 然
論理と文法◎峯島宏次
基本語順の歴史的変化の数理モデル◎村脇有吾
のようになっております。
自然言語処理関係で以前知って以来動向が気になっていた「言語の意味空間」「概念ベクトル」「意味の『合成』」に関する田然氏の記事と、もちろん工藤拓氏の記事が目当てで購入いたしました。
どの記事も虚空蔵なマジックのようで目がくらむようでしたが「難解な論文っぽいくだりはそーゆーモノだと割りきって読むんだよ!(施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」 )」の精神でなんとか読み終えました。
工藤拓氏の単語分割の記事ではかな漢字変換ではおなじみのラティスのグラフも載っていて少し安心しましたが構造学習のところは私の理解力では見事に完敗してしまいました。
けれども冒頭の田中久美子氏の記事が後から読み返すと道しるべになるようなガイダンス的な造りで親切に作ってあったのでなんとか反芻するところまで漕ぎつくことができました。
このガイダンスのおかげで意味ベクトルとは別のアプローチ、それも単語としての意味ではなく、同じ意味でも文の意味を扱う(統語的に)◆論理と文法(峯島宏次氏)のところのアプローチがそもそもあるのだということが位置づけられてあってまた新たな関心領域を見つけることができたのが一番の収穫でした。
ここの論説中には「範疇文法」という文法理論が解説してあって詳しい説明は割愛しますが現在思案中でもあるペンタクラスタキーボードIMEの文解析をどうしていこうかのヒントを最新の言語資源の整備展開とも相まって温度を感じ取ることができたので私としても今後の取り組みの進展を目指していきたいと気持ちを新たにしたところであります。
どっしりと腰を据えてひとつのテーマを深掘りしていくのもいいですが、私にはこういったアラカルト的に概観できたほうが性に合っているみたいです。またこのような特集が組まれている雑誌読み物があったらチェックしていこうかと思います。
昔、森毅さんの本で「すうがく博物誌」というのを読んだ覚えがありますがあの頃の自分と比べて読書体験は少しは豊かになったのかな?数学はてんでダメですけれどこうして興味の蛍火だけはうっすらと残っているんですよね。