造語成分として「そのことを行う人、またはもの」をあらわすパーツである「子(し)」。
この時期になると投書俳句などで「受験子」という季語が出てくることも恒例となっておりますね。
また、「拡張子」という語に初めて出会ったときも何でこんなよくわからない言い回しを使うのか首をかしげたものであります。
(昔のコンピューター環境では一文字たりとも貴重な容量であったのでファイル名も識別するのにわざわざ"3文字も"つけ足して識別特定性を付与して拡張したんだぞ…というニュアンスらしいです:filename extensionの翻訳語です)
そんな得体が知れない使われ方の多い「子」でありますが大きく分けて人物の用と無生物の用に分けられるかと思います。
にわか分析で恐縮なのですが、今回は2系統の「子」のつく語の分類とおまけとして勝手造語も少しつけ足して列挙してみました。収集事例もそこそこあります。
なお今回は孔子や墨子などの尊称であったり
帽子や椅子などの語気詞(漢語単音だと収まりが悪いため調子を整えるために付加される辞)などの周辺例は趣旨とは少し外れるため割愛させていただきます。
拙い俗見ではありますが検索でたどり着いた方には来訪ついでにでも、宜しければ是非ご覧になって下さい。
【機能・とりもちに関するもの】
・機構背景とその実効[要素/因子]的なカテゴリ:演算子・拡張子・識別子・中間子・配偶子・遺伝子・電気双極子
・部品/器具/素子的なカテゴリ:水晶振動子・セラミック発信子・方解石偏光子
【人物・展示観賞物に関するもの】
・行為者のカテゴリ:投書子・読書子・受験子・寒泳子・帰省子・開設子・批評子
・範疇人の片鱗化/矮小化/謙譲ニュアンスを含む:編集子
・「こ」と読むのか「し」と読むのか定かでないカテゴリ:女装子・自メイク子・コーディネート子・スパチャ子
【あったらいいな・こんな造語】
啓蒙子?・俎上子?・試食販売子?・ブース子?・懸念子?・呼応子?・寄稿子?・対応子?・誘引子?・オーダー子?・見聞子?・自動運転子?・しりとり子?
以上がざっと挙げてみた事例であります。
造語に関して言えば、人物用例の語はわりとすんなり列挙できたのですが、抽象概念のほうの(無生物)例はなかなか浮かびにくく、稀少性が高いのかな…との観を持つに至る結果となりました。
ひょっとしたら概念的な構築体系において「--子」を媒介とする術語の着想ができたとするなら、なかなか面白いカラクリが出来上がるのではないか、新分野のヒントになる可能性を感じますのでこのあたりを掘っていけば良いのかもしれませんね。
結局、「子」の意味するところの総体的なイメージというものが自分の中でまだ完全につかみきれていないのもあるのかもというのが一因かな?(特に非生物のほう)
例えば「検索子」って言ったときのニュアンスと「検索ワード」って言ったときのニュアンスの違いというものがうまく説明できないというのもそれですね。
「子」を使うときには何かメカニズム的な営みが背景にあって、その媒介物というカタチをとってポインタ的につまみあげたいときに使うものであって、あくまで背景事情を暗に匂わせているところに軸足が置かれているような気がします。
…と、まあ、すべての理解は現在進行形ですのでこうしてフェイズフェイズでわかっている部分だけでも順次カタチにしていくスタイルで
ちょっと稚拙なところもありますが小考察を今後も懲りずに綴っていこうかと思います。
今回の記事は造語成分、ほぼ同義の接辞との関連が深そうでありますので「接頭語・接尾語の変換」にしておきます。
御精読、ありがとうございました。
どこ--という接頭辞があります。(正確に言うと接頭辞的用法でしょうか)
このブログでも追いパクチーだとか弾丸東京ディズニーランド旅行みたいな具体語彙の接頭辞モノは取り扱ってきましたが、
ここへきてちょっと変わり種の不定接頭辞?、あるいは文法的接頭辞とでもいいますか、疑問形式をもつ接続様式であります。
これは「それってどこ情報?」みたいに談話性を裡にもつ語標識としても使われており、まあ疑問語の一形態としての位置づけなのかもしれませんが
私は派生語を容易に生み出す生産性に着目して接頭辞の1バリエーションとして捉えなおしていこうと思います。
まずはこちらをご覧ください。
どこ発信 どこ情報 どこ住み どこモデル どこ画面 どこジョーク どこ貨幣 どこチャンネル どこ配慮 どこ垢 どこアプリ
どこ投信 どこ自治体 どこフレーズ どこ回 どこグッズ どこつぶやき どこリリース どこ発祥 どこコネ どこ言論 どこサイト
どこ見解 どこ大会 どこ料理 どこアニマル どこ制作 どこスメル どこ国家 どこ組織 どこ提案 どこ世界線 どこ案件
これらは疑問文で使われるときのどこ(HL)のアクセントとは違い(箸と同じ)
どこ(LH)情報…みたいに(端と同じ)低高アクセントになっていますので、接辞に特徴的な形態変化を起こしているとみられます。
同様な視点で、何シリーズであるとか誰推しみたいに疑問詞横展開などもあるかと思いますが「どこ」が一番分析的にスッキリしていると思いますのでこれを積極的に採り上げてみた次第であります。
独特の効果とでもいうのでしょうか、英語だと「それどこ情報?」ってWhere did you know that information?みたいに動詞組み立ての疑問文になるのがより自然らしいとの事でありますが、
日本語の、特に接辞を利用したコンパクトな訊き方は名詞組み立て的でせっかちな感じがしてそれはそれで良いものであります。
…あれ?、何か聞いた話では「日本語は動詞中心の言語」っていうのを見た覚えがあるのですがこちらは本来的でない破格の用法だということなのでしょうか?
ちょっとわかりませんね。
何にせよ「どこ」「誰」といった文法上のパワーワードがくると全体構成的に構文影響力が強そうな制限要因というのが出てしまいがちなのでありますが
日本語は膠着語の流儀というのが行き届き過ぎていると言ったらよいのかメタ的、文法的な語でも容易に接辞使いできてしまうという融通無碍な一面を見たような気がします。
たとえば接辞でも「配信しようかな的な」「見える化」みたいに構文にかかる接尾辞であったりとかの例もありますよね。
今回の「どこ--」も、そういった接辞の、構文構成圧にも負けないフレーム力の強さを感じさせるテーマであったなあとあらためて思いました。
ここのところ接辞関連の記事をさぼっておりましたが、久々の材料投入であります。
今後も継続的に追っていこうと思いますのでもしよかったら接辞カテゴリにもご注目ください。
――担は、中国の伝統的な質量の単位である。1担は約60kgに相当する。なるほどなるほど。
…そんな話はさておいて、
私の趣味である(懸案事項)の接尾語をウォッチングしてみたところによるとここ数年来の傾向として「担当」を意味する「○○担」というワードが今アツい!
特にジャニーズ系のグループ・ユニット!いろいろあります。
スト担(SixTONES)、WEST担(ジャニーズWEST)、嵐担、キスマイ担(Kis-My-Ft2)、Jr.担(ジャニーズJr.)、キンプリ担(King & Prince)、スノ担(SnowMan)等々
まさに百花繚乱、ファンの熱量を感じさせる数々の担、咲き誇るのはタレントさん達でしょうが織りなすそれを支える育みの大地、潤いの山河、匂い立ちそよぐ風となってひとつのシーンを形づくっていますね。
この他にはマンガ/アニメ/ゲーム/演劇のキャラの担や俳優さんなどのほか振り付け担や教師、タイトル/シリーズそのものの担などがみられます。
にわか仕込みでちょっと調べてみたのですが、作家・画家・監督の担やアスリート担、モデル担などは見つかりませんでした。(武将や志士についてはよくわからなかった)
今やすっかり定着して市民権を得た担でありますが
私が「担」という言葉に初めて出会ったのは1990年代の官庁スキャンダルのときに目にした「MOF担」という言葉で、銀行と大蔵省の癒着が社会問題になった事件が思い出されます。(財務省の前身:大蔵省のアルファベットはMinistry of Finance)。
そんな特任部隊的なテクニカルタームの印象が深いニュアンスから、旦那衆やタニマチご贔屓衆とも相通ずるような応援の色彩とそれがもつある種のステイタスへと変貌していったのはまことに興味深いところであります。
この担の面白いところは、個別人物の担もさることながら立場関係・諸事情-位相・縄張りやメタゲーム要素の焦点材料となるような機能語彙が非常に豊かに発達しているということです。
自担/同担/他担/無担/元担/誰担/本担/サブ担/俺担/副担/正担/担タレ/デビュー組担/箱担/事務所担
などがそうですね。
他には担が形成する動詞や様態・イディオムなどを調べてみたところ
担降り/兼担/同担拒否/強火担
などがありました。
ペンタクラスタキーボードを標榜する当ブログとしましては、こういった語を漢字変換するにあたって三属性変換の連続押し、つまり
三属性ハ万(接辞がらみの属性)→三属性ロ万(動作様態を表す属性)
のように属性指定を遷移させることによって担のもつ属性叙述性を汲み取ってこの2つの条件を兼任する「担」をピンポイントで出すというインターフェースで実現できるはずだと提案しています。
装填手や遠征勢などのような語もこれと同じ原理で変換ができますね。
かな漢字変換ではこういった語句の変換は初回ではつまづきがちでありますのでこのような入力機構の提案でこういった問題も解決していければ良いなと思っておるところです。
最後に調子に乗って担にあやかった造語・言葉遊びをつらつらと綴ってみましたのでよかったらあなたの担ライフの向上にお役立てください。
核担
在担
殉担
着担
輪担
献担
異担
担外
担失
非常勤担
疑似担
初担
御用担
公認担
曲担
シチュ担
エセ担
テンプレ担
ビジネス担
モブ担
愉快担
履修担
保護担
つながり担
きっかけ担
発信担
姉妹担
これが被担される側の気持ちか
担ぶりの気持ちいいヤツ
当該担とみられる
担壇が賑わっている
あの子はよい子ちゃん担よ
担教育にいそしむ
私などまだまだ浅担ですから
担理担則にのっとり
休担届を出す
才能のある担筋
既担感を覚える
担質暑苦しいね
義担心にかられる
…以上お目汚し失礼しました。
接尾語を含む変換は主に三属性変換の属性ハ(ハ万)で処理してきましたが逆に接頭語を含む変換の方はそれよりぐっと少なくてあまりボリュームを割いて記事にする機会はなかったところであります。
そこで今回は接頭辞にもっと光を当てていこうということで具体例を挙げながら解説していくことにしました。
接頭辞と言っても漢語接頭辞「非」「未」「被」「準」みたいな基本的なものはすっとばして、接頭辞と呼ぶにはまだ典型的とも言えない「接頭・高生産力パーツ」みたいなざっくりとした定義で深掘りしていきたいと思いますのでどうか拙ブログのスノッブなこだわりにお付き合いくださいませ。
まだ接頭辞の各種タイプ分けなど文法的・機能的背景を踏まえた整理はできていませんが、こうして生煮えのままながらまずはアウトプットしていきたいと思います。
はじめは接頭辞パーツ部分を列挙していこうかとも思いましたが
以下例では何の気なしに接頭辞を含む複合物の言葉をそのまま載せています。
接尾辞と違い接頭辞はただ列挙するだけだとパーツがどのようにつながるのかを瞬時に思い浮かべるのが難しいからです。
中点で分離しようかとも思いましたが絵面がちょっとやかましくなってしまうので
見たままで語頭部分の切り出せるパーツがそのままその語の接頭辞的パーツだと思ってください。
<接頭・高生産力パーツを含む語の例>
デジタル誘拐
隠れオタク
エセ事情通
エア友達
オール野党
無限キャベツ
痛ネイル
ビジネス子煩悩
おま環 (お前の環境だけというのを短縮した俗語)
雑コラ
追いチーズ
推しウエポン
MYタンブラ―
駆け込みセーフ
セルフ快気祝い
勝負ヘルメット
看板ネコ
サブカード
超高速ヨシヨシ
名誉サバ嬢 (称号系)
妖怪小銭稼ぎ (称号系)
デコ料理
ど根性いちぢく (境遇系)
崖っぷちホテル (境遇系)
格上力士
みなし弁済
名ばかり管理職
いつの間にか骨折
気逸らし行動
置きエイム
リアル北斗の拳 (のの包含関係分かれる)
開幕謎の寸劇 (のの包含関係分かれる)
凄腕鑑定士
浮かれミネソタン
嫌われ松子
疎まれ窓際族
目玉人事
御用絵師
なんちゃってラグビー
万年平社員
自称ダイエッター
主力コンテンツ
先代犬
歴代WALKMAN
大型連休
官製10連休
弾丸東京ディズニーランド旅行
乱脈融資
気まぐれボタン
酔いどれ天使
バイバイドライブ (銘打つ感じ)
さよなら公演 (銘打つ感じ)
イマドキ家族 (銘打つ感じ)
直アクセス
ダダスベリ
お試し社会人
ナイス判断
文化住宅
フルーツ青汁
本格始動
ド平日
若おかみ
簡易レビュー
願望記事
定番おかず
おそとカレー
ガバガバIME
ゲリラ謝罪会見
二段階歓声
闇人脈
一発レコーディング
簡単湯豆腐
マンモス校
1日CEO (単位系)
一人焼肉 (単位系)
毎ターン (単位系)
最多バス停
飲む点滴
<まとめ・ひとこと解説>
まず先の例では今時のカジュアルな接頭辞のものを中心に取り上げてみました。
接頭辞とは謳っていますがものによっては型が副部/主部になっているというよりかはどちらかというと両方等価に結合しているただの複合語に見えなくもないような例もあります。
この辺の語彙の強さの境界を見極めるのは難しく、あくまで自分の主観で接頭辞部分に生産力のポテンシャルが見て取れそうに感じたらリストに加えるという方針にしました。
結構雑な判断基準かもしれませんが基準からこぼれ落ちそうな例も含めて境界・辺縁も視野に入れつつ考察のまな板にのせられるのではないかということでこの仕立てであります。
個々の具体例については細かくは触れませんがひとこと的な注釈として
・おま環 (お前の環境だけというのを短縮した俗語)というのはただの短縮語に過ぎないと言えるかもしれませんが、おま国、おま値みたいに派生もそこそこあるので接頭辞パーツと見立てました。
・リアル北斗の拳/開幕謎の寸劇 については(リアル北斗)の(拳)という分かれではなく(リアル)(北斗の拳)という接頭辞部分が統辞となってはたらく構造となっています。開幕謎の寸劇についても同様です。
ここでは深くは突っ込めませんが、ペンタクラスタキーボードのでにをは別口入力において助詞をツナギとした格関係を認識するということとこの例のように接頭辞パーツの係りが後続の言葉に影響を及ぼすこととで判断が混線してしまう可能性も見られるので、この部分の処理にいかに見通しをつけていけばいいのかも今後の課題となるでしょう。
・浮かれミネソタン/嫌われ松子/疎まれ窓際族 についてはちょっと無理やりな気もしますが厳密に言えば動詞受身の装定と言ってしまえば元も子もないのですが装定句であると同時に生産力をもった接頭辞パーツであるともみなすことができないかということで今回例に入れました。
・バイバイドライブ/さよなら公演 については基本の型として[性状様態属性付加][名詞]のようになるパターンから外れ、この例ではバイバイとかさよならとか呼びかけ句が半ば属性付加の機能を持ちはじめているところへきての結合でありまして、この事例を雑メモ的に(銘打つ感じ)とコメントしてあります。ちょっと毛色の変わったものでしょうか。
・直アクセス/ダダスベリ については動詞(動名詞)の前について修飾的に機能している例で係るものが名詞ではなく動詞(あるいは形容詞・形容動詞もか)であるのがポイントです。(「ひとポチ」なんていうのもアリかも)
・ド平日についてはドのつく強調が印象的ですが係っている「平日」というのが文字通りの名詞と捉えるのではなくある種の属性様態をもった[休日ではない日]=[いかにも通常の日ですよ]という形容詞的用法のものにドがついているのが特徴的です。
・1日CEO/一人焼肉/毎ターン についても単位当たりの量や行為や頻度をあらわす使い方や一人で焼肉に行くという個々感を出す効果でも使われていて数量概念が絡むという意味でこちらも新鮮であります。
・飲む点滴 こちらも完全に動詞の装定ではありますが「飲む--」が生産的に定型化しているので接頭辞パーツの一形態と複眼的に捉えてしまっても構文解析処理で何かしらの利は出てくるものだと期待しております。
…駆け足で解説していきましたが、こうしてみると接尾辞を含む語は「機械化する、をすすめる」「経験上うまくいかない」「煽情的に見える、だ」「絵描き人冥利に尽きる」みたいに
後続の語句が連語的につらなる、あるいはをがはに等助詞を受けるなど文解析上の区切り要素としてうまく顕在化できていましたが、
接頭辞は語頭にいきなり出てくるものですのでどこまでが接頭辞の終端部分なのか区切り目がわからないケースも多く、検出不備で混線してしまうことと、仮に検出できたとしてもその係る勢力範囲を決定するのが難しいといった問題があります(先述のリアル北斗の拳みたいな例の他にももっとありそう)。
あとは構文ではなく長い複合語の解析の処理とも重なってくる部分が大きいのでうまく接頭辞の部分ケースを取り捌くことが重要になってくるかと思います。
今の段階で言えそうな解説はここまでです。接頭辞についてはあまり注目されることもなかったのでこうして採り上げることができて良かったです。
でも接頭辞パーツをうまく利用したもので「追いチーズ」みたいなモダンな新語に出会うこともできてなかなか味わい深かったです。
皆さんは他に何か面白そうな言葉に出会うことができたでしょうか。
ビバ接頭辞!すわ大器か!
…ビバもすわも接頭辞であるのか単に感動詞であるのかはここではあまり深く考えず、今回の記事を終わりたいと思います。
というわけで自由なことばには受け皿もしっかりしなくちゃいけないな、と思っている変わり者がここにいますが、
日常目にする言語的視点の材料を発見するとついメインをそっちのけで例文整理、リサーチに、気づいた時には手が動いています。
これと関連して文化人を偲ぶ記念日などで使われる「--忌」といった語尾も頻出音素「き」を持つためなかなか思い通りに変換できませんね。
司馬遼太郎の「菜の花忌」、会津八一の「秋艸(しゅうそう)忌」など変換へのリーチが遠そうなものにはさまざまありますが、
与謝野晶子の白桜忌(はくおうき)には昨今のゲーム・アニメ作品「薄桜鬼」とダダカブりなので、接尾語で構成される語として三属性変換・ハ万のワンタッチで目的の変換へアクセスできることは上位マターと言えるでしょう。
何しろこうした接尾語の中には「き」や「ち」のように一文字だったり頻出音素だったりで、いろいろ混在する変換候補テーブルの中からピンポイントで浮上させなければいけないのですから同音異義語の問題は相当根深いものと言えます。
ライフススタイルの変化、ネット界隈でのコミュニケーション、ニュース言葉・評論言葉・CM広告言葉など価値観の多様化によって日夜さまざまな新語が生まれています。
ちょっと定番の言い回しから踏み込んだ、フランクで自由なバリエーションを広げて作り手も受ける側も新鮮な言い回しを求めているがゆえの盛況さだと思います。
その中でも接尾語の生産力に乗っかった造語新語はイメージも喚起しやすいのでこういった新語構成の常套手段となっておりますので、それをはじめて書く(打つ?)うえでアクセスのし易さが気になるところです。
冒頭のRock'n Roll葬や菜の花忌などの例のほかにも気になる例が沢山ありました。
コン…とり婚、ビビビ婚、むっくり婚
タン…青春譚、南極生物譚なども弱い
デン…喝采伝、白蛇伝も電気の電が出てきてしまう
ダン…監督談、購入者談も段や弾がでてしまう
カ…コカイン禍、SNS禍なども上位筆頭が「化」とは言えロ万で上位候補になっては欲しい
ヒョウ…浅田彰評、シネマ評
ゲン…負荷減、トラブル減
ヒ・チ・ボ…歴代比、高CP値・来客簿なども
エ…アプリ絵・捧げもの絵
ニキ・ネキ…慧眼ニキ・寝起きネキ
トウ…般若湯、野草湯
ハン・パン…清一色6飜ハン変換できない
ゲート…崔順実ゲート、加計ゲート---カタカナであっても弁別効果ある
ビ…あるある美、基準美 こういうのも埋もれている
サク…ガイダンス策、周知策
ホウ…ON砲、ロマン砲
ヨク…収集欲、いいね欲
ゼイ…古参勢、連戦勢、ガチ勢
ッケ…ポイント還元っ気、アービトラージっ気
ゲイ…見切れ芸、密室芸
ドミノ…作画崩壊ドミノ、辞任ドミノ
モク・カ…ヒト目面白い事言う科だね
カタ…デフラグ過多、商い過多
カイ…ドシリアス回、温泉回
ジュウ…めんたい重、ローストビーフ重
コ…不凍湖、ダム湖
ブキ…コロニアル葺き、下葺き、葦葺き 濁り音の接尾辞もカバーしたい
…どうでしょうか、こういった語が接尾語で構成されているものだ、と明確に分かっていればワンタッチでアクセスできる三属性キーは実に重宝するインターフェイスだと自負しております。
通常の漢字変換では変換しづらい、コロケーションも確立できていない未知なる語のつながりのため変換AIもうまくカバーできていないタイプのパーツだと思われます。
ただ忌には同じ「き」の接尾語がいくらでもありますから(期・記・機など)単に属性ハのハ万のキーを押すだけでなく、属性の兼任、別の属性へ押し順の遷移過程などの細かいニュアンスの使い分けを駆使して筆頭候補をコントロールしていくこともワザの一つです。
例えば「機」は個別の機体が物体としてある訳ですから名詞属性のイ万も兼任していますし、「期」はイヤイヤ期みたいに盛んなある時期を表しているので様態属性のロ万を兼任しています。
「忌」に関して言えば日時・時間概念のものですからメタ属性のハ万の関与が深そうなのでハ万で上位候補にきそうです。
こういった具合に接尾語のニュアンスを酌んで押すキーもイ万・ロ万・ハ万からアクセスしたり最初は接尾語のハ万を押しておいてつづけてイ万/ロ万のニュアンスに寄せて軌道修正したりするなどインターフェイスの味付けにうまく乗っかっていただければ良いなと思います。
ちょっと横道なんですが、こういったニュアンス違いのイ万・ロ万・ハ万の違いなんですけれど、接尾語と結合する基幹語の語彙的つながりデータを見ているのではなく、意味を見ずして単に「記」のもつ生産力空間はイ万だろう、「期」のもつ生産力空間はハ万だろう
…という推測をもとに分類しているので、つながる語彙によっては違和感のあるカテゴリ分けが施されるケースもあるかとは思いますがそこまで行き届かせることは困難ですのでまずは接尾語生産力を最大限活かす形で対応していくのが三属性変換全体にも通じる枠組みだと捉えていただきたいです。
今後変換メカニズムが煮詰まっていくにつれてこの辺の語彙的データも参照するようになるのかは私の見識では判断しかねますのであまり深いところまでは申し上げられません。
とはいえ語の意味属性・範疇属性をテコに選択肢を劇的に絞れるのは変換キーを3つの三属性キーと通常変換の計4つの変換キーできめ細かく選択できるペンタクラスタキーボードの最大の特徴ですから、
ユーザーの方たちにも機能と利便性を周知して力のあるツールとして確立していければ良いなと思います。接尾語はなかなか奥が深いですよ。