夏は野菜のおいしい季節です。
最近ではインターネット直売や道の駅などで珍しい野菜を目にする機会が多くなってきました。
健康志向の高まりから有機野菜を売り物にするレストランなどでも新顔野菜に注目が集まっています。
2015年4月より食品の機能性表示制度が施行され、食品に対して「健康の維持・増進に役立つ」機能性が表示できるようになりました。
これには肉や加工食品のほか野菜にも適用されており、市場には特定の栄養素や病気・老化予防などの効果を謳った"機能性野菜"が登場するようになりました。
野菜ブームの盛り上がりはとどまるところを知らず、今年に入ってからは野菜の魅力を体験できる複合型施設
「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」(キユーピー株式会社)などもオープン。
このトレンドはどうやら一過性のものではなく根強いファンに支えられた"本物"のブームのようです。
そこで今回のTwitterつぶやき数調査は…
食卓のニューカマー、「新顔野菜」の頂上決戦であります。
あまりマニアックすぎるのも何なので初学者のニワカがはまりがちな衒いのワナに陥らないように
最大公約数的な、適度な無難さを心がけてあえて既視感の強そうなものもまな板にのっけて検討したチョイスになっております。
解説は以下に続きます。
1.ロマネスコはカリフラワーやブロッコリーの仲間で幾何学的フラクタルの構造を持つ花蕾が特徴的です。
2.ヤーコンは南米アンデスが原産の芋のような野菜です。シャキシャキした食感です。
3.モロヘイヤはエジプト原産でビタミン・ミネラルが豊富です。わずかに粘り気がありおひたしにピッタリ。
4.チャメは韓国を代表する夏の定番フルーツで、メロンのような甘さのマクワウリの一種です。
5.空芯菜は茎の中が空洞になっているのが特徴で中華の野菜炒めは絶品ですね。
6.四角豆は断面が四角形に見えるヒダがあり沖縄では「うりずん豆」として親しまれています。
7.スイスチャードは黄色や赤などのカラフルな茎が鮮やかで地中海地方が原産の葉野菜です。
8.アーティチョークはアザミの仲間の西洋ではポピュラーな野菜で、つぼみの部分を食用として用います。
9.キヌアは南米原産のヒユ科アカザ亜科の穀物でスーパーフードといわれる驚異的な栄養素を含みNASAも注目して一躍有名になりました。
10.ジュンサイは秋田県の名物のスイレン科の水草で幼葉や若芽の部分を食し、沼で小舟に乗って手摘みするところが初夏の風物詩となっています。
結果はこちら↓
調査期間:2022年7月19日-7月20日
1.ロマネスコ 24
2.ヤーコン 20
3.モロヘイヤ 473
4.チャメ 63
5.空芯菜 250
6.四角豆 6
7.スイスチャード 30
8.アーティチョーク 27
9.キヌア 66
10.ジュンサイ 73
1位に躍り出たのはモロヘイヤ。
新顔野菜というかエジプトで約5000年前から栽培されていて、どんな薬を飲んでも治らなかった王様の難病がモロヘイヤで治ったとの伝説から
アラビア語で“王様の野菜”という意味の「ムルキーヤ」が語源であると言われています。
大変、由緒のあるいにしえの野菜だったのですね。
大きなスーパーなどでは7月から9月の夏の時期に出回るらしいです。
新顔野菜全般については
最近では輸送技術・流通チャネルの進歩から調達環境も良くなりました。
あとは細かな嗜好に応えるようなマーケットの粒度変化もあって供給が成り立つようになったことも大きいです。
もしスーパーで目にするようなことがあったら迷わずGETして食卓の主役にしてみてはいかが?
インスタやSNS映えすること間違いなし!
ここに紹介したもの以外にも数多の変わり種野菜が出回っていますので興味のある方はリサーチしてみるのもいいかも知れませんね。
今回はベジタボーな話題でした。
久々に遠出して秋葉原のミニシアター・秋葉原UDXシアターにて35㎜フィルム上映 「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」を観に行きました。
このブログでは個々の映画に関していちいちレビュー記事を書くということは特にしていなかったのですが
今回の映画は特別、劇中で使用される音楽の権利関係のためDVD化されていないということで、不定期で行われるBS・CSテレビ放送かミニシアターなどでリバイバル上映されるときでもない限り私たちには見る手段がない、ということが重要なポイント(もちろん動画配信など望むべくもありません)。
なのでこれは書く価値があるだろうということで特別に感想記事をしたためることにしました。
大して映画通というほどではありませんが私の映画遍歴の自慢は内田けんじ監督作品「運命じゃない人」を2005年渋谷で、丸尾末広による漫画「少女椿」(実写じゃないほう)のアニメ映画を2004年に新宿ミラノ座でリアル視聴したのがOh!若き日の思い出であります。
拙ブログの過去記事
第2弾:ASMRもいいけどスラムダンクもね - P突堤2
の映画雑記事でもレア映画として紹介しておりかねてから機会があったら是非観てみたいというのがあり今回その念願が叶いました。
ありがとうさくらももこさん!ありがとうドリパス!
…というわけで大まかなストーリーを紹介すると
音楽の授業で「めんこい仔馬」という歌を習って大のお気に入りのまる子。
そして学校の図工の課題で「わたしの好きな歌」を題材に絵を描いてみましょうとの投げかけに
「そうだね、お気に入りのめんこい仔馬をテーマにしてみよう」ということになりました。
ちょうどその頃おつかいの途中静岡駅で似顔絵描きのお姉さんと出会い、徐々に交流を深めっていったまる子は
図工の授業で描く絵のアドバイスをもらいながら「めんこい仔馬」の歌の本当の意味を知ってショックを受けます。
「めんこい仔馬」は5番まであり、仔馬はやがて軍馬になってお別れを惜しむという結末だったのです。
そんなこんなで、お姉さんとその彼氏、そしてまる子&友蔵のダブルデート(?)で水族館へ遊びに行くなど楽しい日々が続きます。
しかしある時遠い北海道に実家があるその彼氏のプロポーズを受けて、郷里へ来てくれ、と揺れ動くお姉さん。
そんな様子を見かねたまる子は
「絵は北海道でも描ける。でもお兄さんは一人しかいないんだよ。追いかけて!」
まる子はそれが別れと知りつつも慕っているお姉さんのために背中を押してあげます。
そして訪れた結婚式の日。まる子は授業中ですが気が気ではありません。
ついにお腹が痛いと先生に嘘をついて授業を抜け出して式場へ向かうまる子の見たものは…。
…というお話になっています。
まず劇場で観たスケール感というものが圧巻で通常の2倍以上のセル画6万枚を使った労作だけあって、ピクチャーが、モーションが、静岡駅の風景がぬるぬる動く!お魚もモブも良く動きます。
また各場面で音楽PVのように繰り広げられるサイケな映像も音楽の魅力を余すところなく引き出しています。
いつもののほほんとしたまる子ワールドから中毒性の高いMV映像へと自然に移り変わるそのトリップ感は、選曲といいビジュアルといいさくらももこワールドの名を冠するにふさわしい独特の世界観を成立させています。
劇中で使われた音楽パートを以下に列記します↓
『めんこい仔馬』/作詞はサトウハチロー、作曲は仁木他喜雄
『1969年のドラッグ・レース』/作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲:CHELSEA、(アニメーション演出:湯浅政明)
『ダンドゥット・レゲエ』/作詞:Seribayu、作曲:S.Aten、歌:Campur DKI、(アニメーション演出:船越英之)
『ヒロシの入浴』/作曲・編曲:近藤達郎、(アニメーション演出:芝山努)
『はらいそ』/作詞・作曲・編曲・歌:細野晴臣(アニメーション演出:芝山努)
『買い物ブギ』/作詞:村雨まさを、作曲・編曲:服部良一、歌:笠置シヅ子、(アニメーション演出:湯浅政明)
『星を食べる』/作詞:滝本晃司、作曲・編曲・歌:たま、(アニメーション演出:小林常夫、作画:重国勇二)
『B級ダンシング』/作詞:さくらももこ、作曲:杉真理、編曲:戸田誠司、(アニメーション演出:小林常夫、作画:船越英之)
…などなどインドネシア風あり、ビートルズ風あり、日本のハイセンスPOPS職人の曲と謎のエキゾチック⇔アーバンちゃんぷるが漫画の作者自身の音楽センスの振幅を感じられてとてもいい感じです。
特にアニメーション・パート、湯浅政明氏は『マインド・ゲーム』、『映像研には手を出すな!』で存じ上げてはいたのですがちびまる子ちゃんの頃から異能の片鱗を見せていたとは私もなかなか不勉強でした。
でもそれくらいぶっ飛びな「買い物ブギ」は唯一無二の映像体験です。
劇中のクライマックスはもちろんお姉さんの結婚式。
千住明さんと川原伸司さんの劇伴音楽も泣かせるんですが、
特に「めんこい仔馬」の5番の歌詞
明日は市場か お別れか 泣いちゃいけない 泣かないぞ
軍馬になって 征(い)く日には オーラ
みんなで バンザイしてやるぞハイド ハイドウ してやるぞ
がオーバーラップして白無垢姿のお姉さんにむけて万歳万歳するまる子が健気で
(ことあるごとに万歳ぐせのあるいつものテレビシリーズのノリともギャップがあるのが新鮮)
なんだか今のジェンダー感からいうと結婚のために夢を犠牲にするというそしりもないわけではないですが
結婚しても頑張っている…その後うれしい知らせが届いてまる子にとってもお姉さんにとってもキチンと救済を示してから終わったので良かった…大団円です。
"うれしい知らせ"についてはぜひ皆様のこの目で確かめていただきたいです。
とにかく会場もほぼ満席に近くてライブ感をこの身に感じながら終劇後のちょっとしたざわめきを聞きながら会場を後にしたのでした。
1992年12月19日に公開…もう30年も昔の映画なんですか。
映画っていいなぁ、音楽っていいなぁ…しみじみさせてもらいました。
もちろん殿堂入りのクオリティです。
今回は以上でした。
この記事でブログ総記事数が227記事になりました。全然区切りというわけではないけど。
亀の歩みでここまで来ました。ブログ開設から2198日!
私のこのブログで1番推したい記事、
リアクションボタン拙案(いいねはいらない)検討 - P突堤2
が8月1日でやがて投稿1周年になります。
あの頃の自分、グッジョブ (o^-')bグッ!!
なんだか宝石が埋もれてしまうのは忍びなくて…
良い機会なのでここでおすすめの過去記事を一挙に大紹介!
「打ち言葉」の自由獲得の為には「生産力のある辞」の入力手段を拡充することが重要
日本語をリンガ・フランカにしようなどとは虫のいい話、もっと自分から乗り込め!
名詞と非名詞の境界が曖昧な例
言葉に関する映画やアニメ・ゲーム・小説・テレビ番組・文物
細工は流々、言葉を題材にしたエンターテイメント作品[第2弾]
助詞省略のtwitter構文と副詞ヴァージニティ
属性選択の遷移過程を反映した変換候補のリオーダリング
お茶の間・地域で耳にする音源稀少ソング基本情報あつめてみました
レトリックの陰謀論
フォース フレンズ ギガが減る…何の比喩?
ポメラの立ち位置が面白いのでこの方面の新セグメントを夢見る
「小物界の大物」「カラオケ界の4分33秒」などの矛盾比喩表現界隈
粒度考:「視野を広く持つ」ではなく「構えを洗練させてみる」の方がしっくりくる
混ぜ書き不快派と漢字をひらく派は対立構造ではない
「やらしい話」は副詞か
音と表記の狭間で~名前の配字構成法則に迫る
畳語上戸な私のカタログカタログ
だいたいおすすめ順に並べてあります。
言葉の満漢全席ーーどこから手を付けてもいいんです。人生一度は食べてみたい!
そんなラグジュアリーな気分にあやかって、ことばのフルコースをあなたの脳髄にパイルダーオンしてみませんか。
お時間は結構かかりますよ、なにせ108種の料理を三日三晩かけて食すのだそうですから。
今宵、あなたは宮廷人になります。
私にとって言葉はFOOD、日々の糧であります。
最近訪問するようになったお方も、昔なじみの読者さんも、こぞってご精読してくださるとうれしいです。
子供の頃、たまに横浜・関内の書店:有隣堂に連れて行ってもらって本を買ってもらったりしていた。
当時お気に入りだったのは今は廃刊になってしまったが講談社の科学雑誌の「クォーク」。
僕にとって科学の扉を開いてくれた雑誌であり宇宙論や量子論の記事など頭をくらくらせさせながら読んだし、日常雑多なサイエンストピックなども適度に織り交ぜられていてバラエティに富んでいた。
記憶が定かではないが人文記事も割とあって仏教の歎異抄のくだりや禅宗の全機現という言葉を知ったのも当時の思い出だ。
そんな中、コンピューター書のコーナーにひときわ異彩を放つ雑誌が陳列してあった。その名は
「TRONWARE(トロンウェア)」。
まだオペレーティングシステムの何たるかも知らない少年(青年?)の心の片隅に、それはまぶしく映ったものだった。
限られたお小遣いの持ち分で敷居の高い専門的な内容であったため実際に買ったのは数回しかなかったが、
有隣堂へ立ち寄るたびにもれなくTRONWAREのコーナーをチェックして並んだバックナンバーの中から特集・トピックなどをつぶさに吟味することが恒例となっていった。
エルゴノミクスデザインのキーボード、ツリー型のディレクトリとは全く違うネットワーク構造で記述された独特のファイルシステム=実身仮身モデル、BTRON準拠の18万文字のTRONコード文字が使える超漢字OS(今でいうPC的な位置づけ)、IoTの概念を先取りした「どこでもコンピュータ」構想
…などなど開発者の東京大学教授(当時)の坂村健氏のあまりに先進的なビジョンに驚嘆と憧憬の念をいつしか抱くようになり、そのころパソコンは所有してはいなかったものの折あるごとにマンガ喫茶などで検索にいそしむ日々があったのである。
こういった原体験とともに自分自身のアイデアスケッチ・ノートの断片を胸中に携えつつ比較対照の往復をおこなっていたので世間でいう「クリティカルリーディング」のいとなみを無自覚に身につけていったことを思い起こす。
ペンタクラスタキーボードの核心アイデアである「助詞別口入力」はこのようなプロセスの中から萌芽していったのはいうまでもない。
近年、TRON OSのビジョンや先進性について再評価する動きが高まっている機運を感じる。
先般のNTTの株主総会や国会質疑などで相次いで、象徴的なやりとりがあった。
「デジタル自給率を向上させることが求められる」
「国産の検索エンジンやツイッターのようなサービス作れないの?」「マイクロソフトのような国産OSはできないの?」という質問。
これに対するネット界の反応は
「株主の妄言」「何をいまさら」「寝言は寝て言え」「めっちゃ使いたくない、迷惑 < 国産OS」
「IT基礎技術で国籍にこだわると死ぬ」
など否定的な反応が多く見られた。(嘲笑半分)
しかし少数ながら
「アメリカのスーパー301条でつぶされたTRON」
「組み込み向け用途のリアルタイムOSとしてのITRON(アイトロン)は今でも結構シェアあるぞ」
「80年代にTRONの重要性に気が付かなかったほど先見の明がないヘボい政府や企業にそんなこと期待する方が無理」
などの意見もみられた。こちらは(くやしさ半分)といったところか。
これは根っからのTRONファンにとっては古傷を痛めながらの予想外の遅咲きに困惑気味にまんざらでもない面持ちでもあるのではあるが
最近目立つようになってきたのが安易なナショナリズムや陰i謀i論iと結びついた、訳知り顔の新参どもがはき散らかす「扇動的言説」の流布が気になっている。
検索のノイズになって迷惑この上ないのはともかく、こういった言説が一定数の支持を得て潜在的なバイアスを広く植え付け、もしかしたらさきほど俎上に上った発言を引き出す要因となっているとするのなら心胆を寒からしむるものがある。
やれi開i発i者iがi陰i謀iにiよiっiてi殺iさiれiたiであるとか物騒で思慮のない思い込みをパブリックなところで目にしてしまうのは不愉快でもあるし精神を消耗させられるのだからとても厄介だ。
フェイクをまき散らす彼らには彼らなりの悔しい思いがあったのかもしれないし筋違いではあるが義憤によって物申しておられるに至ったかもしれないのだが、少し冷静になってほしい。
欠乏や喪失は推進力にはなるが、源泉にはなれない
ということだ。
ほかでもない私には有隣堂で培った"原体験"がビビッドに焼き付いており、それは喪失の物語ではなく「獲得の物語」であったということだ。
今後ももこうした言説に惑わされることなく、技術動向をシビアに見定めつつ、夢想家の夢も捨てることなく獲得の物語のレールのその先を走っていきたいと心を新たにしていこう。
…失礼を承知で筆汚し申し訳ないが締めにひとこと書き添えておくと
TRONプロジェクト提唱者にして開発者の坂村健氏はもちろんご存命であるし、
先般のNTT株主総会での「国産OS」を巡る発言の一端もよくこんな質問が出るなと思った方、それも当然、
坂村健氏は2019年よりNTT取締役・執行役員に名を連ねており件のやり取りが出たのも坂村氏が臨席することを念頭に置いたうえでの質問であったということ。
以上で懐古と最新事情が交錯した6月の出来事であったが90年代当時の店頭でTRON搭載機というのは見たこともなく
デモ動作も動画すら知らない私にはTRONファンを自称するにはまだまだ修行が足りないということなのであろう。
今度どこかで展示がしてあったら見てみたいな。
ハッシュタグは、自重しておく。
今回は以上でした。
調べてみました。
スパラグモス:
ボンドルド卿のかっこいい技名その1なんですがこれも原典を探すとなかなか含蓄が深い絶妙のネーミング…作者のつくしあきひと氏は一体どこから紐解いたのか。
肘から発射される光の刀剣が鮮やかなこの名の由来は豊穣と酩酊の神デュオニュソスに生贄の牛や羊を八つ裂きにして捧げる儀式の事とのことなんですがここの語釈(ルビ)として振られる翻案フレーズが「枢機へ還す光」。
もうかっこいいですよね。常人には理解不能なボンドルド(or作者)の深層意識が現れているように思います。
ギャングウェイ:
これもボンドルド卿のかっこいい技名その2。ギャング(港湾労働者の一団)が陸から船へ渡るために用いる橋のことである。とのこと。これが転じて
「道をあけて」「どいたどいた」となるのが遺物命名のロマン。仮面から放たれる無数の屈折したレーザー光の語釈(ルビ)は「明星へ登る」。狙った対象に必ず当たる光線。なんと必中の属性をそなえているのです。
上昇負荷:
アビスの呪いの過酷なことの一つに上昇負荷があります。降りるにはいいけどいざ上がって戻ろうとすると体に不調・異変をもたらすアレであります。
この上昇負荷という言葉になぞらえて、twitterの闇や深層から戻るとき、あるいは投資や為替などの値動き、映画などを見終わって現実に帰るときなどに自嘲的に用いられる用法も一部でみられるのは興味深いところです。
成れ果て:
成れ果てというのは動詞の連用形が転じて転成名詞になったものと思われますがこれと同じように末尾タ行で転成名詞になれそうなものと言えば「2本立て」「さや当て」くらいのものでしょうかなかなか文法的にも面白い言葉だと思います。
しかし気になるのはアビス6層にある「イルぶる」、通称”成れ果て村”では村独自の言語・文字が使われており、表層の街・オースの言語とは大きく異なる文法が適用されている…このくだりを見つけたときには胸が躍りましたよ。
アニメ版・劇場版でしか見ていないので先の展開はわからないのですが言語スキーにとってもその詳細設定や語彙・語法の組み立てに刮目せずにはいられない要素でありそうです。展開が楽しみですね。
白笛:
〇〇の剣や△△の宝物みたいなものではなくてホイッスルは知覚用具でもあり警報・注意引きのツールでもあり、ハーメルンの笛吹き男みたいに扇動・教導のシンボルでも成り立つ、そしてさらには赤笛、蒼笛、月笛、黒笛、白笛のように探窟家の階級章としての呼称シンボルと同時に証としての物理的なレガリアとしての実体…
笛はこうしてみるといろいろ喚起イメージが広がっていてマルチなところがとてもいいですね。
物語としてもいろいろな色彩や魂の織り成すタペストリーとしてますますその意味合いが深化していくところが見どころでもあり、この作品の魅力でもあります。
地臥せり:
先ほどの動詞連用形からさらにひねりを加えて古典文法の「完了・存続」を意味する助動詞の味付けが名詞化された稀有な例だと思います。
「り」「たり」を使った文としては「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とか「自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」ぐらいのものしか挙げられませんがどれも用言止めなのに対し、
どんなメカニズムなのかはよくわかりませんがとにかくこれは体言・名詞使いされている「地臥せりによって発見された」などまぎれもなく名詞ということ。
一説には山野で落ち武者狩りなどを行う武装した民衆の呼び名、野武士/野臥または「野臥せり」と同じ類推によって生み出された造語だという説もありますが面白い言語現象であります。
度し難い:
形容詞で目新しい語彙というのはとても新鮮です。
「救いようがない」「どうしようもない」「道理を言い聞かせても分からせることができない」などの意味で使われている言葉なんですがよくこんなマイナーな語彙を一般化してしまいましたね。
優れた創作物っていうのは、このようなつい使いたくなるようなフックのある語彙を召喚する、あるいは再発見するスキルに長けているものだと思います。まったく度し難いアニメですね。
黎明:
この言葉はすっかり市民権を得ている言葉ですよね。最近じゃエンタメ作品に引っ張りだこな漢字であります。フェチ心をくすぐる漢字っていうのでしょうか。
火の鳥にはじまり、鬼滅の刃、薄桜鬼、アイドルマスター、サモンナイト、バトルスピリッツブレイヴ、アカシッククロニクル、Fate/Grand Order、十二国記、彩雲国物語、魔法使い黎明期、黎明のアルカナ、、少女病、陰陽座、SIX LOUNGE、ジャニーズWEST、そしてメイドインアビス 深き魂の黎明 と。
(個々の詳しい作品/章名/エピソード名、曲名、パッケージ名等の説明はここでは割愛)
うわっ、日本人、「黎明」っていう言葉が好きすぎる…。つぶやき数も609ポイントでもちろんトップでした。
パパ棒:
この言葉のくわしい意味についてはプルシュカちゃんに聞いてください。
そす:
通称「成れ果ての姫」という異名を持つ新キャラのファプタですが現時点で私はアニメ情報でしか情報を得ていないのでこのキャラクターの人となりがよくわかりません。
とにかく語尾に「…そす」というのをつけるのが特徴的なしゃべり方らしいのですがちょっと脱力感があってかわいいキャラ語尾ですね。
検索語としてはノイズも拾っちゃうのではないかと躊躇もありましたがそれほど気になるレベルというほどでもなかったので結果オーライですそす。
結果は堂々3位の413ポイントのつぶやき数でありました。
うーん、「メイドインアビス 烈日の黄金郷」ますます楽しみそす。
-------------
…以上で長ーい解説は終わりなんですが今回は肝心のYahoo!リアルタイム検索アプリのスクショをどこにもってくるかあれこれ試行錯誤した結果、中盤と最後にどーんと置いておくほうがデータを見る余韻が読者さんに残ると思ったのでちょっと変則的な構成でお届けしたいと思います。どうぞご容赦ください。
…まあ肝心の調査項目を発表しないと始まらないんでまずはこちらからドーン↓
改めまして、今回の調査はYahoo!リアルタイム検索アプリを用いてメイドインアビス作品でちょっとフックのある言葉の端々を解説しつつ、
それぞれピックアップされたワードの一日でつぶやかれたツイート数の推移・結果を一覧してみようという好評のシリーズ企画であります。
まずこの調査データは2022年6月30日から2022年7月1日の24時間で計測したツイート数であります。
第2期の放送開始を7月6日に控え、twitter界も新作の話題でもちきりになるのは目に見えておりますので、公正なつぶやきボリュームをサンプリングするのにあえて"嵐の前の静けさ"である放送前の話題状況を調査することといたしました。
それに歩みを合わせるように、劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」のオンエアも地上波とBSで直前に相次いで放送されるので影響は必至です。
読者の皆様も、放送前の話題性と放送後の話題性を合わせて比較出来たらより興味深いデータが得られるかと思いますのでまずはご注目ください。
さんざん煽っておいてナンですが、この作品をまだ見たことがないという方は心に準備というものが必要になりますがぜひ見ておかれることをお勧めします。
ネタばれなしで初見できたという方がいらっしゃればまさに幸せというよりほかありません。
昨今の情報化の弊害なのか、知りたくなくてもうっかりネタバレを食ってしまうことが往々にしてありますのでできればまだ情報があふれていない今のうちにお時間があればご検討をどうぞ。
作画もシナリオも音楽も声優陣もすべてがハイクオリティ、こんな良作に巡り合えることは10年スパンで考えてもそうそうない作品であります。
まあ、始まる前からあれこれ御託を並べるのも無粋というものですので今記事はそろそろ締めに入らさせていただきます。
それでは今回の調査結果です↓
調査期間:2022年6月30日-2022年7月1日
1.スパラグモス 6
2.ギャングウェイ 3
3.上昇負荷 64
4.成れ果て 95
5.白笛 539
6.地臥せり 3
7.度し難い 271
8.黎明 609
9.パパ棒 22
10.そす 413
調査は以上でした!