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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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[異なもの]若干の補足修正

2016-10-27 | 未分類カテゴリ
連体詞の記事を作成中に気づいたのですが、ペンタクラスタキーボードの基本コンセプトの説明文中の別口入力の説明のくだりにおいて、
(「異なもの」「ハイな気分」など短い形容動詞の語句に特に有効ですし、)と説明している部分があります。
wikipediaの連体詞のところを参照したところ、「異なもの」の品詞は連体詞であると書かれており、必ずしも正確ではなかったので[注]を入れて修正しておきます。

ただ[な]を付加する別口入力の機能としては同じ連体詞の「ひょんな」「いろんな」などと機能が少し違い、「意見を異にする」「異を唱える」などの言い回しがあり、ひょんに…いろんを…などの使い方は不自然であり「異」には語幹相当の展開度があり、「異」自体の独立性も高いと判断したため品詞の事はひとまず置いておいて別口入力の使い勝手のうえでは問題ないと考えるので
原文に変更を加えず注記というかたちで対応したいと思います。

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連体詞と別口入力

2016-10-25 | 別口入力にまつわる諸問題
日本語に品詞の中でも異彩を放っている連体詞はもっぱら名詞のみを修飾するもので、自立語で活用がありません。日本語だけに特有で、英語や中国語にはない品詞名であります。近代において松下大三郎が生み出した品詞です。
この連体詞はときに形容詞や形容動詞と区別がつきにくいものがあり扱いづらいのですが、語尾が「な、が、た(だ)、の、る」で終わるという特徴があり、種類もそう多くないので機械的に覚えると便利です。
(連体詞の例):
おかしな話だ
わが国の行く末
とんだ食わせ物だ
あの丘を越えて
いわゆる超常現象だ

これらの特徴的な語尾の中にはペンタクラスタキーボードの別口入力の助詞や助動詞の入力片とタイミングが被り語法もなんとなく当てはまっていそうなので別口入力で区切りをつけようとしてしまいそうなものがいくつかあります。
例えば「大きな」「小さな」「いろんな」などがありますが形容動詞のように「大きだ」「小さで」「いろんなら」と活用しないのでれっきとした連体詞なのですが、別口入力「+な」をついつけてしまいがちなので注意が必要です。
これらはユーザーの区別を促すために別口入力を付加して入力してしまった場合は多少不自然ですが「大木な」「地位差な」「異論な」のような変換結果を返すものとします。「おおきな」「ちいさな」「いろんな」の「な」付きのひとかたまりとして入力して欲しいのでちょっとペナルティみたいですが別口入力「+な」の自由度を確保するための措置です。
さらに「わが国」でも同様に「が」を別口入力せずにひとかたまりでタイプしてください。
続いて「とんだ」も別口入力せずにひとかたまりでタイプします。これらは「飛んだ」や「富んだ」のような三属性変換で処理するものと混同しないように通常変換で優先的にひらがなの「とんだ」が出るようにします。
そして「あの」「この」のような指示語、いわゆるコソアド言葉は代名詞ばかりでなくタイプによっては副詞や連体詞になるものもあるので整理のために違いを記しておきます。

指示語(こ・そ・あ・ど)の品詞の違い

これ  それ  あれ  どれ  代名詞
こっち そっち あっち どっち 代名詞
こちら そちら あちら どちら 代名詞
ここ  そこ   あそこ どこ  代名詞
こいつ そいつ あいつ どいつ 代名詞
この  その  あの  どの  連体詞
こんな そんな あんな どんな 連体詞
こう  そう  ああ  どう  副詞

これらの中では「この」が「個の」(別口入力:の)と区別するために、「ここ」が「個々」(三属性変換:属性ハ)と区別するために、「そんな」が「損な」(別口入力:な)と区別するために、そして「どいつ」が「ドイツ」(別口入力:属性イ)と区別するために通常変換で優先的に変換されます。
さらに副詞の「こう」「そう」」「どう」は「乞う」「沿う」「同」と同音異義語で難しいところですが、通常変換時に構文解析が適切に行われることを期待して(副詞的機能を果たしているか判定する)、特に属性の指定がなくても通常変換で変換されるようにするのが理想です。

前記事とも併せて別口入力の機能を今一度確認してみると、別入力する助詞「が」「の」「に」「と」「で」「も」などが副詞や連体詞としてひとかたまりに捉えるかどうかの関連懸案を抱えていると言えますし、形容動詞の活用語尾「な」や、形容動詞の「だ」あるいは名詞+断定の助動詞「だ」のなかにも「ひょんな」「ろくな」「とんだ」のようなひとかたまり問題を内在しているものがあり、局所的ですが疎かにはできない問題群であると言えます。
そこには別口入力を使用していることによって生じる、「と」などのパーツがあると思わず分けて別入力したくなるアフォーダンスがはたらいているものと思われます。
この辺の「ひとかたまりに入力する副詞・連体詞の例」は以降も掘り下げて文法的な観点を交えながら考察していきたいと思います。


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やっかいな副詞の扱い-属性をどう分類するか

2016-10-20 | ジャンル横断的な問題
山田孝雄の「副詞の3分類」には情態副詞・程度副詞・陳述副詞とありますが、その中でも情態副詞・程度副詞にはさまざまなバリエーションがあります。よく使われる「~と」の形の副詞(例:すんなりと)と「~に」(例:まめに)の形の副詞が語のつながる形からいっても特徴的です。
とりわけペンタクラスタキーボードにおける「でにをは別口入力」を機能させるうえで困難なレアケースとなるのが、「~と」の形の副詞です。
副詞のひとかたまりの語の境界線には「と」を含むものと「と」をオミットしてもかまわないで存在するものとがあり基準がまちまちなケースが見受けられます。
例えばゆっくりとや凛とのような副詞なら「ゆっくり+と」や「凛+と」のように分けて考えることも合理的ですが、「きちんと」「ふと」「そっと」「わざと」のようにひとかたまりの副詞として不可分に一体化しているものもあり、これが「でにをは別口入力」をするうえでちょっとした違和感につながっている場合があります。
(文法の解釈によっては「ひらりと」…のように「と」まで含めて一つの副詞と捉える考え方もあるようですが、ここでは別口入力の特徴を活かすために分離できるものは分けられるものとして話を進めます。)
さて前述のような不可分の副詞の場合は慣れが必要かと思いますが、別口入力の「と」は使用せずに「しかと」「ふと」のようにひとつづきでタイプしていくのが副詞としての本分に適っており構文解析上も好ましいのではないかと思います。
ただ、表記上の問題で「きちんと」を「キチンと」のように表記したい人のために[きちん]+[と](別口入力)のように使い分けられると配慮が行き届いていて良いです。

区切りの問題はこれでひとまず解決しそうですが、変換三属性の問題はこれまた見極めの難しそうなところです。
変換の三属性はざっくりいうと体言・用言・その他 といったところですが、副詞は主に用言を修飾するはたらきがあるので用言のカテゴリ・属性ロに割り振ってしまうと役割がかぶってしまってぼやけてしまうのではないかという危惧があります。

大和言葉の「つい」「ゆっくり」などのような副詞は叙述や様態などをあらわしているようで属性ロ(用言全般)にしたい気持ちもわかりますが、副詞は用言の前につくので一律に三属性変換をするとひとつの文中に2つも3つも三属性変換の選択を迫られることとなり煩雑になってしまうので通常変換で済ませられることはとりあえず通常変換の範疇に入れて無用な解釈の余地をなくしてしまったほうがわかりやすい…これが大前提にあります。
そのうえで「丁度」や「当分」のような漢語の副詞は属性ロで対処するのが良いでしょう。漢語の副詞は一見すると情態・様相をあらわしているので語彙の感覚からすると属性ロの用言と同じ感覚で使っても妥当性があると思います。
さらにそのうえで、イメージ的に第三の属性である属性ハの領分は時間や頻度・程度・領域を意識する言葉に関連しそうですが、「到底」などは同音異義語の「東低」(属性ハ)のほうが領域感・区分感が強いので陳述性を尊重して属性ロに分類したり、「依然」などは属性ハの「以前」と区別するためにあえて属性ロに分類されるというケースもあります。
属性分けの明確な判断基準が場当たり的であいまいなような気もしますが、同音異義語のより良い分別・さばきを第一に考えているので個別ケースに対応しやすいアドホックな構えの方がむしろ三属性変換の真骨頂の弾力性だととらえて頂きたいです。

かなりやっかいな副詞の扱いでしたが、大まかな判断基点の流れとしては

変換>通常変換ができるか(和語の副詞)>属性ロで処理できるか(漢語・擬態語副詞)>属性ハで処理できるか(漢語・擬態語副詞) となります。

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Shiftキーの使いどころ

2016-10-13 | かな84キー+記号キーがある事の利便性
JIS X 0213(符号化文字集合)やそれ以前から規格化されている特殊なかなは普段あまり見かけるものではなく使用場面も限定されてくるかとは思いますが、ペンタクラスタキーボードであまり有効に使えていないかなタイプ時の[Shift]キー同時押しに適用されればニッチな需要にも対応できると思います。

半濁点付きのか行(か゚き゚く゚け゚こ゚)(鼻濁音)        ※クラスタキー「が行」+Shift
半濁点付きのカ行(カ゚キ゚ク゚ケ゚コ゚)(鼻濁音)        ※クラスタキー「が行」+Shift
ひらがなの(ゔ)                         ※クラスタキー「う」+Shift
小書きのか・け(ゕゖ・ヵヶ)                  ※クラスタキー「かけ」+Shift
濁点付きのワ行(ヷヸヹヺ)                  ※クラスタキー「わゐゑを」+Shift
アイヌ語仮名(セ゚ツ゚ト゚)                     ※クラスタキー「ぜづど」+Shift
アイヌ語小書き(ㇰㇱㇲㇳㇴㇵㇶㇷㇷ゚ㇸㇹㇺㇻㇼㇽㇾㇿ)    ※クラスタキー・各かな+Shift

問題はgooブログで投稿したときに文字化け・エラーになるかどうかが心配ですが…

余談ですがMacのことえりではアイヌ語入力に対応していましたがそれにとってかわったOS X Yosemiteでの日本語インプットメソッドにおいては日本語とは別の独立した設定で使うことができます。
最近ではマンガ大賞2016を受賞したアイヌ描写満載のマンガ作品『ゴールデンカムイ』でもアイヌ語の特殊表記が多用されており、作品談義をするうえでは避けて通れないトピックであると言えます。
こんなところでしょうか。


※この記事には補足事項を記した追記があります。リンクを示しますのでご参照ください。
特殊かな文字入力の記事の追記とアイヌ語入力周辺補足事項(1)
特殊かな文字入力の記事の追記とアイヌ語入力周辺補足事項(2)



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三属性変換は万能ではない

2016-10-06 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
三属性変換は便利な考え方ですが使い分けたい同音異義語のタイプによって期待できる変換に向き・不向きがあってその役割というか位置づけを今一度確認する必要があると思います。
例えば<加算・貸さん・可算>のような同音異義語ですと

加算…属性ロ(用言全般・サ変名詞)
貸さん…通常変換で対応(貸さん・見せん・飛べんなどの語は文法的派生であって意味属性を区別する三属性変換の受け持つ諸事ではない)
可算…属性ハ(第三の属性);「可」は可能を意味する接頭語

のように使い分けることができます。また同様に<子安・肥やす>のような例だと

子安…属性イ(地名・人名)いわゆる名詞
肥やす…属性ロ(用言全般)

のようになります。これらは割と意味概念の違うカテゴリ間での三属性の使い分けですのである意味典型的であり、三属性変換の意図するところでありうまく機能してくれるであろうという腹積もりがあります。
(もちろん長文や連文節変換のプロセスの通常変換ではある程度はおまかせで変換されるのが期待されるでしょうから個別的に三属性変換の出番となって使い分けが必要となる場面は少ないのかもしれませんが、短いセンテンスなどで役に立ったり誤変換修正過程で素早く候補を出すのに重宝することを狙いとしております)


これらの例とは対照的に<撮る・執る・捕る・取る・採る・摂る>や<聴く・聞く>などのような微妙にニュアンスの違う動詞の場合は三属性変換で使い分けるのは難しく、無理にこじつけて属性を分けようと思っていてもうまくいきません。
これは早い段階で断っておこうと思っていたのですが、三属性変換はかゆい所に手が届き微妙な同音異義語の使い分けがすらすらできる…などというような甘い期待を抱かせてしまった向きが少しあるかと思いますが、これは全くの誤解で単に意味属性の本質的に異なる語句の大ざっぱな使い分けで効力を発するものだというだけの話であり、面倒な難題がこれでスッキリ解決できるという類のものではないということです。

紛らわしいのは三属性の変換で<書く/欠く>や<決心/結審>のように単に属性ロ(用言全般)のときと属性ハ(第三の属性・通機的)のときのように一部特殊な場合において動詞やサ変名詞の使い分けを提案しつつ試みているケースがあることです。
これがボタンの掛け違いで曲解されて動詞の同音異義語の問題を解決できるものだという印象を与えているという図式が浮かび上がってきます。ですので誤解をされないよう注意深く紐解いてこちらの意図を理解してもらうため更なる説明していきたいと思います。

「通機的」なる判断基準をもって同音異義語を使い分けようとする試みは三属性変換のものの見方である「語句の意味概念情報を構文解析時だけでなく候補選択場面においても活かそう」という意味で地平を広げてくれますし、
動詞の属性を属性ロ(用言全般)だけに押し込めてしまうのをよしとせず、せっかくある「第三の属性」を利用して特徴的な意味を持つ動詞を別個汲み上げれば動詞全般の候補選択時においてもきめ細かいポテンシャルを発揮すると思います。
「通機的」の定義するところの詳細な輪郭はまだぼんやりとしていますが人間や生き物の通常範疇の動作や自然現象・物理現象の様態描写的な表現は属性ロの用言全般のくくりで分類し、通機的という特徴的な表現で定義される属性ハの語句は言語表現としてなじむかどうかはわかりませんがトポロジカルに違う、デジタルな構造・論理の変化をあらわす属性だということができます。(例えば「断つ」や「撒く」のように)
この感覚は前述の<聴く・聞く>の使い分けよりも意味・表記上の混乱が少ない(辛うじて)かと思いますし失敗するリスクも比較して少ないアプローチだと思います。何より抽象的ではありますが通底した分類感覚が存在しそうに思えるところが良いところだと思います。


長々と講釈を垂れて結論が遅くなってしまいましたが、三属性変換の真に意図するところは「典型的な三属性の分類ケースでは活用できるが、微妙なニュアンスの使い分けは用例変換に任せればよい」ということであまり前面に立たず用例変換のテリトリーには立ち入らないように機能するのが余計な干渉を起こさず良いのではないかと思っております。
<測る・量る・計る>などの違いは書く人の美意識だとか感覚差などによる個人個人の使いようがあると思うので、無理にユーザーに言語感覚を押し付けようというのは適当でないはずです。
用例変換の眼目はペンタクラスタキーボード特有のものではなく昨今の一般的なIMEでも培われている技術なのでまずは通常変換のプロセスでうまく機能すること目指していけばよいですし、三属性変換で仲立ちした意味情報も何らかの形で用例変換・AI変換に役立てればいいと思います。

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