でにをは別口入力では「はいになる」をカタカナ変換させると「ハイになる」と、助詞の部分には非干渉で変換してくれます。(フレーズまるごとフォーカスしていても変換意図を酌んでくれて部分的にカナ部分を判別)
また、漢字交じりで「盛り盛りと」となってしまったのを変換して「モリモリと」と修正する際にも同様の配慮が適用されます。
もっと顕著な例でいくと、「めいにあんにうけとっている」が標準状態で「明に暗に受け取っている」とされていても、ある特殊な文脈上においては
「メイにアンに受け取っている」としたいユーザーも中にはいるかもしれません。
そんな時でもフォーカス(注目文節)の移動時に「に」を含む/含まない分け方の揺れがなく変換候補としてのリスト提示はもとよりカナ無干渉変換でそこをピンポイントに変換させたいときもいちいちキワの助詞部分を気にすることなく変換させる動作を想定しています。
従来の説明ではフォーカスの移動が飛び石的にチャンクをまたぐといった言い方をしていましたが実質助詞部分は付属語としてチャンクに付随しているので助詞を含んだ文節チャンクごとで仕切る方がいろいろやりやすいかとも思います。
…これはとても便利な機能なのですが、助詞部分がひらがな固定で決め撃ちになっており暗黙の表記規範を押し付けてしまっている一面もあるかもしれません。
ときには助詞部分をあえてカタカナで表記したいニーズもあるのでしょうがその編集手段についてあまり思い至っておりませんでした。
カナ表記のもたらす効果は面白いもので宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を筆頭に現代においては主に音楽分野で
「ユメのなかノわたしのユメ」「雨アガル。」「ヒトリノ夜」「隠レテ横カラ飛ビ恋慕」
「私ト云ウ 音響キ ソノ先ニ」「緋ノ糸輪廻ノgemini」「命短シ恋セヨ乙女」「花ハ踊レヤいろはにほ」
など独特の効果をもたらした風情が感じられるタイトルが作られてきました。
しかしこういった表現表記にでにをは別口入力がついていくのにはちょっと一捻りが必要でIMEの辞書の問題だけでなくカーソル操作や編集操作などのインターフェイス上の対応策を考えなくてはなりません。
これらの全部に得心が行く解決手段はまだ見いだせてはおりませんが、せめてでにをはがらみの表記のキワをなんとか体裁だけは整えておきたいところです。
ここから先はとりあえずの処理手段を模索して提示するものですが、今後の展望につながる材料出しをかねていろいろ探ってみたいと思います。
まずサ変動詞の異字種変換はあきらめます。「恋スルなんちゃら」みたいな効果を出したいときにはそこは愚直に「こい」で区切って変換して残りの「する」をやはりカナに変換するといった調子です。
次に一般動詞あるいはその変化のもの、「鳴カズ飛バズ」なんてやるのも物凄い編集労力を必要としますがひょっとすれば[の][の]代表変換を駆使すれば少しはましになるかも知れません。
一般動詞の中でもルで終わるもの、例えば「血ワキ肉踊ル」みたいものはこれもアヤシイですねー、一応[○R][×r]キーのル形動詞用の別口入力もあるのですがあれはdisるとかキョドるとかタピるみたいに非動詞範疇の語彙片に「る」が語尾を締める表記上の効果を狙ったものであり、
「踊る」のような五段動詞の有り様とは若干適用しどころが異なっているのでプレーンな変換の範疇で対応するとなると現状キビシイですね。
さてたった今出ました[○R][×r]のル形動詞別口入力に(本来的に)立ち返りました場合は、これは半分はうまくいっている、と言うべきでしょうか。
ウケる、コケる、アマゾる、なんてのもありますし同じく別口入力の[て]を組み合わせれば
イケてる、ヨタってる、ハジケてる、なども同様に混在表記が気軽にできます。ただ活用の全てにらりるるれれ…とキーがあるわけではなく、ワイルドカードRrで適宜活用形を推測して合わせながら置換していきますので結構ケッタイなインターフェイスではあるかと思います。
そもそもこれに限って言えば雨ニモ負ケズ式の送りカナ表記とは反対の末尾かなのトピックですから微妙に混同しやすいのですが分けて考えることが必要です。まあ、これはこれで異字種表記の便宜に大いに役立つことでしょうけれども。
あと「オメデタイ連中」「ユルセル域」、みたいに装定作用素の方をカナにしたいとき、これも正攻法ですが「おめでたい…」までタイプしたときにいったんカナ確定させて順次後続をタイプしていくしかなさそうですね。
ここまで分類しましたが結局残された「でにをは」などの明示的に分かっている部分要素や同じく別口入力の「な」「だ」「でs」に関しては明示的に浮き彫り要因を補足することができるので、何とかこれを活かしていきたいところです。
カーソル移動やチャンク移動の派生した何か補助動作が必要になってきますが、もともと助詞部分ひらがな固定のオペレーションを暗黙的に前提にしてインターフェイスを設計してきたのでこうした文脈以前のあえてカナにしたい場合に対応するのは結構骨が折れることなんですよね。
そこへきていっそのこと懲りずにまた新キーを新設してあらたな編集手段を作っちゃう方が早いかもしれない…なんていう欲求がむくむくとわいてきました。この記事の編集中に。
こうなったら止められません。思いつきついでにアイデアの概要を忘れないうちにノートしておくと、こんな感じものです。
シフトキーの概念の拡張版として、[引きシフト][押しシフト]の2極性シフトキーを新設する。
…[押しシフト]+→で助詞部分キワにフォーカス [引きシフト]+←でキワを戻して元のチャンクにもどる
今日思いついたばかりですが、2極性で組み合わせ動作ができるのでこれ以外の用途にもなにかと発展できる期待が持てそうですね。特に編集操作をもっと作り込みたくなってきました。
とりあえすはここまでにして、もうちょっと可能性を煮詰めた上で本レジュメを近日中にあげたいと思います。