以下の最初の画像は、普通の人には理解出来る訳がないが、実はとんでもない技術の成果だ。
この画像は10枚のブナの板材に4本の丸棒が貫通している場面だ。無理矢理に差し込んだわけではないし、そもそも私の持つ木工の精密エンジニアリングの技術がなければ、不可能な事をこの画面が示している。
穴の位置誤差のトレランスは0.5mmだ。1mmの誤差があれば丸棒を挿入するのは既に不可能だろう。この10枚のアセンブリ-だけで、40か所の独立して開けられた穴がある。
1本の連結棒を通すのは簡単だ。でも、そうすると、別の棒が通らなくなる可能性がある。そして、別の棒は3本あるのだ。
勿論、穴の径を+2mmで取れば無理やりに丸棒を通す事は出来るだろう。それでは見てくれがどうにもならないほど醜くなってしまう。それよりも難しいのは部材の高さ/幅を制御することだが、最終的にはプレ-ン処理をするので問題にはならない。薄くて大面積はむしろ望ましいからだ。
この画像では幅が約150mmになっている。同じ厚みのシングルスペ-シングで約150mmは部材の枚数的に厳しいと思う、今まで過去に作って実際に市販されたのは約180mmだからだ。兎に角、試しに広げてみた。
ほとんど、ダブルスペ-シングだが、これでは風呂場の篠子と変わりがない。出来上がった部材の数は42枚で、4個のパン切り台を作りたいと願っていたが、無理そうなので、3個にすると決めた。
つまり、1個当たり、14枚で、約185mmの幅に仕上がる。次の画像は勘違いで、
12枚で固定したものだ。
まだ接着は行われていない、全体の感じを眺めている段階で、この時点で2枚足らないと気が付けば良かったのだが、なんとなく、この幅でも大丈夫の気がして、見逃してしまった。明日、2枚を追加する。
このアセンブリ-の固定に活躍したのが注射器だ。
これは近くの100円ショップで購入した。美容品コ-ナ-に置いてある。針の径が大きいので酢酸ビニ-ル系の接着剤を使うには最適かもしれない。勿論、ある程度希釈しないと無理だが。
接着剤の与え方にも当然、ノウハウがある。クランプの段階の画像が次だ。
余分な接着剤を拭き取ったので濡れ色になっている。実はここにも知見があった。乾燥後のアセンブリ-の画像が
以下になる。 ジムから戻ってきたら、既に濡れ色は消え去り、余分な接着剤も大幅に収縮して無視できる状態になっている。
でも、問題はまだある。丸棒の端末処理、見てくれの問題でもあるが。それと、パンの切りかすの問題だ。考え方は分かれると思う。下に、新聞紙なり、布なりを置けばよいというのも、あるいは、そのままテ-ブルに置いてもよいが、一つ。
全体をちゃんとした薄箱に格納するのも、一つ。400mmと長いので、パン切ナイフの収納も考えられるが、どうなんだろう?箱と相談する必要があるだろう。理由は、このままでも美しいと思うからだ。
この記事が伝えようとしている事は二つあると思う。
1. 薄い板材に複数の穴を開けて、連結部材で一つのアセンブリ-にするのは滅茶苦茶難しい事、なので市販価格が高くなる
2. 普通にお店で見かける、しばしば馬鹿馬鹿しいほど高価な値段で売られている集成材を使った、1枚板のパン切り台よりも私のパン切り台の方が余程清々しいこと
3. パン切りだけでなく、ケ-キの熱さましにも使える
4. もっと薄くすれば、ランチョンマットになる
5. XXXXXXX (企業秘密)
何が問題か?新しい地平を目指さないで、過去の成果に縛られていることだ。木工作品でも同じことだ。木工や陶芸は特に過去に引きずられている。爆破して、次の地平を目指さないと、日本の木工産業は廃れてしまうだろう。
続く