最初の警告はコタキナバル在住の欧米系の知り合いから数日前にもたらされた。
カナダ人が誘拐されて首を切られたと。結果的にマレ-シア領ボルネオ東部海岸一帯に赤信号が出ているので、詳細はググレと言われたが、正直ピンと来なかった。つまり、サンダカンからタワウに至る路線はやばいと彼は言う訳で、フランス大使館情報らしい。
もし、誘拐されると、そのままフィリピンのス-ル-地方に連れていかれて、アウトだと言われた。アブサヤフだと。なので、それなら、もし、ボルネオに行くならキナバル山の麓で遊んで、レンタカ-でボルネオ最北端の町、Kudat に足を延ばせば良いかもとか言ったら、とんでもない、クダットも完全赤信号で、日本大使館も赤信号を出している。安全なのはサラワクしかないと、
問題は、この辺の情報は新聞とかには出ていないことだ。数日前にダバオで大規模なテロがあった。それは日本の新聞に出たが、その直後に同じミンダナオの Cotabato で起きた、6人が殺されたテロのニュ-スは、ミンダナオ北部に住む現地人の知り合いから Whatsapp で知らされた。日本では知られていない。
ダバオ近郊に住む別の現地人情報では、実はダバオはジェンサンの可能性もあったと。誘拐された18歳のフィリピン人少年の家族が、身代金を支払えなかったので、その少年は首を切られ、デュエルテが報復に軍隊を差し向けて、逆にフィリピン軍に20人近くの死者が出ていることも、日本ではニュ-スになっていない。
地図で示してみよう。
赤い帯の部分はすべて、やばいことになっている。General Santos では一人の少年の首が切られ、結果的に20人近くの兵士が死んだ。ダバオでも爆弾テロで15人近くが殺された。コタバトでも爆弾テロで6人が殺された。すべて、過去、数日間の話で、日本のメディアにはほとんど出ていない。
長い矢印の箇所は、先月末にタクシ-でダバオからダピタンという、デュマゲテにフェリ-でわずか1時間の港町に行く時に通過しただろう場所で、ダバオのタクシ-運転士が怖がって拒否した場所だ。既に、現地人の間では衆知の事実だったのかもしれない。
実は、自分の現地人知り合いは、まさにこの場所に住んでいるので、正確な現地情報を提供してくれている。
問題は、自分の見るところ、デュマゲテにある。と言うか、そもそもの話はミンダナオの歴史にある。スペイン人がフィリピンを植民地にしたのは、良く知られているが、実はミンダナオはイスラムの支配下にあって、スペイン人も手を出せなかった経緯がある。
General Santos が良い例で、別に、サントス将軍というスペイン人の将軍がいたわけではない。今世紀初頭だと記憶しているが、北部のルソン島で飢餓が(根本的な理由は大地主の搾取だ)起きたときに、ミンダナオに飢える住民を連れて移住して、飢餓から一部の住民を救った首領のあだ名が将軍だっただけの話だ。
つまり、イギリスでケルト人が僻地に追いやられたのと同じことがイスラム系住民に起きたので、南部や出っ張り部分にイスラム系の住民が集中している。その結果、第二次大戦の直後には、これらのイスラム系住民が、北ボルネオは彼らのものだとして、占拠して局地的な戦争がオ-ストラリアを巻き込んで始まり、結局、フィリピンのイスラム側が敗北した経緯がある。
つまり、サンボアンガとかジェンサンあたりのイスラム系過激派には国境の概念はないので、カナダ人を誘拐して首をはねるのは当たり前と言える。中東の過激派とは、本来は無関係だったのだ。
で、いきなり、バングラデシュに話は飛んでしまう。日本人が殺された。学生に、しかも、ある程度裕福な地元の学生に、だ。戻って、デュマゲテ、そこはフィリピン最大の学園都市でもある。が、場所が悪い。どう考えても悪すぎる。ダピタンの港からわずか1時間で行けてしまうのだ。
デュマゲテの町の学生の中に、10人の確信的な思想を持った学生がいれば、テロや誘拐は成立してしまう。実行犯は、その半分の人数で事足りるからだ。だから、デュマゲテは既に怖いと思う。爆弾テロは起きないだろうが、多分、誘拐は大がかりな必要はないので、相当にやばいと言えるだろう。それどころか、セブだって、相当やばいかもしれない。無知、無防備が最大の原因になるのだろう。
こうなると、一体、フィリピンの何処が安全かと言う話になってしまう。メトロマニラは問題外の外だろう。素朴に考えると、レイテ島か、台湾に極近い、バシ-海峡の島かな、と思ったりする。
その一方で、本当かよ、と自問する自分を見出している。
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