When I Dream

~気侭な戯言日記~

コムスン・サイドストーリー

2007-06-11 23:45:45 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
ボクは、ホームヘルパー資格が出来た時から疑問に思っていた。お年寄りや病気の人をお世話する事を仕事にして、お金に換算する事がどうしても解せなかったのだ。 それは、いい加減ででたらめな回答をしてはぼろ儲けをする、そんな占い師に対する腹立たしさと似たような感じのモノであった。だから、たまたま友人との会話でホームヘルパーについての話題になって「あの資格ってどう思う?」っと聞かれた時、ボクは強い口調で「反対」と答えた。気遣う心や慈しむ心が、お金と時間に支配されてしまうと思ったからだった。 「だよね~、俺も反対なんだ、ホームヘルパーって」友人は少し笑いながらそう言った。当時大学病院で働いていたボクらは、病院の隅々の実情を目の当たりにして、“優しい心遣い”と言うモノを持ち合わせている人が、予想以上に少なく感じ、病院と言えども“会社”である事を痛感させられ、看護と介護の明確な垣根を作る事にも疑問を感じていたのだった。 . . . 本文を読む
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懐かしい嫌な感覚

2007-05-24 23:50:20 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
いつもより少し早起きした朝は、とても爽やかで、そしてまだ少し涼しかった。 普段は朝はなにも食べないボクだったが、 今日は珍しく、食パンを袋から1枚取りだして無造作にかじりながら、NHKを見ながら熱いブラック珈琲で喉を潤した。“珍し事も有るもんだ”・・・口には出さないものの、両親の目がそう言ってボクを見ていた。 昨夜眠ったのは午前2時過ぎで、ボクにしては寝つきが良く、寝る前にセットしておいた携帯のアラームが鳴る、10分も前にスッキリと目が覚めた事に自分でも驚いたほどだった。 寝起きがこんなにもいい朝は、ボクにはとても珍しい事だ。 . . . 本文を読む
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ここちE 陽射し

2007-04-30 23:30:30 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
♪ここちい~ぃ あなたと~わっ♪←渡辺典子:ここちE→が頭の中で鳴り響きそうな・・・暖かい布団の中でボクが目覚めたのは午前9時だった。カーテン越しにキラキラと光る陽射しは、寝起きでコンタクトレンズを入れたままの目にはまだ眩しかった。 布団のすぐ脇に置いてあった目薬←バイシン→に手を伸ばし、温い布団の中で1滴を目に落とすと、ヒンヤリとした感触が目の中に広がり、ゆっくりと奥深くに染み込み、半分夢心地になっているようなボヤけた頭を半強制的にシャキッとさせる事ができた。 ボクは、布団の中で数回・・・大きく身体をくねらせるように伸びをし、右手で掛け布団の縁を掴んで勢いよく捲りあげながら半身を起こし、ベランダの外に顔を向けた。 . . . 本文を読む
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病理検査

2007-04-13 22:40:00 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
「なんで?」「なんの検査なの?」「どんな事をするの?」「いつ?何時?」 想像のつかない事でも、想像しよう、理解しよう、と・・・口を挟みたがるのが母の癖で、少しの好奇心と大きな不安が入り交じったような目で、思いついた言葉を並べていった。 父はまたかと言う顔をしながら、短く「喉のあたりに針を刺す検査」と言って、注意書きと説明が書かれた用紙を母の前に出した。「こんなの読んでも解るわけないでしょ」「あ~やだ、おっかない」っと・・・用紙をボクの目の前にズラし、頭の中に描いた想像を早く消し去ってしまいたくなったのか、椅子に深く座り直し、テーブルに左肘を突き、左の手の平にちょこんと顎を乗せ、湯飲み茶わんを右手で掴んだまま、顏をTVに向けて口をつぐんだ。 . . . 本文を読む
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オフミ・イントロ

2007-03-22 23:40:30 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
ボクはこの頃、夢の中で夢を見ている事を自覚していて、もうすぐ目が覚めるだろう事も自覚して夢を見ている事がある。そして目が覚める前に見た夢を思いだして、脳に記憶として焼き付けようとしながらゆっくりと目が覚めていく事が多くなっている。でも、目が覚めると映像の断片や画像の断片しか思い出せない。せっかく春の陽射しを顏に受けながら爽やかに目が覚めたというのに、思い出せない事に後味の悪い、バツの悪さを感じてしまう。 所詮は夢だから、記憶しようにも上手く言葉に出来ない事もあるし、記憶できたからと言ってそれをノートに書き留めるわけでもないのだが。 . . . 本文を読む
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ハートに火をつけて

2006-12-01 18:00:00 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
ボクの心の中に再び火がついた。消えかかりながらも燻っていたような小さな火は・・・新しいエネルギーを注がれたように炎の勢いがだんだん強く大きくなってきていた。それは、夢への歯車が実現に向けて動き出したかのような・・・未来を切望する心の風景でもあった。 やはり今が“その時どうするか”だったのだろう・・・ボクは、明るい兆しの入口にでも導かれたような出来事に・・・胸を躍らせたのだった。不思議な気分だった。 . . . 本文を読む
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夢を見ていた

2006-11-16 23:50:50 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
外に面したカウンター席のガラスに、半透明のボクが微かに映っている。外の歩道を歩く人に目の焦点が合って視点を奪われるその度に、ボクは・・・ぼんやりと何かを考えているガラスの中の自分に視点を移し、自問自答するよう見つめていた。“どうしよう”“一か八かダメ元だっていいじゃないか”“いいや、通るわけがない・・それは自分で十分に解っている”“だけどもしかしたら・・・”頭の中で滑稽な葛藤を繰り返していたのだった。Macを触る事ができる仕事の夢はとっくに諦めがついてはいたものの・・・いつかどこかでもしかしたら・・・そんな“夢”の小さな火は、4年経っても消えてはなかった。 . . . 本文を読む
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美容院のボク

2006-11-10 23:50:10 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
パーマをかけて4ヶ月も経つと・・・ボクの強情で太くて固い髪は暴れだし、ドライヤーを当てただけでは小奇麗にまとめる事が出来なくなる。その後行きつけの美容院に髪を切ったのは1ヶ月半くらい前だったろうか。パーマがすっかり抜け落ちて、おまけに髪全体が数センチ伸びて少しうっとうしく感じるようになってきていた。 「はい、美容室★★★、担当の▲▲で御座居ます」「あっ、もしもしお久しぶりです。●●です」「あらっ久しぶりですね」電話に出たのはボクを担当しているオーナーの奥様だった。 . . . 本文を読む
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その時どうするか Part 2

2006-10-31 23:55:55 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
再び取っ掛かりを探す事にしたボクは、街に出ると“FROM A”を買うかフリーの求人情報誌を2冊手にしてから・・・ファーストフードで100円の珈琲を注文する事が日課になった。今現在のボクは“派遣を使う事はやめよう”と考えているが、求人情報誌には派遣関係が少なくても1/3を占めていると思われる。残りはと言うとほとんどが“接客”だろう。派遣の時は土日が休みだったから当然のようにそれが身体に染み込んでいて・・・土日に働こう・・・と言う考えは、ボクの心の中ではなんとも言い難い微妙な位置にあった。都合3冊で何百ページにも及ぶ様々な求人情報があっても・・・ボクが気になったモノは僅か5社程度だった。 . . . 本文を読む
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・・・その時どうするか・・・

2006-10-30 22:22:22 | ボクシリーズ(物語風/エッセイ風)
ボクの中で燻り続ける未来への“想い”・・・その何かが毎日少しづつプレッシャーになって・・・苛立ちにも似たような“ソフトな焦り”が心の中で増殖のスピードを速めてきていた。不思議と心底から感じる不安や焦燥感と言うモノはないものの・・・同居している両親や妹と言う、現実に置かれている生活環境に対しては、全く違う次元でそれは心に重くのしかかってきていた。だがボクは、自分の本心を優先して一つの決断をしたのだった。 . . . 本文を読む
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