ボクが新しい仕事として選んだ“女だらけの大奥の城”の初日・・・社長に色々と細かな事も面接で聞いていたので不安は何も感じなかったが・・・果たして“自分に勤まるのかどうか”と言う点でに関しては・・・別の次元で、ボクなりに冷静に考えていた。
初日はまず、社長の右腕的な役割を担うリーダー格の女性から簡単な会社と業務内容の説明を受けたのだが、早口で捲し立てるような仕事の流れの説明には少しばかり引いたボクだった。すぐにでも実戦に突入させたいと言う感じがミエミエで、時間に追われて焦っているようにも見えた。それは・・・新人指導や育成が不慣れ・・・と言うモノとは明らかに違っていた。 . . . 本文を読む
珍しく気分のいい“スッキリ爽やかな”朝の目覚めに反して・・・朝から雨がパラついていて、出窓のブラインドとベランダのガラス戸のカーテン越しから差し込んでくる光の量がやけに少なく感じた。まるで何回目かの面接の今日を暗示しているかのようだった。
時折、部屋の中に流れ込んでくる風は冷んやりして気持ちがいいくらいなのに、Yシャツにネクタイという慣れないスーツに身を包んでしまうと、身体が発する体温の熱の逃げばがなくなって暑苦しくなって、手の平にも少し汗が滲んでくるのがわかる。 . . . 本文を読む
ボクは、珈琲と灰皿を手にしてマクドナルドの閑散としたカウンター席に座った。タバコに火をつけて口にくわえ、“エンジェルハート”の3巻を鞄から出して読み始めた。
熱い珈琲の浮き立つような白い湯気は、ゆらゆらと揺れるタバコの白い煙に支配されてかき消されているかのように見えた。“あっ・・・”もしかすると今現在の友人獅子の心境は・・・そんなどうする事も出来ない煙に巻かれて、元気を無くしているかもしれない事に気が付いた。能天気に過ごしているボクには何も言えやしない・・・ . . . 本文を読む
友人“獅子”から「16日にバーバーの予約を入れて、その後H/Hへ行きます」と言う趣旨のメールが携帯に久しぶりに届いた。ボクは、友人“獅子”に「16日の夕方は空けておくよ」と言う短いメールを打って送信した。獅子とは時々メールのやり取りはしているものの、実際には少なくても9ヶ月は会っていないと思う。最後に顔を合わせたのは、ボクが入院していた時に見舞いに来てくれた・・・あの日・・・だったかもしれない。
もう随分長いこと会っていなかったし、自宅からほど近い調布まで買い物に来るのなら、思いで話に花を咲かせて懐かしむのも悪くはないと思ったのだ。 . . . 本文を読む
気力的にも体力的にも疲れた7ヶ月から解放された後、少し休んで動き出すつもりでいたものの・・・あっと言う間に1ヶ月が過ぎた。規則正しい毎日のリズムが崩れるのは予想通り早かった。昨年末に選んだ仕事は膝の回復を目論んだもので“肉体的/体力的”な刺激には十分すぎるものだったが、日々蓄積していく体力の消費と疲労は大きくて、同時に気力も消費されていく事になった。人間は心底疲れると・・・余暇を楽しむゆとりもなくなるものかもしれない。 . . . 本文を読む
すこしづつ、季節は秋の気配を感じさせている。
昼間はまだ暑い陽射しだが、肌を焼けつけるような強さはなくなってきている。
夕刻18:30頃の明るさも・・・日に日に失いはじめている。
ボクの部屋の昼間の室温は32度にもなるが、それでも過ごしやすくなった。
滝のような汗は流れなくなり、風が吹き込んでくると涼しい。 . . . 本文を読む
ボクは夢の中で病魔に冒されていた。不治の病なのか、限られた余命であるのは解らないが、直感的に命に関わる事態である事は解った。ボクは、家の縁側で誰かに、助かる為の処置を施されている。親しい知人のようでもあり、見ず知らずの“人”のようでもあった。
処置を施そうとしているその人を、ボクははっきりと見たはずだし会話も交わしたのに・・・不思議な事に、夢から覚めると全く覚えていなかった。さらには・・・その人が“医者”だったのかどうかももう定かではない。でもボクは・・・その人に全てを委ねていた。 . . . 本文を読む
夢から一気に引き戻されて、頭上の時計を見るとまだ8時前だった。妙に清々しくてすっきりしたこんな目覚めは久しぶりだ。“どうしよう、もう一度復習しておこうか”ボクは横になったままで天井を見つめながら、頭の中で自分に問いかけていた。しかし、ボクはいつの間にやら再び深い夢の中に連れ出されてしまっていた。再びぼんやりと目を覚ますと外の明るさはあまり変わっていなかった。それ程時間は経っていないだろうと思いながら、ボクはぼやける視界で時計を見ると・・・針は10時を指そうとしていた。 . . . 本文を読む
一息つこうかと喫茶店に足を向けた時、首からさげた携帯をなにげなく掴んで視野に入れ、携帯電話が着信を知らせる緑色の光の点滅を繰り返していた事にボクはやっと気がついた。電波が弱い所には行っていないし、i-modeにもしていないし、着信音はレベル3にしているのになぜ鳴らなかったのだろう?ボクは不思議に思いながら立ち止まって留守番電話センターの番号を押した。“面接が月曜日に決まりましたので、空けておいて下さい。詳細はまた連絡します。”電話は派遣会社からだった。
週明けに面接が決まった事を確認したボクの頭と心は、すぐさま今買ってきたばかりの“エンジェルハート”14,15,17巻に思い焦がれて、喫茶店へ向かって足早に歩きだした。 . . . 本文を読む
終戦記念日の放送だったからか・・・いつもとは趣が違う昨日の“オーラの泉”のゲストは海老名香葉子さんだった。ボクはPC台に座ってブログを書きながら、背後にあるTVから聞こえる“音”に耳を澄まし、時々覗き込んで食い入るように見ていた。
海老名さんが淡々と語る口調とその心象風景には、体験者としての生の重みがあった。時折懐かしそうに、記憶を呼び覚ましながら話すその微笑む瞳の奥は、少し涙で潤んでいるようにも感じられた。ボクはそれをただ見つめながら・・・想像するしかなかった。 . . . 本文を読む