木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

片想い 

2011-07-02 20:14:43 | Weblog
6時半を過ぎ、力を使い果たした西日に背中を押されて店のドアを開けた
一時間以上歩いた後の火照った身体に店の冷気が心地いい
エコには無関心な店主の身勝手さに感謝しつつ
何にもいらないけれど古本を物色してる振りをする

「片想い」と背中に書かれた分厚い本を抜き出して
最初の一ページだけ読んでみた
特段自分には縁のない話だけど
すっと読み出せたのは筆者の力量のせいなんだろう
裏表紙を見たら 「350円」と鉛筆書き
定価は762円+税って書いてあるから多分5・60円で仕入れたのだろう
オヤジ儲け過ぎ と心に一文浮かんだけれど
一冊売って300円の儲けなら暴利を貪ってるとも言い難い
冷たい風のお礼も込めて500円玉と片想いを持ってレジに向かった

新本の本屋さんみたいにカバーをつけて「ありがとう」ってひとことくれたけど
とても本心から出てるとも思えなかったのは僕自身のせいかもしれない


片想いの文字を隠したカバーの背中をつかんでまた歩き出した

もううちへ帰るだけだ


そうかあの家電量販店のあの店はこの場所から撤退
子供のころから見慣れた車のショールームにも張り紙がしてある
アフターサービスを受け持つ店が書いてあった
この空地には14階建てのマンションができるってありふれた看板だ

また街が変わってゆく
一見姿を変えてない橋のこっちも向こうもみんなみんな入れ替わった
そして人も入れ替わる
目立たないけど少しずつ・・・





片想い 奥華子
コメント (4)
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