三十年間 読み漁(あさ)った幾(いく)十万の本の中から そのエッセンスを
私は 『 生命の實相 』 に凝縮(ぎょうしゅく)したのです。
私の 『 生命の實相 』 全巻をお読みになることは、三十年間かからないと
読めない本の精髄(せいずい)を 僅(わず)か一年位(くらい)で知ってしまうことであって、
非常に時間の経済であります。
皆さんは 新聞を読んだら知識を広く求められると思っておられるかも知れぬけれども、
新聞雑誌は 雑駁(ざつばく)な浅はかな、深みのない不確実なバラバラな知識を与える
だけであって、人間の心を雑駁(ざつばく)にしてしまうのであります。
新聞の中には いい記事も偶(たま)には ありますけれども、大抵の部分は何等(なんら)の
指導精神もなしに、雑然と下(くだ)らない事が大衆の娯楽精神に媚(こ)びるために
列(なら)べてあるのでありまして、そういうものに費(ついや)している時間を、
一巻(かん)のよき書物を読む時間にあてるという事にしたら、吾々の人生がどれだけ豊富に
なれるか知れないのであります。
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読書の選択という事は その人の生涯の方向を換(か)えてしまうことになるのであります。
その意味に於(おい)て、光明寮には、せめて毎夜(まいよ)しずかに 『 生命の實相 』 を
読んで戴(いただ)く時間を作ってあるのであります。これは私が三十年間に読書した真理を
一年間に すっかり皆さんに譲(ゆず)ってしまう方法なのであります。
皆さん、今日(きょう)の話の私の心とするところをよくお汲(くみ)取り下さいまして、
皆さん自身のいのちを軽(かろ)んずることなく、日々(ひび)向上させて下さるように
お願いしたいのであります。
谷 口 雅 春 先 生
新編 『 生命の實相 』 第27巻 人生問答篇 人生の悩みを解く 下 217~219 頁
光 明 思 想 社